【しもおく奈歩議員】 決算報告書 294ページの 交通対策事業費についてうかがいます。県民の「移動の権利」保障、地域の公共交通を維持することは愛知県の大事な責務と考えます。いま高齢者の日常的な通院や買い物にも支障がある地域が生まれています。
子どもの通学も経済的にも時間的にも負担と感じることも増えています。バスやタクシーなど住民の足となる交通機関でも採算が取れない、運転手が集まらない、などで路線の廃止や縮小が続いています。多くの市町村でコミュニティバスの運行や高齢者・障害者等へのタクシー代補助などの施策が行われています。民間の交通事業者も燃料高騰や人手不足の中がんばっています。
決算では、交通対策費として約11億円が支出されていますが、このなかには名古屋駅スーパーターミナル化などの事業も含まれています。まず、地域住民の身近な交通手段であるバス路線の維持や自治体のコミュニティバス事業のために、愛知県はどういう制度で、どこにいくら支出したのか、お示しください。
【交通対策課担当課長】 本県では、地域住民の生活に必要なバス路線の維持・確保するため、乗合バス事業者 が運行する広域的・幹線的な路線について、運行欠損額や車両購入に係る減価償却費等への補助を行っています。昨年度は、山間地域バス運行対策費補助金として、名鉄バス株式会社及び豊鉄バス株 式会社の2事業者に8,247万4,000円を、一般地域バス運行対策費補助金として、名鉄バス株式会社をはじめ7事業者に1億7,318万8,000円を助成しました。
【しもおく奈歩議員】 自治体間をまたぐ路線は補助していますが、一つの自治体で完結するコミュニティバスは支援の対象としない方針が愛知県では続いています。しかし、路線の維持に多くの自治体が苦しんでいます。必要とする高齢者も増えてきています。単独自治体への補助については検討されなかったのか、またその理由についても伺います。
【交通対策課担当課長】 県では、広域行政を担う立場から、広域の幹線的な路線の確保していく役割を担っており、地域の生活交通の確保については、原則として基礎自治体である市町村が地域の実情に応じて対応していただくものと考えています。
その中で、幹線交通の維持は県の役割が大きいことから、「愛知県・市町村人口問題 対策会議」での議論を踏まえ、昨年度より、補助対象を拡充することとし、財政力指数が厳しく、かつ人口減少の著しい地域について、コミュニティバスも補助対象とすることとした。この見直しにより、南知多町の海っ子バス(南知多・美浜環状線)を新たに補助対象としました。
なお、三河山間地域については、「過疎バス路線維持費補助金」において、市町村が運行するコミュニティバスも補助対象としています。
【しもおく奈歩議員】 国土交通省は「公共交通空白地域マップ」を公表し、交通空白エリアへの取り組みを強めようとしています。国の示す交通空白エリアはどういう基準のもので、県内では昨年度時点でどこにどれくらいあり、そのエリアにくらす県民は何人になっていたのか、把握していたらお示しください。
【交通対策課担当課長】 国土交通省が示す「交通空白」は、移動の足がない、または利用しづらいなど、地域交通に係る困りごとを抱える地域であり、地理的・空間的な「交通空白」に限らないとされています。この考え方に基づき、各自治体が解消に向けて対応が必要な「交通空白」をリストア ップし、国土交通省が集計した結果、2026年5月15日時点で、本県では、山間部や半島部だけでなく都市部にも存在し、27市町村77地区報告されており、その居住人口は約57万6千人となっています。
【しもおく奈歩議員】 県内にもかなりの地域が空白地域です。面としてとらえることが重要です。実際には、一つの交通手段だけでは住民の移動を保障できません。コミュニティバスや民間の路線バス、そしてタクシーなどを時と場合に応じて、また組み合わせて利用しています。
そのことを考えると、事業者ごとへの補助制度だけでなく、一定のエリアで地域交通を支えるための事業者と自治体の共同が必要と考えます。路線バスでもコミュニティバスでも、とにかく移動手段の確保が欠かせません。こうした声に応えるためにも、交通空白エリアを克服するために地域交通協議会のような組織を立ち上げ、民間事業者と自治体の施策をトータルで支える地域包括的な支援が必要ではないでしょうか。 の認識を伺います。また、昨年度は、交通空白エリア解消のためにどんな手を打ってきたのか、と合わせてお答えください。
【交通対策課担当課長】 県では、県内の交通事業者や全市町村を構成員とする「愛知県公共交通協議会」を 2023年に設立し、公共交通の確保や活性化に向けた協議を行っています。
交通空白の解消に向けては、公共ライドシェアやデマンド型交通など、新たな選択肢も視野に、地域の輸送資源を総動員し、移動手段を確保していくことが必要と認識しています。
そこで、昨年度より「公共ライドシェア実証推進事業」を立ちあげ、コーディネーターを、希望する地域へ派遣し、公共ライドシェアの立ち上げを支援しました。
また、交通空白地や高齢者等の移動手段の確保に向け、市町村域を跨ぐAIオンデマ ンド交通を導入するモデル事業を南知多町で実施しました。
【しもおく奈歩議員】 運転手不足の解消も地域全体で考える必要があります。こうした点に関わって、昨年度どんな取り組みを行ってきましたか。答弁を求めます。
【交通対策課担当課長】 運転手不足の解消に向け、昨年度は、交通事業者が一同に会する「愛知県・公共交通事業者懇話会」において、「人材不足への対応」をテーマに、事業者の取組事例の紹介を行いました。
また、愛知県バス協会や中部バス協会が実施する合同就職説明会の周知に協力しているほか、広くバスやタクシーなど業界に親しみ、関心を持っていただくことを目的に 「はたらくのりものフェア」を愛知運輸支局との共催で開催しています。
【しもおく奈歩議員】 東栄町では、病院がなくなり救急車で遠くの町の病院まで運ばれる、その病院からの帰りの交通費が重い負担となっているといいます。病院や学校の統廃合の結果として、交通費の負担が住民に重くのしかかっています。県として何らかの支援もぜひ考えていただきたいと思います。
現状の地域交通の予算は、道路関連予算や都市の駅前開発予算に比べて大変少なく消極的だと言わざるを得ません。地域ごとの実情をよく把握して、「移動の権利」を保障するという立場で県民の移動の足を確保するために、自治体任せにせず生活の足を支える地域の交通問題を解決できるように財政支援も含めて力を尽くしていただくことを要望し質問を終わります。