
ただいま議題となっております。第100号議案、第101号議案、第104号議案、第105号議案について反対の立場から討論を行います。
今、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃の影響でホルムズ海峡が事実上封鎖され、日本国内では、石油不足による影響が深刻な状況です。しかし、愛知県は今回の100号議案の中では県独自の支援は何の手立てもありません。抜本的な対策が必要です。県民のくらしを守ることに力を注ぐべきということを指摘しておきます。
それでは、順次反対理由を述べていきます。
まず、第100号議案 令和8年度愛知県一般会計補正予算(第一号)についてです。
反対理由の第一は、愛知県美術品等の共同収蔵庫の整備についてです。
この計画は、地方独立行政法人「愛知県美術館機構」の愛知県美術館、愛知県陶磁美術館、愛知県立芸術大学の収蔵スペース確保のため、常滑市の元常滑高校敷地にPFI手法(BTOサービス購入型)で共同収蔵庫を整備するもので、補正予算では約165億円の債務負担行為が提案されています。私は次の3点から問題を指摘します。
第一に、立地の問題です。共同収蔵庫は各施設から30~40キロ離れており、美術品の移送や学芸員の移動に新たな負担が生じます。また、元常滑高校周辺は土砂災害警戒区域等に隣接しており、美術品の安全な保管にも懸念があります。一方、陶磁美術館や県立芸術大学は比較的安定した地盤の上にあり、敷地にも余裕があります。こちらに作ることも可能であり、わざわざ遠いところに作る必要性はありません。
第二に、整備手法の問題です。計画では建物完成後、20年間にわたりPFI事業者が維持管理を担います。さらに、当面生じる空きスペースを「営業倉庫」として活用し、収益事業を行うとしています。愛知県で業務用倉庫をつくり、それを営利企業が自由に活用できる、つまり公費で新たな利潤追求の場を提供することがこの事業の隠れた狙いだと思います。PFI活用ありきの計画は問題です。
第三に、文化芸術振興への効果です。計画では、美術品を「まもる」だけでなく、地域に「ひらく」、施設と「つながる」ことを掲げ、一部公開も検討されています。しかし、基本は収蔵庫であり、学芸員の配置や運営体制など文化財管理の基本的な考え方が見えてきません。
常滑は焼き物文化の拠点です。必要とされているのは巨大倉庫ではなく新たな美術館・博物館の機能ではないでしょうか。補正予算に計上された165億円は、新しい美術館・博物館をつくるのに匹敵するような巨額です。
いま全国で愛知だけが県立博物館を持っていません。同じ予算を充てるなら、その大半を営業倉庫として使う共同収蔵庫ではなく、県立博物館や新たな文化施設の整備こそ検討すべきです。
医療現場のPFI導入は「断念」、病床縮小には固執している
新がんセンター整備の変更で指摘
反対理由の第二は、新がんセンター整備推進費についてです。愛知県がんセンターは、病院と研究所が一体の「総合がんセンター」であり、独創的ながん医療・研究を推進するとともに、県全体のがん診療体制の中核を担い、県内のがん医療水準の向上に努めている本県のがん医療の中心的施設です。
しかし、その病院の病床数を、新がんセンター整備計画では500床から410床へ約2割も削減するのは問題だ、と私は昨年の福祉医療委員会でも指摘させていただきました
今回の8150万円の減額補正の理由は、PFIアドバイザリー業務等の内容・期間の変更ということです。変更点はなにか、建設業界の人手不足や建設資材の高騰などの現状をふまえて、一括発注を断念し、PFIの活用が難しい病院棟、研究棟はデザインビルド方式にするというものです。
私は、昨年9月議会の委員会質問で、病院へのPFI手法の導入にはいくつも問題があると4点指摘しました。第一に、医療の変化への対応に追われ長期一括発注のメリットが発揮されない。第二に、チーム医療に支障が出て非効率になりかねない。第三に、一社だけの応募が増えており競争性が担保されない。第四に、研究所と病院が一体となった特性を持つがんセンターにはこの手法がそぐわないということです。
その時の答弁では、「設計・建設・維持管理・運営までを一体的に行うことで、事業コストの削減と質の高いサービスの提供が期待されるからPFI手法を導入する。将来的な医療の変化に柔軟に対応できる。チーム医療には支障がない。複数の企業による競争性が確保できるよう、参入可能性のある企業にサウンディングを行う」というものでした。
ところが、どうでしょうか。大手ゼネコンへのサウンデイングでは「病院という特殊性の高い施設のPFIは企業間の調整が複雑であることや、事業が長期間となるため物価変動リスクが高く参入のハードルが高い」「大規模な工事、工期が長期間となる事業へは対応が難しい」と言われたとのことです。そして一括発注の断念に追い込まれました。
一括発注によるコスト削減がPFIのメリットだと強調されてきましたが、この手法は、現時点での病院整備、がんセンターの運営にはふさわしくないことが明らかになりました。それでもまだ、部分的にでもPFIを活用し運営の委託化も進めようとしています。これでは様々な整備手法が混在し、かえって効率が悪くなるのではありませんか。PFI手法はきっぱり断念すべきです。
補正予算はPFI方式の適用範囲を縮小したに過ぎず、引き続き、病床の大幅な削減とPFI手法に固執した整備を継続しようとするものです。
以上の理由により、本議案には賛成できません。
がんセンターに関連する、第101号議案 令和8年度愛知県県立病院事業会計補正予算(第1号)についても先ほど述べた理由により、反対です。
最後に、第104号議案 幼保連携型認定こども園以外の認定こども園の認定の要件を定める条例等の一部改正について、第105号議案 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例等の一部改正についてです。
県独自に保育士と療育の専門職の配置を支援する加算措置を
「理学療法士など専門職を保育士と見なすことだけ」の議案には賛成できない
二つの議案に共通して問題なのは、「保育士のみなし特例の拡大」です。これは、子ども家庭庁の「保育政策の新たな方向性(令和6年12月)」に基づく見直しの中で出されてきたものです。具体的には、障害児保育の充実を名目に、新たに療育支援に関わって専門職の特例を設ける、として、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、心理担当職員を一人に限り保育士と見なすことを可能とする、というものです。
しかし、国の文書をよく見ると、専門職と言いながら、心理担当職員については、個人及び集団心理療法の技術を有するもの又はこれと同等以上の能力を有すると認められるもの、又は、障害児の療育に関する知識及び経験を有する者であって、障害児の療育の指導を行う業務に5年以上従事した経験を有するものに該当し、かつ子育てに関する知識及び経験を有する者、などとあいまいな規定となっています。国家資格を持つ専門職に限定しておらず、保育士不足に対応するための規制緩和だと言わざるを得ません。
障害児の保育や療育の専門職は当然必要です。しかし、保育士とみなすことは配置基準をあいまいにすることであり、配置基準の抜け穴をつくることになりかねません。
これまでも、看護師など保育士以外の者を保育士とみなして配置基準を満たす特例が実施されてきました。保育士はゼロ歳からの子どもの発達を促す遊びや学びを、一人ひとりに合わせた保育計画を作成し保障する保育の専門家です。保育士が足りないからと、専門性の異なる理学療法士などをみなし保育士として数合わせをするのは、保育の役割を低下させることになります。資格者に関わる規制緩和は子どもたちの安全確保のうえで問題であり、賛成できません。
いま必要なのは、資格者の規制緩和ではなく、保育士をはじめとする専門職の処遇改善です。保育士の確保に全力をあげ、配置基準をさらに改善していくことが必要です。子どもの成長・発達、権利保障へ、県独自に保育士と療育の専門職の配置を支援する加算措置を行うことを求め、討論を終わります。