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障害福祉施設の報酬引き下げ撤回を求めるとともに、愛知県独自の支援を  福祉医療委員会

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【しもおく奈歩議員】 障害福祉施設の報酬マイナス改定について、4点伺います。2014年に日本が批准した障害者権利条約は「障害のない市民との平等の実現」が根幹であり、支援をおこなう社会的責任が国や自治体にあることを宣言しています。

 国連障害者権利委員会は2022年9月、条約に沿った日本の施策の進捗(しんちょく)状況を初めて審査し、総括所見を公表しました。委員会から勧告が出され、そこで浮かび上がったのは、障害のない人と同等の社会参加という、条約がめざす社会からは程遠い日本の実態です。愛知県も、条約の視点からの障害者施策を進めることが大事だと思います。 

 今、介護や福祉施設の人手不足が深刻な実態となっています。人対人の仕事で、利用者と向き合い仕事の悩みや人間関係の揉め事、体力づくり健康サポートなど、毎日必死に支援をしています。しかし、そうしたケア労働者の処遇は他産業と比べても低く抑えられ取り残されています。

 そこで伺います。愛知での介護や障害者福祉の分野での人手不足、他産業との賃金格差についてどのように認識されているのか答弁を求めます。

【障害福祉事業所支援室長】 介護や障害福祉といった介護関連分野における本県の有効求人倍率は、令和8年1月現在、4.75倍であり、全職業の1.23倍と比較して、3.52ポイント高くなっており、県内の介護や障害福祉の現場における人手不足は大変厳しい状況にあると認識しています。

 また、令和6年賃金構造基本統計調査によれば、企業規模10人以上の「きまって支給する現金給与額」は、本県の産業区分、医療・福祉においては、33万3,100円であり、全産業の36万8,200円と比較して、3万5,100円の開きがあることから、人手不足解消のためには、現場で働く方々の賃上げに取り組む必要があると考えています。

【しもおく奈歩議員】  医療・介護・福祉などケア労働者の賃金を全産業並みに引き上げていくことが必要です。また、こうした分野は女性が多く働いています。賃上げを行うことで、男女の賃金格差解消にもつながります。

 障害者福祉について、2006年以降の自立支援法以降営利を目的とした法人の参入が加速しました。「質より量」が重視され、「指定基準」さえ満たせば法人格などは度外視になり様々な法人が参入していきました。重度の障害者の暮らしの場の確保も課題となり、「日中支援型」のものができはじめ、そのグループホームでも営利を目的とした事業者の参入が増加してきました。そういうもとで、障害者グループホーム運営大手の「恵(めぐみ)」の事件が発生しました。

 一部の事業所による不適切なサービス提供や不正請求が社会問題化する中で、国は、「障害福祉分野における運営指導・監査の強化について」を打ち出しました。その中では都道府県等が実施する運営指導・監査について、「特に営利法人が運営する事業所数が急増しているサービス類型については、3年に1回以上の頻度で行う。」など、見直しの方向が示されました。

 そこで伺います。監査・指導の3年に1回の頻度へ体制づくりや、再発防止にむけて具体的にどう取り組まれていくのでしょうか新年度予算のなかでどう位置付けているのか伺います。また、恵の教訓についても合わせて答弁を求めます。

【監査指導室長】令和7年度から、障害福祉サービス事業所への指導・監査を行う監査指導室の職員を3名増員するほか、グループホームに対する運営指導の一部を外部委託して実施しています。

こうした体制強化により、従来6年に1回程度でありました事業所に対する運営指導の実施頻度を、グループホーム等、特に増加が著しいサービス種別については3年に1回実施できるよう、取り組んでいるところです。なお、グループホームに対する運営指導の外部委託に要する経費につきましては、令和8年度当初予算案に11,974千円を計上しています。

また、株式会社恵のような大規模な不正案件が発生した際には、指導・監査を行うにあたり、一時的に大きなマンパワーが必要となることが改めて浮き彫りになりました。こうした教訓を踏まえ、今年度から新設されました障害福祉事業所支援室の職員が監査指導室を兼務することで、大規模な不正事案への対応力の強化を図っています。

【しもおく奈歩議員】  恵だけの問題で終わらせず、じっくりと検証していくことが必要です。職員、利用者へ不利益・人権侵害が再び生じないように、実効性のある再発防止へ力を尽くしていただきたいと思います。

 今、株式会社「恵」の事態を理由に、報酬を引き下げるという提案が示されていると聞きました。どういうものかというと2025年12月6日に行われた報酬改定検討チームの資料で「就労継続支援B型、共同生活援助、児童発達支援、放課後等デイサービスについて、サービスの質を担保しつつ、制度の持続可能性を確保する観点から、それぞれの収支差率に応じて、新規事業に限り2026年度について一定程度引き下げた基本報酬を適用する」ということです。

 必要なのは、処遇改善のための報酬の引き上げです。この国の対応はあまりにも酷すぎます。福祉の現場からは、「いったい何を考えているんだろうか。そんなことをしたら益々職員が集まらなくなってしまう」と、怒りの声が寄せられました。報酬引き下げで困るのは、現場で支援に気持ちをもって働く職員と地域のニーズにこたえて開所したいとがんばっている方々です。そして、いちばん被害を受けるのは障害当事者です。

 そこで伺います。本来の「権利」としての社会福祉のために、福祉関係のいくつかの団体から「臨時」報酬改定での報酬引き下げを行わないよう国に要請をと求める要望が出されていると思います。現場の声をどのように受け止めているのか伺います。また、報酬引き下げはやめるよう国にはっきり言うべきだと思いますが、いかがでしょうか。答弁を求めます

【障害福祉事業所支援室長】 先月、2月6日に、全国福祉保育労働組合東海地方本部はじめ5団体の連名による、「2026年6月臨時報酬改定での報酬引き下げをやめるよう国に意見書の提出を求める要請書」を障害福祉事業所支援室にて受け取っております。

 昨年12月に国から示された報酬引き下げに関し、この要請書において、「急に報酬引き下げの提案がされた」「地域ニーズに応えて開所する事業所の運営に大きな支障がでる」と記載されているとおり、現場では、突然の報酬引き下げの提案に驚かれ、事業所の今後の運営に強い不安を持たれているものと受け止めています。

一方で、国においては、今回の引き下げは、収支差率が高く、かつ事業所が急増しているサービス類型について、新規事業所に限り、臨時応急的な見直しをするものであり、引き下げに当たっては、一定の収支差率を確保できる水準となるよう単価を設定するとともに、受け入れニーズが特に高い重度障害児者やサービスが不足している地域については、適用を除外するとしています。また、この見直しとは別途、障害福祉従事者を対象に、幅広く賃上げを行う、処遇改善加算の拡充を措置することとしています。

 県では国に対し、これまでも、障害福祉事業所等が質の高いサービスを継続して提供できるよう、人件費の高騰や物価高騰による事業所等への影響を適切に捉え、報酬改定など必要な措置を講ずるよう要望してきたところであり、引き続き、国の動向を注視しながら、令和9年度報酬改定に係る要望を行っていきます。

【しもおく奈歩議員】  福祉保育労働組合の方と懇談を行いました。「報酬改定で、いじめても、営利を目的とした事業所には痛手はない。コストをよりカットする方向に行くだけです。再発防止へ必要なのは、認可基準の見直し、研修の機会や監査指導体制の強化と改善計画の実施」と述べられていました。

 権利保障の立場に立って、現場の声を丁寧に聞き取り報酬引き下げではなく、思い切った引き上げを行い、他産業並みの処遇改善を求めていただきたいと思います。国に報酬引き下げ撤回を求めるとともに、人員確保へ愛知県独自の支援、処遇改善につながるよう、独自の直接支援など手立てを打つことも行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。

【障害福祉事業所支援室長】 事業所の人材確保や処遇改善を図るには、処遇改善加算の取得が有効でありますが、障害福祉の現場からは、加算の取得に必要な賃金の改善、キャリアパスの設定などの要件が分からないという声が寄せられています。

そこで、県独自の支援として、令和6年度から、事業所の人材確保、処遇改善の一助となるよう、加算の取得に係る、社会保険労務士等の専門家によるオンラインセミナーの動画配信や、個別訪問相談を行っています。  障害福祉従事者の方々に安心して現場で働き続けていただくため、より多くの事業所に処遇改善加算を取得していただけるよう、来年度もこの事業を継続していきます。

【しもおく奈歩議員】 一定、努力はあると思うが、やはり、賃上げをぜひご尽力いただいて、本当に今、人手が足りなくて、でも、本当になくてはならない。 障害者の人権を保障し、障害者権利条約や憲法にもとづいた障害福祉の拡充を求め質問を終わります。

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