【しもおく奈歩議員】 第1号議案 令和8年度一般会計予算、第5号議案 国民健康保険特別会計について伺います。
国民健康保険の市町村から愛知県への納付金が新年度予算でも引き上げられます。納付金の引上げは5年連続になります。5年間の物価上昇率は約12%と言われていますが、国保の納付金はこの5年間でどう推移してきたのか、あらためて確認したいと思います。2026年度の国保について、一人当り納付金の額、前年度からの増減、増減に係る主な理由と主な理由に係る一人当たりの納付金の内訳の額を示してください。あわせて5年間のトータルではいくらの引上げ、何%の引き上げになったのかもお示しください。
【国民健康保険課担当課長(国民健康保険)】2026年度の市町村国民健康保険納付金について、1人当たりの納付金額は177,502円となり、前年度から8,412円の増額となった。増加の主な理由だが、過去の医療費実績等を踏まえた保険給付費の推計に伴う1人当たり保険給付費の増加及び子ども子育て支援納付金の新設によるものである。また、1人当たり納付金額の内訳として、保険給付費相当額は、被保険者1人当たり120,964円であり前年度より3,372円の増額となった。来年度から新たに加わる子ども子育て支援納付金相当額は、納付対象となる18歳以上の被保険者1人当たり4,190円となる。2021年度から2026年度の5年間のトータルの引き上げについては、1人当たり納付金額が2021年度は136,206円、2026年度は177,502円であることから、この5年間で41,296円の増額、率にして30.3%の増になります。
【しもおく奈歩議員】 新年度の納付金の算定については、プラスとマイナスそれぞれの要素があります。納付金を引き下げる努力もされています。累積剰余金の計画的な取り崩しです。昨年度の決算では実質収支が152億円となり、私は「納付金の取りすぎではないか」、と本会議討論で指摘しました。とりすぎた納付金を戻していく、県と市町村とで合意した累積剰余金活用ルールに基づく運用が始まっていると聞きました。そこでうかがいます。
累積剰余金について、どんなルールで活用し、総額いくらになるのでしょうか。市町村・被保険者へどう還元していくのでしょうか。2026年度の納付金算定にはどのように反映しているのでしょうか。今後の計画も示してください。そして、2024年度の決算において、なぜ剰余金が現計予算から増えたのでしょうか、その要因と今後の対策についてもお示しください。
【国民健康保険課担当課長(国民健康保険)】 剰余金の活用ルールについては、本県と市町村で協議し、納付金の急激な上昇を抑制するため、累積剰余金を原則3年間で活用することなどを定めており、累積剰余金の総額は、2025年度末で約109億円を見込んでいる。市町村・被保険者に対しては、この活用ルールに基づき、納付金の引き下げに活用しており、2026年度の算定では、累積剰余金約26億円を活用し、被保険者1人当たり約2,300円の引き下げを行った。今後の計画については、納付金が年度ごとに算定するものであることから、毎年度市町村と協議の上、ルールを設定し、累積剰余金の活用を図っていく。また、2024年度決算における剰余金が、現計予算から増えた主な理由は、歳入において国庫支出金が見込みを上回った一方、歳出において市町村に対する保険給付費等交付金が下回ったことによるものである。予算の積算にあたっては、過去の保険給付費の実績等を踏まえつつ、市町村ともしっかり協議し、適切に算定したいと考えています。
【しもおく奈歩議員】 逆に納付金を引き上げた要素の一つが新しく始まった子ども子育て支援納付金です。こちらは国保運営とはまったく別モノである児童手当等の財源確保のために、国から支援金の徴収だけが押しつけられたものです。この新しい納付金は「賃上げと歳出改革により実質的な負担は生じない」と法律の付則に明記されていました。ところが、賃上げとはほぼ無縁な国保加入者には大きな負担を生じるものになっています。
新年度予算を見ると、愛知県は国に子ども子育て支援納付金として80億4105万円を納付する、市町村からは、子ども子育て支援納付金として43億8184万円を納めさせます。市町村から集める納付金額は一人当たり4190円(18歳以上)です。今回の納付金引上げ額8412円のほぼ5割です。子育て世帯にも重い負担です。ところで一人当たり支援金算定額は子ども家庭庁の試算では国保では新年度2400円とされていたはずです。
子ども子育て支援納付金について、2026年度は初年度となりますが、27年度、28年度と負担が増えていくのか、現段階での見通しを示してください。
【国民健康保険課担当課長(国民健康保険)】 国は子ども子育て支援納付金について、歳出改革と賃上げによる実質的な社会保険料の負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で、2026年度から2028年度にかけて段階的に導入し、各年度の総額を定めることとしている。国の試算によれば、市町村国保における1月当たりの被保険者1人当たり支援金は、2026年度は200円、2027年度は300円、そして2028年度からは400円となる。なお、子ども子育て支援納付金の総額については、子ども子育て支援関連事業の実施状況といった様々な要因により影響されることから、変動する可能性が十分にあります。
【しもおく奈歩議員】 さらにあと2年、負担がふくらみます。大きすぎる負担です。神奈川県は、昨年12月に、国の厚生労働省保険局長あてに、市町村、国保組合などと連名で、「子ども・子育て支援金制度の創設に伴う支援納付金に係る保険料負担が実質的負担増とならないよう財政支援措置の実施等を求める要望書」を提出しています。子ども・子育て支援納付金は国保加入者にとって重い負担増です。愛知県からも市町村と共に、「負担増にならないように必要な支援を」と国に迫るべきではありませんか?答弁を求めます。
【国民健康保険課担当課長(国民健康保険)】今年度、全国知事会から国に対し、「『こども未来戦略』における子ども・子育て支援金制度については、国民に実質的な負担を生じさせないこととされており、子ども・子育て支援納付金が低所得者の過度な負担増とならないよう、国による十分な財政措置を行うこと」を要望している。本県としては、子ども子育て支援納付金が、全国共通の制度であることから、引き続き全国知事会を通じて、国が責任を持って必要な財政措置を行うよう要望していきたいと考えています。
【しもおく奈歩議員】 財政安定化基金についてもうかがいます。愛知県の国保財政安定化基金は、原則剰余金のすべてを積み立てています。制度が変更されて、年度間の財政調整にも活用できる、言い変えれば、保険料の値上げを抑えるためにも活用できるとされたと思います。同様の仕組みは後期高齢者広域連合にもあり、愛知県の広域連合では2年前の保険料改定時に、保険料率の増加を抑えるために、愛知県の財政安定化基金から特例交付を受けました。
納付金の引き上げで各市町村では国保料(税)の引き上げが続いています。愛知県の国保財政安定化基金はいくらありますか。総額及び一人当たり納付金に換算した金額でもお示しください。
【国民健康保険課担当課長(国民健康保険)】本県の国民健康保険財政安定化基金は、2026年度当初において、基金全体で約220億円を見込み、このうち、納付金の抑制に活用できる財政調整事業分は約109億円を見込んでいる。この財政調整事業分について、被保険者1人当たり納付金に換算すると約9,400円となっています。
【しもおく奈歩議員】 一般会計からの補助、法定外繰入れも検討すべきです。国保に関して県は国に対し二つ要望しています。一つは、毎年3400億円の公費投入では足りない、更なる財政基盤の強化を求めています。つまり国に法定外繰入れを求めているわけです。もう一つは、地方単独の医療費助成にかかる国庫負担金の減額措置の廃止を求めています。障害者医療費助成など地方単独事業については本来国が制度的に対応すべきとしています。ところがその一方で、愛知県は市町村に対しては、一般会計から国保へお金を入れる、法定外繰入れの解消をと強く迫っており、これが市町村国保の値上げの要因となり、市町村からは悲鳴が上がっています。
名古屋市から愛知県への予算要望では、「福祉医療費支給事業の実施に伴い、医療費が増加するとして減額される国庫負担金相当額については、本市が県に対して納付する事業費納付金へ加算されており、被保険者の負担となっている、この事業費納付金への加算の廃止など被保険者の負担に配慮した支援の充実を図ること」としています。名古屋市は11億円あまりを一般会計から繰り入れています。市町村の切実な訴えに応えるべきです。東京都は市区町村の福祉医療に伴う減額分として58億円あまりを一般会計から国保へ繰り入れています。愛知県も以前はこの減額分相当を市町村へ補助していました。
そこでうかがいます。福祉医療の実施に伴う国庫負担の減額分として市町村国保がどれだけ負担しているのか明らかにしてください。少なくとも福祉医療に伴う国庫減額分については愛知県として一般会計から国保会計に繰り入れるべきと考えますがいかがでしょうか。
【国民健康保険課担当課長(国民健康保険)】福祉医療の実施に伴う国庫減額分は、2026年度では、本県全体で約32億円を見込んでいる。福祉医療の実施に伴う国庫減額分に対する本県独自の市町村補助金については、2013年度における補助額が被保険者1人当たり24円と少額であり、補助金の申請等に係る補助効果や事務負担を検討した結果、翌年度の2014年度から補助を廃止している。県では、国要請において、国庫減額措置廃止を要望しているところであるが、今後も引き続き国に対し様々な機会を通じて、要望していきたいと考えています。
【しもおく奈歩議員】 社会保険料の負担が国政でも焦点の一つになっていますが、いちばん負担が重いのが国民健康保険です。高すぎる国保料(税)の更なる値上げを招く納付金の引き上げは認めることはできません。県として必要な公費投入を決断するように重ねて要望して質問を終わります。