議会報告

物価高騰を上回る賃上げ、中小企業へ直接支援を 「本会議」質疑・答弁

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2025年12月議会 追加議案に本会議質疑・答弁

【しもおく奈歩議員】 第238号議案 令和7年度愛知県一般会計補正予算(第6号)について、伺います。まず、中小企業等が継続的に賃上げできる環境整備を促進することについてです。

 今回の補正予算には、物価高騰対策として国の重点支援地方交付金関連事業が384億560万円計上されています。実質賃金のマイナスが5年にわたって続くなか、賃上げ支援策への期待は切実です。ところが中小企業の賃上げ支援として打ち出されたのは、「中小企業等が継続的に賃上げできる環境整備の促進」に2億3167万円だけです。中身も、賃上げへの直接支援ではなく、生産性向上や持続的成長に向けた取組として、デジタル化への補助や相談体制の新設強化であり、継続的に賃上げできる環境整備、設備投資への補助となっています。設備投資への支援を全て否定するものではありませんが、これらの事業で果たして中小企業の賃上げ支援策として有効性、即効性があるのでしょうか。 たとえば、東京都も賃上げ支援の独自事業を行っていますが、支援のための条件が複雑で手続きも煩雑で、申請から至急まで1年近くかかるとも指摘されています。

 今回、国が示した重点支援地方交付金の推奨事業メニューでは、群馬県の賃上げに係る支援が紹介されています。従業員の賃金を5%以上引き上げた中小企業等を対象に、従業員一人当たり5万円(上限40人)を支給する事業です。シンプルで直接的な支援こそ必要なのです。 

 そこでうかがいます。第一に、事業の対象企業数です。新規事業の「デジタル化に対する補助」1億2333万3千円は1社あたりの補助上限が200万円、単純に割れば、61社分です。補助対象となる会社は約18万とも20万ともいわれる愛知の中小企業・小規模事業者のうち何社,何%を想定しているのですか?

 第二に、賃上げ効果です。2億3千万円の予算で、愛知の中小企業の賃上げ環境整備にどのくらい寄与できるのですか?

 第三に、効果が出るまでどれくらいかかるのですか?見通しをお示しください。継続的に賃上げできる環境整備を否定はしませんが、補正予算を組むのは緊急に手を打つ必要があるからです。

 第四に、賃上げ支援は、群馬県のように一定の賃上げをした企業へ直接補助する方が、即効性があり企業へのインパクトも強いのではありませんか?なぜ、賃上げへの直接支援ではなく、環境整備の促進にしたのか?その理由をお聞かせください。

【経済産業局長答弁】 中小企業デジタル化・DX促進事業費補助金についてお答えします。県内中小・小規模事業者が継続的な賃上げを実施していくためには、デジタル技術の導入を通じて、業務改善、生産性を向上し、いわゆる「稼ぐ力」を強化していくことが重要となります。このため、この事業では、デジタルツール導入等の経費の一部を助成するとともに、導入後のフォローアップを行い、生産性向上に向けた取組効果を高めることとしています。

 補助事業における想定採択企業数は、今年度当初予算で実施している同種補助事業の実績を踏まえ、75社程度、県内中小・小規模事業者の総数約19万5千社に対しては1%を下回る一方、普及啓発セミナーや先進企業の現場見学会を通じて横展開を図ります。

 さらに、県内80商工会・商工会連合会・商工会議所の経営指導員が専門家とともに、きめ細かく伴走支援を併せて行うこととしており、県内全域の中小・小規模企業に事業効果が及ぶよう、しっかりと取り組んでまいります。 

{【労働局長答弁】 賃上げ支援に係るお尋ねの内、賃上げへの直接支援ではなく、環境整備の促進とした理由、及び支援による賃上げ効果、効果が出るまでの期間についてお答えします。

 近年、賃上げの流れが定着しており、中小企業が継続的な賃上げを実現していくためには、生産性の向上を図り、賃上げの原資となる収益を持続的、安定的に確保することが必要です。

 将来にわたって企業の稼ぐ力を高めていく上では、当面の賃上げ原資の一部に充てられる資金を給付する手法ではなく、企業による生産性向上に向けた取組を後押しすることがより効果的と考え、そこに注力することといたしました。

 具体的には、生産性向上に有効なデジタル化を促進するため、担い手となる人材の育成や、生成AI活用に係る情報提供、デジタルツール導入等に係る支援を実施します。支援対象とした企業の取組は、モデルケースとして、成果発表会等を通じて幅広い企業への横展開を図ってまいります。

また、商工会等が専門家と連携して行う伴走支援や講習会、ウインクあいち内に新設する賃上げ相談窓口での対応により、多くの中小企業の皆様に寄り添った支援をお届けしてまいります。

 こうした支援の取組を総合的に推進することにより、定量的に賃上げ効果や、効果が出るまでの期間を計ることは困難ですが、デジタル化等による中小企業の生産性、収益力の向上は着実に進展し、継続的な賃上げの実現に資するものと考えております。

【しもおく奈歩議員】 一点要望します。まず、賃上げの環境整備についてです。物価高騰で県民のくらしは、ますます厳しくなっています。 食料品の値上げラッシュが相次ぐ一方で、賃金は物価高騰に全く追い付かず、実質賃金がマイナスとなったのは5年連続です。

全労連の最低生計費試算調査の結果では、若者が自立し人間らしく生活するために最低必要な生計費は、時給で1700円~1900円であることが明らかになりました。

しんぐるまざあず・ふぉーらむが、行った調査によると「昨日、子ども(末子)は一日何食食べましたか?」とたずねた質問に、41%が「2食以下」という回答でした。また、「6月、家族が必要とするお米を買えないことがありましたか」という質問では、「買えない」経験をした世帯は66%でした。これは、昨年の41%より25ポイントの大幅増だったと調査結果で述べられていました。

 こういう危機的事態の打開へ、直接くらしをあたため即効性のある、物価高騰を上回る賃上げへと中小企業への直接支援こそ必要です。細切れの物価高騰対策では、追いつきません。国に対して最低賃金1500円以上を求めるとともに、県独自の賃上げ支援を決断することを強く要望します。

 

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