2025年12月議会で下奥県議が追及
【しもおく奈歩議員 質疑】 物価対策以外の補正予算のうち、国際スポーツ推進事業費と愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会負担金についてうかがいます。
アジア・アジアパラ競技大会に必要な仮設電源設備の整備、競技会場の実施設計及び工事、開閉会式の運営計画策定について。計画では来年度に支払う予定で債務負担行為として計上していたものから約212億円以上を前倒しで支払うことにするものです。開閉会式の運営計画作成以外の支払先は全てGLイベンツ社です。
工事が遅れて予算の執行が遅れることはよく耳にしますが、予定よりも早く支払いが必要になったというのはどういうことなのでしょうか。
そこでうかがいます。なぜ、急にGLイベンツ社への多額の支払いが必要になったのか、いつ前倒しでの支払いをという話があったのでしょうか、もともとの契約ではいつ支払うことになっていたのか、3点について答弁を求めます。
GLイベンツはアジア・アジアパラ競技大会のプレステージパートナーとして22億円の協賛金を組織委員会に納め、随意契約で競技会場の設営や運営を約630億円で受注しています。
ところがこの会社は、大阪関西万博でパビリオン建設工事の元請け会社でありながら下請けへの工事代金を払わず、訴えられる事態を引き起こしました。社会的な不正が疑われる状態はいまだ解決しておりません。このまま、この会社に言われるままに支払いをすることは問題です。国からの百億円を超える補助金が投入されることになった大会です。そのスポンサー企業の社会的不正疑惑です。これまで以上に大会運営の透明性が求められています。
そこでうかがいます。知事は、この件で「調査をする」と記者会見で述べましたが、調査結果についてはいまだに何の報告もありません。県と組織委員会が調査した結果を明らかにしてください。また、愛知でも未払い問題が起きないようにする必要があります。どのような対策を検討していくのか伺います。
愛知県では、契約した企業が問題を起こしたとき、契約そのものはどうなるのでしょうか。他の自治体での談合が明らかになった企業は指名停止となります。
そこでうかがいます。万博パビリオンでの未払い問題を解決するまでは、GLイベンツへの支払いは停止し、未払い状態が継続するのならば、契約を見直すことも視野に入れた対応をするべきではありませんか? 以上、回答を求めます。
【アジア・アジアパラ競技大会推進局長 答弁】始めに、GLイベンツ社への支払いについて、お答えいたします。
今回、追加提出した内容や予算額は、令和7年度当初予算の成立時においては、2026年度に執行する予定でした。
組織委員会とGLイベンツ社は、今年4月3日に業務委託契約を締結しましたが、本契約に基づき、前金払い及び出来高による部分払いの必要が生じ、5月にGLイベンツ社に対して組織委員会の資金により189億円の前払いを行っているところです。
また、契約では、作業の進捗状況に応じ、2月に支払うことともなっております。そのため、2月の支払いに向け、組織委員会において、GLイベンツ社の作業の進捗状況や、組織委員会の資金調達の方策について検討した結果、開催都市からの負担金が必要となったものです。
次に、GLイベンツ社に対する事実確認の結果と対策について、お答えいたします。
一連の報道を受けて、組織委員会はGLイベンツ社に対して、報道内容にかかる事実を確認し、本年7月15日にGLイベンツ社から報告を受けておりますが、報告の内容について、組織委員会がGLイベンツ社との契約による守秘義務が課されていることから、詳細の公表は差し控えさせていただきます。
なお、GLイベンツ社はアジア競技大会及びアジアパラ競技大会のTier1のスポンサーとなっておりますが、現時点でGLイベンツ社から組織委員会に対し、スポンサー料の全額の支払いを受けたという事実はございません。
組織委員会においては、同様の事象が生じないよう、継続的にGLイベンツ社と協議・調整を行っているところであります。
県といたしましても、まずは下請けとなる企業が一連の報道に惑わされることなく、安心して参画できることが何より重要と考えております。そのため、組織委員会を通じて、適宜、工事の進捗などの状況把握を行い、大会の準備が円滑に進むよう努めてまいります。
最後に、GLイベンツ社との契約の見直しについてお答えいたします。
GLイベンツ社の大阪・関西万博における業務委託と、組織委員会が契約しているアジア・アジアパラ競技大会における競技会場設営・運営業務委託は直接関係があるものではございません。したがって、このことだけをもって、契約の見直しには至らないと考えております。
本県といたしましては、大会の開催に向けて、様々な業務が円滑に進むよう、組織委員会及び名古屋市ともしっかりと連携を図ってまいります。
本会議の討論
【しもおく奈歩議員】只今議題になっております。第238号議案 令和7年度愛知県一般会計補正予算(第6号)について、反対の立場から討論を行います。
国際スポーツ推進事業費の「国際的なスポーツ大会開催に必要な仮設電源設備の整備」、愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会負担金の「競技大会仮設整備の実施設計及び工事」、これらはいずれもGLイベンツが請け負っているものです。
この会社は、大阪・関西万博のルーマニア、セルビア、ドイツ、マルタのパビリオン建設で下請けへの未払いを起こし問題になっています。未払いの被害をうけた下請け事業者は「未払いの結果、売れるものは全部売った」「いつまで会社がもつかわからない」「未払い以降全く笑っていない」と、悲痛な声が上がっています。
GLイベンツ社は、4か国のパビリオン建設の元請でしたが、全体を監督するどころかまともに設計図を作らない、工事内容に変更がありその際下請けが求めても契約書を交わさずに口頭で済ます、気に食わないからと工事を何度もやり直しさせる挙句の果てには工事が終わってから契約解除を下請けに突きつけるなど、建設業法に違反する行為が指摘されています。
また、無許可営業の疑惑も出てきています。建設業法第三条及び施行令第一条には二つ以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業しようとするものは、国土交通大臣の許可を受けなければならないとしています。GLイベンツ社の本社は東京にあります。ただ、万博会場近くのATCビルに営業所を構えて、そこで請負契約業務を行っていました。しかし、国土交通大臣の許可は受けていないということが分かりました。
さらに、被害を受けた下請業者の訴状では、「アジア大会への多額の協賛金を支出したばかりのタイミングのため、現時点では請求を支払うだけの資力はない」とGLイベンツが述べたことが明らかになりました。
GLイベンツジャパンは、アジア・アジアパラ競技大会の競技会場設営や運用費の業務を630億円で受注しています。これは、随意契約です。先ほど答弁で、22億円全額納めた事実はないと述べられました。不誠実な対応だと思います。看過できない問題です。
午前中の答弁で、「下請けとなる企業が、一連の報道に惑わされることがないよう」と、述べられました。下請業者への未払いが未解決のままであることが問題で、会社への不信感から会場設営や運営業務への影響が強く懸念され、下請け業者が安心して仕事ができる状況にあるのかということです。このままGLイベンツ社との契約を続けることは、アジア・アジアパラ競技大会への県民・市民からの支持と信頼をも失うことになりかねません。
以上の理由により、賛成出来ません。今からでも、GLイベンツ社との契約について見直すことを求め討論とします。