議会報告

「知事・議員の報酬引上げ」「教員に残業強いる調整額」に反対

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2025年12月議会 しもおく議員「反対討論」

日本共産党しもおく奈歩です。只今、議題となっております。諸議案のうち第157号議案 令和7年度愛知県一般会計補正予算(第5号)について及び、第172号議案、第174号議案、第189号議案について反対討論を行います。

 まず、第157号議案 令和7年度愛知県一般会計補正予算(第5号)と第172号議案 愛知県教育委員会教育長給与条例等の一部改正についてです。

 愛知県特別職報酬等審議会は、11月12日に答申を愛知県に報告しました。答申どおり改定すると、知事の給料は月額141万1千円から3万9千円引き上げて145万円に、議員の報酬も月額99万9千円から2万7千円引き上げて102万6千円に引き上げられます。審議会の答申では「昨今の民間企業における賃金引上げの実態をはじめとする社会経済情勢、愛知県の財政運営は厳しい状況にありながらも、健全で持続可能な財政基盤の確立を図っていることなどを鑑みる と、改定を見送るべき要素はない」と、総合的に勘案した結果、県議会議員の議員報酬並びに 知事及び副知事の給料の額を2.79%引き上げるべきと判断したと述べられています。

 しかし、これは県民の生活実感から解離していると思います。先の一般会計決算の討論でも述べたように、米をはじめ物価高騰に歯止めがかからず、愛知県の勤労統計によると実質賃金はマイナス1.3%となりました。実質賃金がマイナスとなったのは5年連続です。物価高騰に賃金が追いつかず、県民のくらしは厳しくなる一方です。

 国会議員の給与に当たる歳費は、「物価高で苦しむ国民の理解が得られない」と、国会議員の月額歳費の5万円引き上げは当面の間見送ると報道されていました。

 10月18日から愛知県の最低賃金は、時間給1,140円とすることが決まりましたが愛知県労働組合総連合は「最低賃金1140円では生活改善できない」と談話を出しその中で、「今すぐ1,500円」の要求からすればほど遠く、生活苦に追い込まれている労働者の暮らしを改善するには足りない。」と述べています。

 また、審議会は「健全で持続可能な財政基盤の確立を図っている」から、愛知県の財政運営は厳しくても、特別職の報酬を引き上げても大丈夫と判断したようです。いつもは、財政が厳しいからと県民要求の実現には背を向けているのに、特別職の報酬引き上げだけは可能というのでしょうか。健全で持続可能な財政力があるのならば、まず真っ先に県民生活の支援、中小企業の賃上げ支援にこそ活かすべきです。

 このような状況のもとで、特別職の報酬等と期末手当を引き上げることは賛成できません。

 次に、第174号議案 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置条例等の一部改正についてです。

 この条例は、今年6月11日に国会で成立し、18日に公布された、「公立の義務教育諸学校等の教職員の給与等に関する特別措置法等」の一部改正に伴う条例の一部改正です。

 私は、今年3月14日に、教育・スポーツ委員会で教員不足の問題を取り上げ、教員不足による長時間・過密労働によって、精神疾患による教員の休職者がこの5年間で1・5倍になっていることを明らかにし、一刻も早く教員不足を解決し、教員の長時間・過密労働をなくすことを求めました。

 教員給与特別措置法は、もともと1971年に公立学校の教員に対し残業代支給を適用除外とするために制定されたものです。制定以降、教員を増やさず次々業務を増やし労働時間は無定量となりました。まさに、「定額働かせ放題」法です。小中学校の教員は毎日平均11時間半働き、休憩どころかトイレにも行けず、「もう限界」と悲鳴が上がっています。

 今回の改正は、残業代不支給には手をつけず、教職調整額を現行の4%から10%に引き上げるだけのものです。これは現状の労働実態に全く見合わず、長時間・過密労働に歯止めをかけることにはなりません。国会で、当時の阿部文科相は「所定の勤務時間外に教師が業務を行う時間は、労働基準法上の労働時間とはいえない」と繰り返し答弁しました。

しかし、勤務中に倒れ、その後精神症状と身体麻痺を発症した豊橋市の公立中学校教諭の鳥居建仁教諭が起こした裁判で名古屋地裁は2011年、「勤務時間外に勤務を命ずる旨の個別的な指揮命令がなかったとしても、それが社会通念上必要と認められるものである限り、包括的な職務命令に基づいた勤務時間外の職務遂行と認められる」と判決し、確定しています。最高裁もこの判例を認めています。勤務時間外であっても労働時間であり、長時間・過密労働を食い止めることは、一刻の猶予もなりません。

 さらに、この改正に伴い、文部科学省は、特別支援教育に携わる教員への給料の調整額を引き下げ、学級担任への手当加算を対象外とすることを示しております。特別支援教育を軽視するものです。また、「主務教諭」の創設を決めていますが、教員間に階層化と分断を生み、業務負担の増大も懸念されます。先に「主任教諭」を導入した東京都では対等に支え合う教員の同僚性が壊されています。

教員の長時間・過密労働の歯止めにはならない、国で改正された教員給与特別措置法等に基づく条例改正に賛成出来ません。

 最後に、第189号議案 訴えの提起(奨学金貸付金 返還請求事件)についてです。

高校生へ貸し付けた奨学資金等の返済を求めて訴えを起こす、時効による債権消滅を防ぐための提訴です。

返さなくていい給付型奨学金への転換と返済支援こそ決断すべきです。子どもたちに、奨学金という名の借金を負わせるやり方はやめるべきです。

あるアンケートによると「教育に関わる私費負担が高額で、子どもの望む進学や選択をさ せられないことに対する不安もある」「授業料だけではなく、全ての支度金などの負担をなくしてほしいです。お金がなくて、子どもに高校も行かせてあげられません。払えるかわからない借金をしてなんとか高校にいかせます。」など、深刻な声が寄せられています。

高校は、子育て世帯への負担が重く子どもたちの進路選択の自由、学ぶ権利を阻むものになっています。10代のうちに、奨学金という重い借金を背負うことも大きなハードルです。

学びの前の壁を打ち破るのは、県や国の責任だと思います。

 裁判に訴えて機械的に返済を迫るのではなく、個々の実情を十分に把握したうえで、一人ひとりに寄り添った対応を進めることが求められています。お金の心配なく学べるように、若い世代に寄り添った県政への転換を強く求めて討論とします。

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