議会報告

「不安をあおり、外国人差別を助長する意見書案」には賛成できない

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2025年12月議会で、しもおく議員が討論

「外国人及び外国法人等による土地等の取得に関する法整備についての意見書」(案)」ついて反対の立場から討論を行います。 

 この意見書案は、外国人及び外国法人等による土地等の取得のうち、我が国の安全保障や国土保全に重大な支障を及ぼすと判断される取得に関する法整備を図るよう国に要望するものですが、賛成できません。

 意見書案では、防衛関係施設周辺や国境離島、水源地や森林などの安全保障や国土保全の上で重要な土地等が外国人及び外国法人等により不適切に利用・管理されれば、我が国の社会全体に深刻な影響を及ぼしかねない。令和4年には重要土地等調査法、正式名称は「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」が施行されたが、対象区域が限定され外国人及び外国法人等への制限がないから不十分だとしています。

 この意見書に反対する理由の第一は、重要施設周辺などでの土地利用の規制そのものが問題だからです。外国人への規制以前の問題です。

 重要土地等調査法では、既に47都道府県585カ所を「注視区域」「特別注視区域」として土地利用を規制区域と定めていますが、この土地規制が経済活動やまちづくりに影響を与え、基地の負担に苦しむ住民にさらなる負担を強いるものとなっています。さらに基地や原発などの周辺住民を政府が監視し、憲法が保障するプライバシー権や財産権、思想・良心の自由を侵害します。とりわけ米軍基地が集中する沖縄県では「新たな基地負担」だと厳しい批判があがっています。嘉手納基地などをかかえる嘉手納町は町のほぼ全域が、北谷町(ちゃたんちょう)(ちゃたんちょう)でもほぼ全域が「特別注視区域」とされ、経済活動やまちづくりにも支障になりかねません。

沖縄県だけでなく東京都や神奈川県、青森県、山口県、長崎県などでも主要な米軍基地の周辺が「特別注視区域」とされています。外国資本に買収され乱開発されるのではないか等の不安に乗じて対象区域を広げることにつながりかねないものです。

反対する理由の第二は、土地の買いあさりなどの真の原因から目をそらすものだからです。外国人による不動産投機の増加は、第二次安倍政権の規制緩和とアベノミクスによる円安の結果であり、政府が国内外の不動産ファンドなどによる住宅投機を野放しにしてきたためです。土地を保有するのが外国人や外国法人だから問題なのではなく、土地の適正利用がなされるかどうかが重要な点です。

最後に、意見書案の中で「防衛関係施設周辺や国境離島、水源地や森林などの安全保障や国土保全の上で重要な土地等の取得が進んでいる」とありますが、農林水産省は「令和6年に外国法人等により取得された森林面積は382ha(全国の私有林面積(1,431万ha)の0.003%)で、平成18年からの累計は10,396ha(同0.07%)です。取得面積に大きな増加傾向は見られません。」と、公式に示しています。

また、外国資本による基地周辺の土地購入について2025年に公表された内閣府の調査では、所有者が外国人と思われる土地は3498筆で取得総数の3.1%だったことがわかっています。意見書案で述べている懸念は、当たらないと思います。その内閣府の調査で、「令和6年度において、重要土地調査法第九条の規定による(重要施設等の機能を阻害するような土地等の利用の中止等を求める)勧告および命令は実施していない」と、示されており何の問題も起きていないこともはっきりしています。

不安をあおり、外国人差別を助長することになる、意見書案には賛成できません。

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