2025年12月議会 福祉医療委員会
【しもおく奈歩議員】 被爆二世のがん検診について、質問します。 今年は、被爆80年という節目の年となりました。2024年度末現在の愛知県内の被爆者健康手帳の交付者数は1,236人、平均年齢は84.51歳と、被爆者が高齢になり、被爆体験を語ることが難しくなっていくなかで、次の世代に引き継いでいく重要な役割を担うのは被爆二世の方々です。県として、この方々の健康不安にも寄り添っていただきたいと思います。
まず伺います。被爆二世の方々が申請したら受け取れる「健康記録簿」について、いつから始めて、どういう内容のものかご説明お願いします。
【健康対策課担当課長】 本県では、被爆二世健康記録簿を2021年11月から配布しています。この記録簿は、健康管理に役立ててもらうことを目的に配布しているもので、県が国から受託し実施している被爆二世健康診断の結果をご自身で4回分記録することができるほか、かかったことのある病気や現在かかっている病気、予防接種の状況なども記録することができます。健康診断の5回目以降の記録については、新たな健康記録簿を配布し、継続して管理できるようにしています。
【しもおく奈歩議員】 ありがとうございます。その健康記録簿の申請数の推移を2021年の配布開始からどのようになっているかお示しください。また、被爆二世の検診を受けた人数について、5年間の推移をお示しください。
【健康対策課担当課長】 被爆二世健康記録簿の申請数は、愛知県在住の方で2021年度は423名、2022年度は62名、2023年度は27名、2024年度は21名となっています。被爆二世健康診断の受診者数は愛知県在住の方で、2020年度は255人、2021年度は336人、2022年度は316人、2023年度は323人、2024年度は316人となっています。
【しもおく奈歩議員】 次に、伺います。現在、愛知県では「被爆二世検診」で受けられる検診の項目について、どのようになっているかお示しください。
【健康対策課担当課長】 健康診断には一般検査と精密検査があり、一般検査では、血圧測定や尿検査の他、血液検査として、炎症の有無を判断するCRP定量、血球数、血色素の3つの検査を実施しています。 また、医師が必要と認めた場合には、肝臓機能検査や糖尿病かどうかを判断するヘモグロビンA1c検査も実施します。 精密検査につきましては、一般検査の結果に応じて医師が必要と認めた場合に、眼底検査やエックス線検査などの検査を実施します。
なお、一般検査につきましては、受診者が希望する場合、血液細胞ががん化することで起こる多発性骨髄腫の検査を2016年度から実施しています。
【しもおく奈歩議員】 ありがとうございます。残念ながら、がん検診は、含まれておりません。被爆者援護法に基づき、被爆者と認定されると、医療費の自己負担分が補助され、手当なども受けられますが、被爆二世については根拠となる法律がありません。しかし、被爆者救護法に準ずる「付帯決議」の中には被爆二世、三世の健康面について記載されました。 「原子爆弾被爆者にたいする援護に関する法律に対する付帯決議」の5番の部分に書かれていることを紹介してください。
【健康対策課担当課長】 被爆者援護法の附帯決議の5番には、「被爆者とその子及び孫に対する影響についての調査、研究及びその対策について十分配慮し、二世の健康診断については、継続して行うとともに、その置かれている立場を理解して一層充実を図ること」と書かれています。
【しもおく奈歩議員】 今読み上げていただいた付帯決議で触れている部分について、元々提出された被爆者援護法案では「被爆2世3世に対する影響も対象に」と示されていました。しかし、衆議院で否決されて現行の法律になった経過があります。その趣旨は、付帯決議に残りました。 被爆二世の健康診断について「その置かれている立場を理解して一層充実を図ること」とあります。被爆二世から「がんの不安がある」という声や「被爆二世の不安解消へ少なくともがん検診行ってほしい」という声が寄せられています。東京都や静岡県は独自にがん検診を項目に加えて行っていると聞きました。
そこで伺います。被爆者救護法の付帯決議を尊重する立場に立って、愛知県独自で被爆二世へのがん検診を決断していただきたいと思います。いかがでしょうか答弁を求めます。
【健康対策課担当課長】 被爆二世に対しては、放射線影響研究所において2000年から2007年にかけて健康影響に関する調査が行われました。その結果、親の被爆線量と生活習慣病との関連を示す証拠は得られませんでしたが、今後調査対象となる方々の高齢化に伴って影響がみられる可能性は否定できないなどとし、引き続き調査が継続されています。
被爆二世健康診断の実施主体である国が引き続き調査を行っていることから、県としては、国の動向を注視してまいります。
【しもおく奈歩議員】 戦争責任・国家補償として、取り組むことが必要だと思います。被爆二世も原爆の被害者として考え、国の判断待ちにせず、不安解消へ県独自のがん検診を行っていただくことを求め質問を終わります。