2025年12月議会 福祉医療委員会
【しもおく奈歩議員】 病院内保育所の保育士の処遇改善について、質問をしたいと思います。まず、病院内保育所の役割について、県としての認識を伺います。
【医務課担当課長(看護・医療指導)】 病院内保育所については、病院特有の夜間や休日勤務に対応した柔軟な保育サービスを提供しており、子育てと仕事の両立を支援することで、職員の「離職防止」や一定期間、育児のために離職している方の再就業の機会となり、「人材確保」に資するものと認識しております。
【しもおく奈歩議員】 「人材確保」していくことに資するものということを述べられました。やはり24時間、医療従事者が命と向き合う、職員が仕事も子育ても両立しながら安心して働き続けられると、そういう役割を果たしていると思います。医療現場を支えるために、欠かせないものだと思います。しかし、専門職である保育士の処遇が著しく低いという状況があります。院内保育所で働く保育士の賃金の原資となる国からの補助金は2013年度の保育士一人当たりの月額標準単価が基本額18万800円のまま、10年以上据え置かれてきました。
そこで、伺います。補助単価について、愛知県は独自に引き上げる努力をされたのか、それとも18万800円据え置きできているのかお示しください。
【医務課担当課長(看護・医療指導)】 補助単価については、厚生労働省が示す「地域医療介護総合確保基金」に係る「標準単価」を準用し単価を設定しており、18万800円据え置きとなっております。
「補助単価の見直しは、現在検討している」
【しもおく奈歩議員】 愛知県は、据え置かれてきたということでした。賃金をあげる手立てが必要です。近隣県では、静岡県は平成26年度に地域医療介護総合確保基金ができた時に補助単価を見直して、22万5,600円に引き上げて努力しています。愛知の医療現場を支えるために、愛知県も補助単価を見直していただきたいと思います。いかがでしょうか。答弁を求めます。
【医務課担当課長(看護・医療指導)】 「病院内保育所運営費補助金」の補助単価の見直しにつきましては、安定的な病院内保育所の運営に資することから、現在検討しているところでございます。
【しもおく奈歩議員】 検討していただいているということですので、是非見直しをして引き上げをしていただきたいと思います。保育士全体の賃金水準が他産業よりも低いことが問題となり、認可保育所を対象とした処遇改善が不十分ながらも進んできましたが、多くが無認可である院内保育所の保育士の賃金は低い水準のままとなっていました。
わが党議員の国会質問でも示された、全医労の皆様のアンケート結果では、院内保育所で働く正社員、契約社員の保育士の基本給の平均は約19万円です。月々20万円もないのです。一般の保育士さんと比べても8万1,000円低く、全産業と比べても20万8,000円低いという現状です。
日本医労連の院内保育所実態調査の結果では、認可保育所との格差について感じている施設は61%にものぼり、賃金面での格差を訴えている施設が約7割にものぼっています。また、賃金について2023年厚労省賃金構想基本統計調査の保育士「20歳~24歳」の平均賃金は224,900円となっています。正確な比較にはならないが、院内保育所の保育士との賃金格差は、49,000円にも及ぶ。と、ケア労働者の賃上げから取り残されている実態を示しています。
こうした現状をうけ、現場からの声も実り、国から「地域医療介護総合確保基金に係る標準単価の一部改定について」通知が出されました。この通知では、基本額を5万6,600円増の23万7,400円としました。また、24時間保育や病児等保育、休日保育等への加算額も引き上げられました。愛知県にも、通知が届いていると思います。
そこで、伺います。今回改定された基金について国へ応募したあと、取り下げたと伺いました。いつ応募し、いつ取り下げを決めたのか、またその理由について合わせて答弁を求めます。
【医療計画課担当課長(予算・経理・医療計画)】 国の標準単価改定による所要額の算定に時間を要するため、一旦は11月5日に基金の追加募集に応募しましたが、仮に単価を国の標準単価に増額する場合でも基金に不足が生じないことが判明したことから、11月18日に応募を取り下げました。
【しもおく奈歩議員】 取り下げたのは県の財源で十分できるという判断だったということでよろしいでしょうか。
【医療計画課担当課長(予算・経理・医療計画)】 仮に単価を国の標準単価に増額する場合でも基金に不足が生じないということで取り下げさせていただいたということです。
【しもおく奈歩議員】 ありがとうございます。処遇改善へ、改定された補助単価を今年4月に遡って、病院内保育所への処遇改善、直ちに増額をしてほしいので。三重県は4月に遡及して実施をすると聞いておりますし、他県でも同じように4月にさかのぼって、国の内示が出たらですね、直ぐに対応すると言って準備している県も既にあります。是非、愛知県でも増額していただきたいと思いますけれど、いかがでしょうか。
【医務課担当課長(看護・医療指導)】 補助単価の改正時期につきましても、検討してまいります。
【しもおく奈歩議員】 是非、愛知県としても決断していただきたいと思います。 院内保育所の現場の実態調査で「保育の質を確保して向上させていくためには、専門職としての教育・研修の保障はもちろん、保育士等の賃金・労働条件の改善が急務」と述べています。また、愛知県医労連からも「医療介護職が働き続けられるのは院内保育所があるからこそ。低い賃金で募集しても保育士が集まらない。直ちに引き上げてほしい」と、現場の声が寄せられています。
そこで伺います。医療提供体制を下支えし、子どもの命と向き合い奮闘している院内保育所の保育士へ専門職としてその役割にふさわしい処遇改善を、今検討していると言われましたけれども、早急に、直ちに必要だという認識を持たれているのか、伺います。
【医務課担当課長(看護・医療指導)】 病院内保育所に勤務する保育士については、「病院内保育所運営費補助金」の単価の増額見直しをすることで処遇改善につながると考えますので、検討を進めているところでございます。
【しもおく奈歩議員】 処遇改善につながるため、検討を進めているということでしたけれども、今までずっと置き去りにされてきた分野ですから、早急な検討をいつまでに行うかというのを早く現場に示していただきたいと思います。
もう一つ伺います。補助金を受け取った医療機関が、他の経費に流用されることがないようにする必要があります。厚生労働省も「医療介護総合確保基金からの院内保育所の保育士増額分は保育士の人件費にしか使えない」と、述べられています。そこで伺います。院内保育所に補助金が使われ実施されていることを確認すべきと考えますがいかがでしょうか。答弁を求めます。
【医務課担当課長(看護・医療指導)】 「病院内保育所運営費補助金」は人件費に対する補助であるため、書類審査、実地調査を通して、申請された人件費の金額を「給与台帳」により確認するなど、申請内容が適切かの審査を行っており、今後も引き続き適切な審査事務を進めてまいります。
【しもおく奈歩議員】 是非、適切に、流用されていないかしっかりとチェックをしていただきたいと思います。ケア労働者としての処遇改善を直ちに進めていただくことを最後に求めまして、質問を終わります。