議会報告

「令和6年度県営水道会計決算は認定できません」                           2025年12月県議会 反対討論

カテゴリー:

令和6年度公営企業会計決算のうち、決算第14号「令和6年度 愛知県水道事業会計決算」について認定に反対の立場から討論します。

受水団体の要望を無視して県営水道料金を値上げ

 反対する最大の理由は、必要性がなかった県営水道料金の値上げを行ったことで、多くの市町村で水道料金の値上げを招き、県民生活に新たな負担を強いたことです。県営水道料金は、令和6年10月から1㎥あたり26円から28円に2円値上げされました。また、来年度、令和8年4月からさらに4円引き上げることになっています。

この値上げについては、愛知県営水道受水団体協議会連絡会や愛知県市長会から、「収益悪化の主要因である電気料金の今年度の動向は、ピーク時に比べ下落傾向にあることから、水道料金改定の必要性について慎重に検討すること」また「県営水道料金の改定は、受水団体である市町村の水道事業者に与える影響が大きく、県民に負担を求めていくことになるため、短期間の電力料金等の動向だけで改定の方向性を示すのではなく、各事業者の意見を聞きながら十分な検討期間を設けて協議を進めること」との要望が出されていました。しかし愛知県は、令和6年2月定例議会に、水道使用料金を2段階で1㎥あたり26円から32円に引き上げる条例改正案を提出し、県議会は賛成多数で可決してしまいました。

さて、令和6年度の決算では、水道料金収入は約5億円増えています。年間給水量は約4億㎥ですから半年間2円分の値上げに相当しています。一方で支出は、電気代などの動力費は微増にとどまり、その結果、経常利益は前年比2億円増の6.5億円、利益剰余金は6億円増の40億円に跳ね上がっています。料金値上げがなくても、決算は黒字となる結果になっています。

「県営水道料金改定案」の時の説明では、「令和5年度は、「燃料価格の高騰に伴う電気料金の増額などにより『4億円の赤字』決算が見込まれる」また、「令和6年度以降の見通しにつきましても、動力費や物価上昇に伴う維持費の増加により、今後4年間の欠損の合計は76億円が見込まれる」、だから値上げが必要との説明でした。

結果はまるで違っています。値上げ前の「令和5年度決算」でも、赤字どころか、経常利益が約4億円、利益剰余金約34億円を計上しています。令和6年度以降、1年間で20億円程度の赤字となる説明も全く外れています。

多くの市町村の値上げを招き、県民生活に新たな負担

 県営水道値上げの影響は深刻です。これまで既に、一宮市、豊田市、田原市、蒲郡市、江南市、西尾市、岡崎市、美浜町などで水道料金の値上げが行われました。日進・豊明・長久手・みよしの各市と東郷町で構成する愛知中部水道企業団では平均20.4%も引き上げられました。

さらに、令和8年度には、県水依存度67%の豊橋市をはじめ、知多市、東海市、常滑市、尾張旭市、瀬戸市、美浜町などで水道料金を値上げする予定だと報じられています。ほとんど全ての自治体が、値上げ理由の大きな根拠に「県営水道料金の引上げ」をあげています。

 水道は、県民の命に直結する重要なライフラインです。県民の暮らしを支えるために、来年4月からの1㎥あたり4円の値上げは中止すべきであり値下げへと力を尽くしていくことを求めます。

水道料金の値上げの理由として、水道事業の大きな課題である管路の老朽化対策、耐震化の促進もあげられますが、その費用は水道利用者の負担ではなく、国や県の一般会計でまかなうべきです。

水道の広域化、PPP「民間連携」は問題

水道事業を民間企業の儲けの対象とする動きを加速させたことも問題です。水道事業の広域化と民営化を進め、特定企業の利益に奉仕するような事業運営を認めるわけにはいきません。

以上の理由により、この決算を認定することはできません。

私たちは、日々の生活の中で水を使い、健康面や衛生的な生活が保たれています。水は、尊厳をもって生活していく基礎だと思います。人権の視点からも、安心・安全な水道事業の公的な役割・責任を果たすことが必要です。命とくらしを守る県政への転換を求め、討論とします。

▲ このページの先頭にもどる

© 2015 - 2025 日本共産党 愛知県委員会