議会報告

「令和6年度一般会計決算は認定できません」                           2025年12月県議会 反対討論

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 決算第1号「令和6年度愛知県一般会計 歳入歳出決算」、 決算第5号 「令和6年度愛知県国民健康保険事業特別会計 歳入歳出決算」の認定に反対の立場から討論を行います。

物価高騰から県民のくらしを守る施策があまりにも不十分

反対する理由の第一は、物価高騰から県民のくらしを守る施策があまりにも不十分なことです。昨年度は賃上げが進んだと言われましたが、米をはじめ物価高騰に歯止めがかからず、愛知県の勤労統計によると実質賃金はマイナス1.3%となりました。実質賃金がマイナスとなったのは5年連続です。県民の暮らしを支える施策こそ必要だったのではないでしょうか。

 ところが愛知県の物価高騰対策は、独自の県費投入はほとんどなく、ようやく2月補正予算で、国の「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を活用した事業を実施しただけでした。その事業内容も中小企業・小規模事業者向けのエネルギー高騰対応支援などに限定され、支援期間も半年だけ、事業規模も前年を下回るものが大半でした。

逆に水道料金や国保料(税)の引き上げを招く施策を進めたことで、物価高騰対策に逆行し県民の負担を増やす結果となりました。この点も厳しく総括すべきです。 賃上げ支援策はどうか。わが党は予算要望や本会議質問で、岩手県などが行っている中小・小規模企業を対象にした賃上げ支援制度の創設を求めましたが、愛知県では実施されていません。

 県民生活を支える施策にはどんなものがあるでしょうか。岩手県や徳島県から、奈良県や群馬県などに広がった賃上げへの中小企業への直接支援制度が愛知でも必要です。東京都にあって愛知県にはない次のような施策も必要です。市町村の国民健康保険への補助、加齢性難聴者への補聴器購入助成、18歳までの医療費助成、小中学校の給食費無償化支援、高齢者・障害者へのエアコン設置助成、などです。大企業が利益を伸ばしても、実質賃金のマイナスが続いています。県民生活を直接支える施策の拡充へ県政の舵とりを変えることが切実に求められています。

不要不急の大規模開発、大企業支援に県民の貴重な財産を投入

第二に、不要不急の大規模開発、大企業支援に県民の貴重な財産を投入していたことです。西知多道路などの高規格道路推進、人口減少で利水が減少するのに県負担金1073億円に膨れ上がった設楽ダム建設、利用客がコロナ前の水準に戻らない中部国際空港の第二滑走路建設、各地で環境破壊を招き膨大な電力を消費するリニア中央新幹線など、不要な大規模事業の推進に県の財政を投入していることは容認できません。

 高級ホテル立地促進事業費補助金としてこの年には1億円が支出されました。当該補助事業の認定第1号として2021年2月に認定したTIAD(ティアド),オートグラフ コレクション」が補助対象です。ハイレベルな国際会議の開催や海外の富裕層旅行者の誘致等を目的に、高級ホテルの新設に10億円、名古屋市と合わせて20億円もの補助金を支出するのは認められません。物価高騰対策のあまりのお粗末さと比べても信じられない格差です。県民の税金を使ってやるべき仕事ではありません。  

 来年に迫ったアジア・アジアパラ競技大会についても触れておきます。2024年度は、アジア競技大会・アジアパラ競技大会に新規積立金106億円、負担金や補助金で41億円を支出しました。当初の予定金額の約1千億円をはるかに上回る開催費用となると何度も報道されてきましたが、2024年度も開催費用の全貌は一度も県民に対して公式発表されませんでした。いまも不透明なままです。大会招致を決めた2016年に出された愛知県からの国への要望では 「アジア競技大会は・・・愛知らしく簡素で質素な、そして機能的で合理的な大会とし、国際スポーツ大会の「愛知・名古屋モデル」を作る・・・」としていました。しかし大会費用が当初計画の数倍にも膨らんできたのでは、「簡素で、身近な、スポーツ振興に役立つ」大会の理念から大きくかけ離れてきていると言わざるを得ません。県民の理解を得るには大会費用の透明性を高めることが最低限必要だとあらためて指摘しておきます。

公共施設を企業の利潤追求の場に変質させる施策の推進

第三に、公共施設を企業の利潤追求の場に変質させる施策が続けられたことです。年度末に提出された包括外部監査報告、「官民連携について~PFI事業」に関する率直な指摘を真摯に受けとめるべきです。

 令和6年度包括外部監査報告は、「官民連携について~PFI事業」として、新体育館など3施設の事業者選定に係る経過について詳細に報告しています。政策顧問の活動と行政上の位置づけについて詳細に検討した結果として、一私人では知りえない情報を知る立場にありながら守秘義務を課せられていない、県の情報漏洩防止などについて愛知県の諸規定では不十分と指摘しています。選定委員会の構成も、「同様の構成員が各PFI事業にまたがって繰り返し登場する現在のあり方は改める必要がある」との意見を述べています。 令和6年度には、がんセンターや豊橋浄水場の再整備などが同様に検討推進されています。守秘義務を伴う契約書すら交わしていない、情報漏洩の懸念もぬぐえない政策顧問への費用の支出は認めることはできません。

 この年、PFIコンセッション方式が採用された新体育館には264億円が支出されました。30年の長期間にわたって県有財産が民間会社の運営権のもとで活用されることになります。すでに、同規模のアリーナと比べても割高な興行利用料金の設定やVIP室設置に対する興業事業企業からの不評など、様々な問題が取りざたされています。新体育館整備推進費264億円余を支出した決算を認定できません。

 包括外部監査がとりあげた、大村知事肝いりの愛知県の三つの大型プロジェクト(新体育館、国際展示場、ステーションAi)が、県民の莫大な税金を投入する事業でありながら、特定企業の利益のための事業となっている点も問題であることも指摘しておきます。 

くらし第一の予算編成が可能な財源は、数百億円はあった

第四に、くらし第一の予算編成が可能な財源もあることが明らかになったことです。ここ数年、年度末に補正予算を組み毎年100億円をアジア・アジアパラ競技大会基金に積立してきました。2024年度は新規に106億円積立ました。この積立がなぜ可能なのか。予算と決算とで県税(法人税)収入のズレが非常に大きく、ここ数年このズレが常態化しています。2024年度の県税収入は、当初予算1兆2907億円、補正で1816億円増、収入済額は1兆4968億円。当初より2,061億円も増加しました。堅実に見積もりたい、との財政当局の思いもあると思いますが、ここまで常態化してしまうと隠れた財源として活用しているのではないかと指摘せざるを得ません。現状では、少なくとも毎年百億円以上は新たに県民生活向上のための施策に使えることは明らかです。財政調整基金も2,835億円と大きく膨れ上がりました。今こそ、県民の暮らしを守る諸施策に投入すべきです。

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