日本共産党 しもおく奈歩です。私は、只今議題となっております。第132号 令和7年度愛知県一般会計補正予算について、及び第146号議案、第147号議案について反対討論を行います。
まず、第132号議案 一般会計補正予算のうち三河地区の一時保護所の移転整備についてです。今回60人規模という全国で2番目に大きな規模の施設が作られようとしています。
国のガイドラインでは、「一時保護施設は児童相談所に付設若しくは児童相談所と密接な連携が保てる範囲内に設置し」とされています。また、児童福祉法12条の4では「児童相談所には必要に応じて児童を一時保護する施設を設けなければならない」と、あります。しかし、愛知県は10か所の児童相談所にたいして一時保護所は、2か所しかありません。国の示す原則から大きく外れています。
三河の一時保護所では、2018年1月23日、保護していた16歳の児童が入所13日後に自殺をしたという痛ましい事故が起こりました。その後、2018年12月18日に示された「愛知県一時保護所入所児童の自殺事案に関する検証報告書
」では、「一時保護所は各児童相談所に隣接されて設置されているところが多いが、愛知県の一時保護所は各児童相談所から離れた2カ所に設置されている。その時々の子どもの様子に対応し、担当の児童相談所職員が面接や検査を迅速に行える体制にはなっていないのである。」「保護という一番はじめの段階で、児童にとってどれだけ安心・安全な空間を提供できるのか、ひいては、愛知県が児童福祉にどこまで本気に対応しようとしているのかが問われている。本事案の不幸な出来事を真摯に受け止め対応を求めたい。」とまとめています。
愛知県内では、一時保護する子どもが5年間で1.25倍に増えています。それなのに、一時保護所は増やさず二箇所のまま据え置かれてきました。また、2024年度の3566件のうち県の一時保護所で受け入れできたのは約900件で、圧倒的に民間頼みになっています。
一時保護所は、多くの子どもたちがケアを必要とし、権利を奪われてきたなかで入所されます。きめ細かな対応が求められる場所だと思います。子どもの権利が保障され、安心して過ごして心のケア・尊厳の回復ができる環境づくりのために、ガイドラインと児童福祉法にそった対応へ力を尽くすべきであり、児童相談所の数に準じた一時保護所の整備こそ進めるべきです。大規模なものをつくるだけにとどまる今回の整備については賛成できません。
次に、県営都市公園大高緑地の将来構想の検討についてです。この公園は緑豊かで、地域住民に親しまれている場所です。今回、民間活力の導入ということも視野に入れて民間企業から公園の将来像についての提案募集する、マーケットサウンディングを行うとしています。
公園内にある、プール跡地はパークPFI手法による開発業者を募集しましたが、民間のどこからも手が上がらなかったそうです。それは、立地条件・利便性に欠けて収益が得られない場所だったからではないでしょうか。企業は当然、収益をあげることを優先されるので、全国で進められている「稼げる公園」づくりのようになってしまうことを危惧します。すでに、パークPFIで公園内に飲食店が立ち並び樹木が伐採された公園もあります。利用者からは「商業ベースで開発しないでほしい」「自然を残してほしい。必要以上に触らないでほしい」「子どもたちは、公園で様々な遊びを自らつくり出ことが大事。何か新しいものを民間がつくればいいわけじゃない」と、声が寄せられています。
再整備にむけて公園利用者の声ではなく、企業からのアイデアを優先している点も問題です。身近な地域の声こそしっかり聞くべきです。公園のあり方を大きく変えようとする、将来構想の検討には賛成出来ません。
最後に、第146号議案 名古屋高速道路公社の道路の整備に関する基本計画の変更について、第147号議案 名古屋高速道路公社が新設し、又は改築する指定都市高速道路の整備計画の変更についてです。
一宮市では、名岐高速や一宮パーキングエリアへのスマートインターチェンジを見越して、市内各地に物流倉庫などが次々と建設される状況が起きているそうです。市内の交通量の増加や交通渋滞につながる状況が生まれているという指摘や走行車両増加による環境への影響が心配されています。
また、有料道路分の概算事業費は約2200億円との指摘もあり、国土交通省が示した費用便益分析では、事業区画については1.1と、便益が費用をかろうじて上回っています。しかし、その前提とされている計画交通量は、現状より1.44倍から1.71倍に増えるという、人口減少が見込まれるもとでは考えられない推計であり、投資効果の妥当性が疑われます。
愛知県知事は、名岐道路の新規事業化にあたって、「リニア中央新幹線の開業によるインパクトを中部圏全体へと広く波及させる大変重要な道路」と述べていましたが、開業のメドが立っていないリニアを口実にした巨大道路の建設は容認できません。財界・大企業に奉仕する交通インフラの大規模開発事業に邁進するのではなく、住民に身近な公共交通を維持・活性化・再生する交通政策に切り替えることを求めて、討論を終わります。