議会報告

「児童の一時保護所、愛知県内2カ所は少なすぎる」国のガイドラインに沿った対応を  2025年9月議会/福祉医療委員会

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【しもおく奈歩委員】 老朽化が進む一時保護所の移転整備についてです。今回、保護件数が増加する中で定員を36名から60名に増員し受け入れ体制を強化するとしています。

 そこで、まず一時保護の件数が増えているということですが、2019年度と2024年度の件数についてお示しください。

【児童家庭課担当課長】本県の児童相談所が児童虐待や保護者の入院などにより一時保護を行った件数は、2019年度は2,850件、2024年度は3,566件となっております。

【しもおく奈歩委員】5年間で1.25倍に増えています。2024年度の実績で3,566件のうち、一時保護所2か所では対応できなかった子どもたちは、民間の一時保護委託も活用されていると聞きました。

3,566件のうち民間への一時保護委託件数は、何件だったのか伺います。 

【児童家庭課担当課長】 児童相談所が民間の児童養護施設や乳児院、里親等に行う一時保護委託の件数は、2,669件となっております。

【しもおく奈歩委員】 県の一時保護所で受け入れたのは、約900件で圧倒的に民間頼みになっている状況があります。 愛知県の一時保護所は2か所で、両施設とも入所率は高く、2025年9月1日時点で、三河が88.9%、尾張が90%という状態になっています。今回、そういう中で三河の一時保護所の受け入れを増員するということになりました。

 国のガイドラインでは、「一時保護施設は児童相談所に付設若しくは児童相談所と密接な連携が保てる範囲内に設置し」とされています。しかし、愛知県は10か所の児童相談所に対し、一時保護所は2か所しかありません。(参考 全国の児童一時保護所一覧(都道府県別))

平成30年のわが党議員の一時保護所2か所でいいのかという質問への答弁で「現在、国において検討が進められております一時保護ガイドラインを踏まえまして、今後、対応が必要となった場合には、一時保護のあり方を検討してまいりたいと考えております。」と、述べられています。

 そこで伺います。ガイドラインには、付設若しくは児童相談所と密接な連携が保てる範囲内に設置することが盛り込まれました。今回、一時保護所を60人受け入れる施設へと整備が行われますが大規模なものを1か所にまとめてつくるのではなく、児童相談所の近くにつくる、併設することが望ましいと思います。

ガイドラインにそって、一時保護所を児童相談所へ併設や近隣に整備するなど、検討すべきと考えますがいかがでしょうか。

【児童家庭課担当課長】 国の一時保護ガイドラインにおきましては、一時保護施設は児童相談所に付設若しくは児童相談所と密接な連携が保てる範囲内に設置することとされております。   

今回の整備は、子どもたちの環境改善と受入体制の強化を図るため、建築から53年が経過し、老朽化が進む三河地区の一時保護所について、移転新築を行うものであり、児童相談所への併設ではありませんが、引き続き児童相談所と密接な連携を図りながら適切に対応してまいります。

 具体的には、児童相談所職員が定期的に一時保護所を訪問し、面接やカウンセリングを通じて、きめ細やかなケアを行うとともに、一時保護所においても、心理療法担当職員が中心となって、日ごろの生活や面接等を通じて把握した子どもの状況を児童相談所と共有しながら、支援を行っております。     

【しもおく奈歩委員】 今回、60人規模ということで、それが固定化されてしまうのではないかということを危惧しております。

 また、実際に働いたことがあるという方からですね、やっぱり2か所しかないということで、一時保護所へ1時間以上かけていく必要もあり、励ましなどが希薄になってしまうこともあった。本来、一時保護所というのは児相に付設されているべきです。といった現場の声があります。

今回の愛知県が整備する60人規模と同じ規模の施設、それを上回る施設は全国の中であるのか伺います。

【児童家庭課担当課長】 本県が整備する予定であります定員60人を上回る施設は、国が公表している資料では、2024年4月1日時点で、札幌市児童相談所の一時保護所の70人があります。また、2025年3月には、大阪市中央こども相談センターが定員60人で開所しているところでございます。

【しもおく奈歩委員】 今回、愛知県が整備する60人規模というのは、要するに、日本全国の中でも2番目に大きい施設になるわけです。

 今回、老朽化のため整備が必要だということはわかります。しかし、一時保護所を増やすのではなく、大規模なものをつくって従来通り2か所のままというのはガイドラインからも児童福祉法からしても原則から外れています。児童福祉法12条の4では「児童相談所には必要に応じて児童を一時保護する施設を設けなければならない。」と、あります。

 一時保護所は、多くの子どもたちがケアを必要とし、権利を奪われてきたなかで入所されます。きめ細かな対応が求められる場所だと思います。子どもの権利が保障され、安心して過ごし心のケア・尊厳の回復ができる環境づくりのために、ガイドライン、児童福祉法にそった対応へ力を尽くすことを要望し、終わります。

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