議会報告

パーキングパーミットの周知と全ての県民の移動の権利保障を       2025年9月 議会/福祉医療委員会

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【しもおく奈歩議員】 今回、パーキング・パーミット制度の実施へ動き出したことは、予算要望の中で求めてきたことであり歓迎します。障害者や妊娠中の方、子育て中の方など、車を使う際に行先の駐車スペース確保は必要であり、適切に専用駐車場を使用できるかがとても大切です。福島県内のおもいやり駐車場(パーキング・パーミット制度の対象となっている駐車場)の利用実態調査によると、制度導入後、停めやすくなり不適正利用が一定程度減少したとのアンケート回答があるそうです。そこで、伺います。パーキング・パーミット制度の効果や意義についてどのように認識されているのか伺います。

【障害福祉課担当課長】 本制度の実施による効果や意義については、まず、専用駐車場の利用対象者の明確化や、利用する必要のない人による不適正利用が減少することが見込まれると考えております。また、専用の駐車区画を確保することにより、利用者の利便性が確保されることから、障害者等の社会参加や自立支援にもつながると考えております。

【しもおく奈歩議員】 この制度は平成18年(2006年)佐賀県で初めて導入されました。令和7年4月現在、44府県において導入されています。未実施なのは、北海道、東京、愛知のみとなっています。東京都では「障害者用駐車スペースの不適正利用対策」に関する独自の取り組みをすすめています。 これまで、導入して来なかった理由は、なんでしょうか。アジアパラ競技大会にむけてこのタイミングになったと伺いましたが、1年前ではなくアジアパラ競技大会をやると決めたときに、なぜすぐに制度の導入へ動かなかったのでしょうか。答弁を求めます。

【障害福祉課担当課長】 本県においては、これまで、主に障害者団体や一般県民等を対象に制度導入における調査を実施してまいりました。その結果、登録車両台数が全国1位であることや、駐車協力施設の確保などの課題を踏まえ、制度導入について検討を行うとともに、まずは障害のある方が利用できる専用の駐車区画の適正利用についての普及啓発に力をいれてきたところでございます。 そうした中、全国44府県で制度が導入され、制度そのものの理解が広がり、団体からも制度開始に向けた要望が多くなってきてきたところです。

そこで、制度について、全国調査等により各県の利用証の交付対象や、内容、有効期限などの制度内容や実効性のある制度設計について検討を重ね、昨年度3月の障害者施策審議会でのご意見をふまえて、来年6月からの制度開始を決めたところでございます。

【しもおく奈歩議員】 次に伺いますけれども、利用証の発行や運用に必要な事務負担の問題をクリアするために、関連事務の民間委託を予定していると聞いていると伺いました。利用者にとっては、相談もふくめて市町村など身近な窓口でも利用証の交付を受けられることが望ましいと思います。

 県や市町村が利用者の実態を正確に把握するためにも福祉行政の一つとして必要な人員も増やして行うべきではないでしょうか。すでに制度を行っている県では、市町村または県内10か所の保健福祉事務所を窓口にしているところもあります。民間委託とした理由と、何を委託しどういう方法で利用証を交付するのかについて、伺います。また、市町村と連携して、身近な場所での相談窓口や申請できる窓口を設けることは検討されていないのか伺います。

【障害福祉課担当課長】 制度導入にあたり、他県での実施状況も調査しましたが、直営で実施しているが年々申請や問い合わせが増加し対応に苦慮している、との声もお聞きしました。また、本県は、自動車の登録台数が全国1位であり、来年9月にアジアパラ競技大会の開催を控えていることから、6月の制度開始に向けたくさんの方からの利用申請や問い合わせがあるものと考えております。そのため、特に受付開始当初においては多数の事務を効率的に処理し、利用対象者に速やかに制度をご利用いただけるようにする必要があることから、民間事業者に委託して実施するものです。

 委託内容としましては、問い合わせ対応や、広報啓発資材の発送、利用証の申請受付や送付などとなっております。利用証の交付については、郵送または電子により申請を受付け、書類の不備や要件を確認後、障害福祉課において審査を行い、その後に事務局より郵送することを考えております。

 本制度は、移動が困難な方を対象としているため、郵送または、電子による申請を考えており、市町村等による窓口の設置は考えておりません。しかしながら、県民の方に制度を利用していただくためには制度の周知が大変重要になりますので、市町村などにおいて、制度のチラシ等を配布していただくなど、市町村ともしっかり連携してまいります。

【しもおく奈歩議員】 市町村で窓口をやるということは考えておらず、県、民間でやっていくということですが、ただ、市町村との連携でチラシを置いたり、配ったりっていうことはあるということでございましたけども、市町村との連携をしっかりとっていただきたいというふうに思います。次に、利用見込みについて対象者は何人で、どれくらいの利用を想定しているのか伺います。

【障害福祉課担当課長】 本県において、障害のある方、要介護者、難病患者、妊産婦の数を合計した推計対象者数は、約65万人であります。既に制度導入済みの自治体の状況や本県の自動車の保有状況を踏まえ、本県における制度開始初年度の利用人数として約5万人の方の利用を想定しております。

【しもおく奈歩議員】 バリアフリー法では車いす使用者駐車場施設は、一定の条件の下で設置が義務付けられています。駐車場の設計標準として、当該駐車場の全駐車場台数が200 以下の場合は当該駐車台数に1/50 を乗じて得た数以上、つまり4台以上。全駐車台数が200 を超える場合は当該駐車台数に1/100 を乗じて得た数に2を加えた数以上、つまり例えば400台の駐車場なら4+2の6台以上の車椅子使用者用駐車施設を設けることが望ましいとされています。

  この指標は、主に車椅子使用者を念頭に置いた指標だと思いますが、パーキング・パーミットを導入すると、利用対象者の拡大に伴って、少なくとも倍以上の専用駐車スペースが必要となるのではないでしょうか。

 JAFが行った『「思いやり駐車場」に関するアンケート』で、思いやり駐車場で困ったことは。との回答で、「設置数が少ない」という回答が一番多くなっていました。また、国道交通省の資料でも、「利用対象者や利用証発行枚数に対し、対象区画が不足」を課題の一つにあげていました。公共施設だけでなく、大規模小売店舗など商業施設や観光施設、医療機関などの駐車場でどのくらい専用の駐車スペースを設ければよいのか、制度導入にあたって愛知県としての目安を持つことが必要ではないかと思います。パーキング・パーミット導入に伴い、県独自に指針などで目標値を設けて、対象区画を増やしていくことが必要であると考えますがいかがでしょうか。

【障害福祉課担当課長】 本制度はバリアフリー法に基づく駐車区画とは異なり、事業者などの協力による任意制度であることや、必要とされる区画数の把握が困難なため、目標数を設定することは難しいと考えております。そのため、本県としてはできるだけ多くの届出をしていただくことを目標に普及啓発に取り組み、駐車場を保有している事業者に対し、直接訪問して説明するなど、丁寧に協力を呼び掛けていきます。

【しもおく奈歩議員】 目標を設けるということはなかなか難しいのかもしれませんけども、せっかく導入するということですので、丁寧に説明をしながら、多くのところで理解を広げていただいて、これがちゃんと使えるようにしていくということをお願いしたいというふうに思います。

  この制度の周知についても伺います。JAFの思いやり駐車場に関するアンケートでは、「思いやり駐車場の利用ルールについてどのくらい知っているか」は、制度をよく知っているが28%でした。また、「思いやり駐車場のルール・マナーに関して世間の認知度はどれくらいだと思うか」の問いでは、ほとんど知らないが40%でした。愛知県で、制度を始めるにあたり県民へ周知を広く行う必要があると思います。どのように広報していくのか伺います。

【障害福祉課担当課長】 今年度中にリーフレットやポスターを作成し、障害者団体等に配布するとともに、県事務所での配布や、市町村の窓口にも置いていただくよう依頼し、広く県民の方に周知できるように努めてまいります。

【しもおく奈歩議員】 ぜひ周知していただけるようにお願いしたいということと、他県では、おもいやり駐車場、パーキング・パーミットが駐車場で使えるというところを利用証協力施設一覧という形でホームページに掲載をし、お知らせをしております。今後これから始めていくにあたって、協力していただける施設が増えていく中で、そうしたことがわかるように、可視化していくっていうことで、そういうこともホームページに載せるということをご検討いただきたいというふうに思います。

 制度を利用できる対象者の詳細な範囲について、これから検討されていくと思いますが、様々な障害者団体など当事者のこえも踏まえて進めていく必要があると考えますがいかがでしょうか。要望を聞く機会など検討されているのでしょうか。答弁を求めます。

【障害福祉課担当課長】 制度の対象者の範囲等、詳細な部分については、様々な障害者団体などの当事者が構成員となっている障害者施策審議会においてご意見を伺い、検討してまいります。

【しもおく奈歩議員】 ぜひ、利用する方の声をきいて進めていただければと思います。今回のパーキング・パーミットにとどまらず、公共施設や歩道、バスや鉄道の駅などのバリアフリー化も促進し、誰もが移動の権利を保障されるように力を尽くしていただきたいと思います。以上で質疑を終わります。

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