議会報告

介護報酬を元に戻し、介護崩壊を止める直接支援の手立てを             福祉医療委員会   6月27日

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【しもおく奈歩議員】 議案のうち、訪問介護事業所が行う人材確保・経営改善に向けた取り組み支援についてです。

訪問介護は、高齢になっても住み慣れた自宅でその人らしい暮らしを続けるための在宅介護の要です。オムツの交換、買い物、服薬の確認、掃除など、健康や生活を支えています。 まず、訪問介護事業の役割とその重要性について県としてどのように認識されているのか伺います。

【高齢福祉課担当課長】訪問介護事業は、在宅で生活する要介護高齢者に対し、入浴・排せつ・食事等の身体介護や、調理・洗濯・掃除等の家事援助など、生活全般にわたる支援を行うものであり、高齢者の在宅生活を支える中心的なサービスとして重要なものと考えています。

【しもおく奈歩議員】 介護報酬の改定で、訪問介護の基本報酬が2024年4月から引き下げられました。現場からは、「まさか基本を改定されるとは思わなかった」「施設等の人手不足の解消に全く反映できてない」など、介護離職の拡大や介護崩壊を招きかねないと不安の声が広がっています。

そこで、介護報酬の引き下げ、事業所への影響についてどのように認識されているのか、伺います。

【高齢福祉課担当課長】令和6年度介護報酬改定における訪問介護の基本報酬の引き下げについて、国は、令和5年度の介護事業経営実態調査において訪問介護事業の収支差率が7.8%と、全サービス平均の2.4%を大きく上回ったことを理由にあげています。

しかし、収支差率は事業所の規模により異なっており、特に小規模な訪問介護事業所では、報酬改定の影響を受けやすい状況にあると考えています。

【しもおく奈歩議員】 日本共産党東三地区委員会は、訪問介護事業所などへアンケートを行いました。その中で、「介護報酬の引き上げ」を求める声が最も多い結果となりました。国の政策は、現場の悲鳴の声を見て見ぬふりをするものです。

しんぶん赤旗の調査で、2019年~2023年の5年間で訪問介護事業所が8648か所廃止されたことがわかりました。そのうち愛知県は、488か所です。さらに、介護報酬減らされて、訪問介護崩壊の深刻な危機となっています。

今回の支援策は、現場の困難に十分こたえ介護崩壊を止めるものといえるのでしょうか。県の認識を伺います。

【高齢福祉課担当課長】本事業は、介護サービスを提供する事業所の中では、比較的、事業所規模が小さく、人材確保や経営改善等の課題に自力で取り組むことが難しい訪問介護事業所の実情を踏まえ、複数の補助メニューにより、各事業所の事情に合わせた取組が実施できるよう支援するものであり、訪問介護事業所における安定的な運営環境の整備に資するものと考えています。

【しもおく奈歩議員】 訪問介護事業所への支援として、「ないよりはまし」と言わざるを得ない支援策だと思います。訪問介護は、要介護者の在宅での生活を支えるうえで欠かせません。このままでは在宅介護がかなわず、「在宅放置」を招きかねません。

 先ほど紹介したアンケートのなかで、公的に求める支援では「物価高騰への直接支援」が多数を占めていました。光熱費や食材費への影響が大きくなっています。他にも、給与引き上げや基本報酬の見直しの要望もありました。 新城市の訪問介護事業では、基本報酬の引き下げで昨年度は赤字になったそうです。「最低賃金上がったので、時給を引き上げました。ガソリン代や電気代も高騰しているのに、まさか基本報酬を削るとは。役員報酬3割カットしても赤字です」という切実な訴えが寄せられました。

 東京都品川区は、訪問介護の減収分を独自に支援すると発表しました。新潟県村上市は、2024年度介護報酬改定で基本報酬が下げられた訪問介護の事業所に対し、独自の支援金を支給するとしています。また、車の燃料代支援も行っています。

今、現場から求められているのはこうした直接的な支援だと思います。物価高騰対策も含め、愛知県としても今回の支援に留まらずにさらに思い切った支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

【高齢福祉課担当課長】本県では、介護事業所等における物価高騰対策について、これまでも国の交付金を活用し、継続的に支援を行ってきたところです。

また、訪問介護事業所の安定的な運営環境の確保については、国が、全国一律の制度として、報酬改定を始めとした制度改正により講じられるべきと考えており、県としては国に対して、基本報酬が引き下げられた訪問介護について、報酬改定の影響を検証し、必要に応じて適切な引き上げを行うよう要望を行ったところです。

【しもおく奈歩議員】 今回の補正予算の範囲では、根本的な支援にはなりません。国は基本報酬をドーンと下げて、事業所を困難に陥れながら、批判の声が高まると報酬は下げたままで、バタバタと補正予算で訪問介護サービス提供体制支援事業なるものをメニュー化して「支援ポーズ」を取っているだけだと思います。

 訪問介護事業所が、ゼロという自治体が全国で97町村あります。決して他人事ではありません。高齢になっても、安心して生きていける社会へ介護報酬を元に戻すことを国に求めるとともに、介護崩壊を止めるケア労働を直接支援する手立てをとることを要望し、質疑を終わります。

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