議会報告

「中高一貫校は、受験競争の過熱化や低年齢化」                  2月議会 教育スポーツ委員会 一般質問

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【しもおく奈歩議員】  4月に開校する県内初の県立中高一貫校4校の合格発表が1月24日にありました。探究学習重視型と呼ばれる4校の受験者数、合格者数、倍率についてお示しください。

【教育委員会担当課長】 第一次導入校4校の受験者数等についてでございますが、明和高校附属中学校の普通コースは受験者数1,341人、合格者数80人、倍率16.8倍、音楽コースは受験者数36人、合格者20人、倍率1.8倍、津島高校附属中学校は受験者数163人、合格者数80人、倍率2.0倍、半田高校附属中学校は受験者数391人、合格者数80人、倍率4.9倍、刈谷高校附属中学校は受験者数805人、合格者数80人、倍率10.1倍でございました。

【しもおく奈歩議員】 大変高い倍率で、多くの不合格者がでました。私は、昨年3月の県議会の当委員会の議案質疑で、受験競争の過熱化や低年齢化について質問し「落ちこぼれた子どもは自己肯定感や希望を持てず、能力や人格の発達も阻害されかねないと危惧します」ということも述べましたが、今回、多くの不合格者が、同じような挫折感をあじわうことになったのではないでしょうか。

 私立中学の受験で実績のある進学塾の方が不合格を経験した児童へ「受験後の適切なケアをしなければ、中学で再スタートがきれない」と指摘していました。そこで、伺います。こうしたお子さんたちへのケアについてどのような対応を考えていますか。答弁を求めます。

【教育委員会担当課長】 各小中学校におきましては、日頃から教員やスクールカウンセラーなどが連携して、子どもたちの心の変化を見逃さないよう、きめ細かく見守りをしているところでございます。

中学受験につきましては、これまでにも国立や私立で実施されているところでございまして、希望が叶わなかった児童生徒に対しては、頑張った子どもたちの気持ちを大切にしながら、その後の学校生活を前向きに送ることができるように、各学校において、きめ細かくサポートをしているところでございます。

県立中高一貫校の受験生につきましても、同様に、子どもたちの心に寄り添いながら丁寧に対応をしてまいります。

【しもおく奈歩議員】 日ごろから、教員の方やスクールカウンセラーを目配りしているとのことですが、さきほど質問させていただいたように、教員は不足しており、そんな事態にはありません。また、スクールカウンセラーも各校に常駐しているわけではありません。それで、ケアができているとはとてもいえないと思います。

 マスコミに紹介された識者の見解によると多くの保護者が、高校受験がなくなり、中学校でゆとりある教育が保障されるのではないかと期待し、子どもたちに受験させたのではないでしょうか。こうした受験競争に勝ち抜かないと、ゆとりある教育、探究重視型教育が保障されないのは問題だと指摘しています。県はこの指摘について、どう考えますか。答弁を求めます。

【教育委員会担当課長】 探究的な学びは、これからの時代を生きる子どもたちにとって必要なものであることから、学習指導要領において、すべての学校で実施することが求められており、中高一貫校だけで行われるのではなく、県内の各小中学校において、既に取り組まれていると認識しております。

【しもおく奈歩議員】 子育て中の方から、「私の周りでは、中高一貫校で小学生から塾に通わせて合格したら中学校で通わせるより安い。と、小学生から塾に通わせる親が増えました」という声が寄せられました。前回、「塾に通って、小学校の範囲を超える内容まで学習しなければ解けない問題とはいたしません」と答弁されましたが、実際には県民の認識は「塾に通わないと、合格できない」と、なっています。結果的に、経済的格差が教育の格差を広げる要因をつくってしまっているのが実態だと思います。また、中学受験のプロの方は「サンプルより難しく、私たちの予想より難易度が高かった。愛知県の公立入試よりも難しいかもしれない」と中日新聞で報道されていました。

 そこで、伺います。「愛知県の公立入試よりも難しいかもしれない」と記事にあるように実際には、難易度の高い内容になっていたのではないでしょうか。県の認識を伺います。

【教育委員会担当課長】 中高一貫校の入学者選抜の適性検査は、小学校学習指導要領の範囲内であり、適切な難易度であったと考えております。

【しもおく奈歩議員】 結局、私が懸念していた過度な受験競争は行われ、回避することなく同様な試験をこれからも続けるとのお話でした。

また、「チェンジメーカー」の育成をめざすといいますが、教育は、教育基本法が指摘するように、人格の完成をめざし、それぞれの子どもたちの多面的な成長を促す営みです。

探究型とよばれる各校は、文科省がすすめてきたスーパーサイエンススクール構想など、一部のエリートを育成する教育を受け継いだものです。「学歴が高くないと豊かな生活ができないと思われせる政治の責任は重い」という声も伺ってきました。本来の教育のあるべき姿にたって、改めて中高一貫校は見直すべきと申し上げて、この質問は終わります。

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