議会報告

「教員不足は深刻。抜本的な対策が必要」       2月教育スポーツ委員会 一般質問

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【しもおく奈歩議員】 教員不足について、今、中高生が中心となり活動している団体が「全国陳情アクション」を行っています。その中で、「教員が足りず学校の質が低下している」と述べていました。同団体が中高生を対象にしたアンケートで、教員不足が授業や学校生活に影響を与えているかの質問に、約6割が「非常に感じる」「ある程度感じる」と回答したと、報道されていました。教員不足の影響を受けている、子どもたちからも声があがるほどに、事態は深刻になっています。教員不足の解消は、待ったなしの課題です。

 一昨年の6月議会の当委員会で私は、教員不足問題をとりあげ、質問させていただきました。その時、教職員課担当課長は「本来配置しなければならない教員が配置されていない学校があることについて、早急に解消すべき課題であると認識している」と答弁されました。その後、教員不足問題は解消されたのでしょうか。23年、24年の5月1日時点での教員不足数について、どのような状況になっているのかお示しください。

【教育委員会担当課長】 2023年5月1日現在の教員の未配置数につきましては、名古屋市を除く本県の公立の小学校で52人、中学校で47人、高等学校で19人、特別支援学校で22人、合計で140人でした。また、2024年5月1日現在では、小学校で44人、中学校で61人、高等学校で52人、特別支援学校で13人、合計で170人でした。

【しもおく奈歩議員】   「解消すべき課題」だと認識を示されましたが、解消されていないのが実態です。その結果、何が起きているでしょうか。 「記憶がなくなるほど多忙になっている」「教員不足により、体育の先生が社会を教えることもある」という、深刻なじたいです。

昨年12月議会の当委員会で、私は不登校の問題をとりあげ、愛知で、全国と同様に不登校が増えていること、その原因に教師との関係など学校ということが一因であることをはっきりさせました。実際に子どもたちが落ち着かないことや、不安定になって教室から脱走する子どももいると伺いました。まさに教員不足のため、子どもたちに手厚い教育がなされないこと、教員も子どもと向き合う余裕がなく丁寧に対応できないことにあると思います。 そこで伺います。令和元年度以降の欠員補充の臨時的任用の教員数、教員採用の合格・採用数と補欠数をお示しください。

【教育委員会担当課長】 2019年度の欠員補充の臨時的任用の教員数は、2,364人、合格者数は、1,475人、補欠者数は、227人でした。2020年度は、欠員補充者は2,354人、合格者1,490人、補欠者350人でした。2021年度は、欠員補充者は2,368人、合格者1,530人、補欠者318人でした。2022年度は、欠員補充者は2,502人、合格者1,570人、補欠者313人でした。2023年度は、欠員補充者は2,515人、合格者1,710人、補欠者343人でした。2024年度は、欠員補充者は2,456人、合格者1,610人、補欠者418人でした。(下表の通り)

  2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
欠員補充者 2364 2354 2368 2502 2515 2456
合格者数 1475 1490 1530 1570 1710 1610
補欠者数 227 350 318 313 343 418

【しもおく奈歩議員】 お示ししていただいておわかりのように、毎年のように、臨時的任用の教員が2000人を大きく超えて生まれているのに、実際に採用されている教員の数は2000人に満たないわけです。退職の年齢が上がるのでそれを加味しているとか、子どもの人数が減るから先生が余ると処遇に困ると言う話もあるようですが、実際に、恒常的に2000人を大きく超える臨時採用がされているわけです。これは、抜本的に教員の採用数が少ないということです。その点をどう認識されていますか。

【教育委員会担当課長】 児童生徒数は、今後、減少することが見込まれます。それに伴い、教職員の必要数が減少することが想定されますので、臨時的任用教員を一定数確保して対応する必要があると考えております。

【しもおく奈歩議員】 現実に足りないということの説明になっていません。現場の先生にもお話を伺いましたが、「教員が余る」などということは現実にないとおっしゃっていました。その方は、年間100時間を超える残業をされていたそうです。

日本共産党は今年の1月30日に「教員に授業準備と子どもと向き合う時間を」と提言し、その中で、「教員残業代ゼロ制度」の廃止、授業にみあった教員定数を求め、授業の持ちコマ数を減らし、基礎定数を1・2倍に引き上げることを求めていますが、少なくとも県では、臨時的任用数を上回る教員採用を行うことが必要ではありませんか。答弁を求めます。

また、臨時的任用されている方は、現実に教員としての役割を果たしているのですから、希望者をすべて正規採用にすべきと考えますがいかがでしょうか。そして、産休代替の教員は新学期から配置すべきと文科省はいっているわけですから、あらかじめ増やすのは当然ではありませんか。県の考えをお示しください。

【教育委員会担当課長】 本県では正規教員の採用は、退職者や、子どもの増減に伴う教員の過不足数に、教科担任制の拡充や、少人数学級の導入といった、施策に伴う増減を加えて、毎年、採用計画を作り、計画的に行っております。臨時的任用講師の数を上回る採用については、教員の必要数を超過することから、そういった採用はできません。また、臨時的任用講師で、正規採用を希望する方については、採用試験において、適正に評価を行っております。

【しもおく奈歩議員】 積極的な答弁はいただけませんでした。本当に、教員の欠員をなくすため、やれることはやりつくされているのでしょうか。その点で、私はいくつかの点をお尋ねしたいと思います。

 長時間労働や、精神的ストレスのため、精神疾患で休まれる方、おやめになる方も多いと聞きます。県では、その数はどうなっているでしょうか。先ほど同様、令和元年以降、小中高別でお示しください。また、産休や育休で休まれる方もお見えと思います。その数もお示しください。

【教育委員会担当課長】 精神疾患による休職者数につきましては、2019年度は、小学校で108人、中学校で59人、高校で41人、特別支援学校で29人、合計で237人でした。2020年度は小学校で114人、中学校で51人、高校で35人、特別支援学校で35人、合計で235人。2021年度は小学校で124人、中学校で46人、高校で32人、特別支援学校で42人、合計で244人。2022年度は小学校で147人、中学校で65人、高校で43人、特別支援学校で46人、合計で301人。2023年度は小学校で175人、中学校で87人、高校で62人、特別支援学校で37人、合計で361人でした。(下表の通り)

  なお、退職理由については、退職願に病名など詳細な記載を求めておりませんので、精神疾患で退職した人数は把握しておりません。

  2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
小学校 108 114 124 147 175
中学校 59 51 46 65 87
高校 41 35 32 43 62
特別支援学校 29 35 42 46 37
合計 237 235 244 301 361

 次に、出産休暇取得者、育児休業取得者数につきましては、各年度5月1日現在で、2019年度は、小学校で1,210人、中学校で424人、高校で197人、特別支援学校で172人、合計で2,003人でした。2020年度は、小学校で1,236人、中学校で424人、高校で237人、特別支援学校で185人、合計で2,082人。2021年度は、小学校で1,233人、中学校で435人、高校で228人、特別支援学校で192人、合計で2,088人。2022年度は、小学校で1,232人、中学校で446人、高校で236人、特別支援学校で211人、合計で2,125人。2023年度は、小学校で1,246人、中学校で476人、高校で225人、特別支援学校で222人、合計で2,169人でした。(下表の通り)

  2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
小学校 1210 1236 1233 1232 1246
中学校 424 424 435 446 476
高校 197 237 228 236 225
特別支援学校 172  185 192 211 222
合計 2003 2082 2088 2125 2169

 

 

 

【しもおく奈歩議員】  少なくない方がお休みになっておられること、おやめになっておられることが明らかになりました。これらの方は、新学期の時から休まれることがわかっている方もおみえでしょうが、学期の途中で休まれる方も多く見えられると思います。こうした欠員を補うためには、中途での採用も必要と考えますが、愛知県はやっていないと聞いています。なぜやらないのか。またやっている県はあるのかお示しください。

【教育委員会担当課長】 教員採用試験の複数回実施については、2023年度に、20の自治体で行っておりますが、いくつかの自治体に確認をしたところ、志願者が少なく、欠員を補う効果が小さいと聞いております。本県では、年度当初に予定した採用試験で、教員の採用予定数を確保できておりますので、実施の予定はありません。また、年度途中に欠員が発生した場合は、臨時的任用講師を充てて対応しております。

【しもおく奈歩議員】  やるべきことをやっているとは思えない答弁です。さらに、問題なのは、毎年の教員採用試験で補欠合格者が生まれています。この方たちは、欠員ができたときに採用されているのですか、採用の数をお示しください。また欠員が埋まっていないのに採用されていない理由をお示しください。

【教育委員会担当課長】 昨年度の教員採用試験では、採用前の辞退者が118名出ましたので、補欠合格者を追加で採用いたしました。さらに、今年度採用後に退職した新規採用者を補充するために、22名を繰り上げて採用いたしました。また、児童生徒数は、今後、減少することが見込まれるため、教職員の必要数が減少することが想定されますので、臨時的任用教員を一定数確保して対応する必要があると考えております。

【しもおく奈歩議員】 補欠採用は、新規採用の中途退職者にあてるとのことでした。それでは、新規採用の中途退職者はその数しかいないということですか。さきほどお示しいただいた途中で休まれる方、辞められる方の数から到底考えられないと思います。もしそうだとしても、欠員はある以上は、補欠は採用資格をもっているわけですから、新規採用にかかわらず、採用するべきではありませんか。考えをお示しください。

【教育委員会担当課長】 補欠合格者は、採用辞退者数や新規採用者の退職者数を見込み、適正な規模を算出しており、それ以外の目的に充てることは難しいと考えております。

【しもおく奈歩議員】  これもやるべきことをやっているとは思えない答弁です。現在の教員の欠員は多くの臨時的採用で支えられているわけですが、この方たちの労働条件がどうなっているかも問題です。十分見合うものになっていなければ、臨時的任用の継続や正規採用をめざす意欲にはつながりません。しかし、この方たちの給与が頭打ちになっているとうかがいました。どういう実態にあるのか、なぜそうなっているのか明らかにしてください。

【教育委員会担当課長】 臨時的任用講師の給与の頭打ちについては、給料表上「講師」に支給できる最高額を基準とした約35万5千円となっております。臨時的任用講師は、授業は、正規教員と同様に行いますが、校務の運営については、「講師」相当として正規教員より職務が軽減されていることを考慮し、頭打ちを設けております。

【しもおく奈歩議員】 残念な実態です。それでは意欲が継続されるのでしょうか。

 教員不足の解決のため、採用数の抜本増、中途採用、補欠の積極的採用、臨時的任用の方の労働条件の改善を指摘しました。教育現場からは「もっと先生がいたら、子どもたちの悩みをきくことができるのに」「もっと先生がいたら、一人一人に寄り添い、褒めることもできるのに」「子どもにあたりが強くなった教員も増えた。大人も追い込まれている」と、悲鳴のような声が寄せられています。

 子どもたちは、教育を受け、豊かに成長する権利を持っていますが、それが大きく侵害されています。私は、子どもたちの権利を守り、保障するためにも、今回指摘した問題を真剣に検討し、一刻も早く、教員不足の解決するために全力を挙げることを求め質問を終わります。

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