【しもおく奈歩議員】 日本共産党しもおく奈歩です。通告に従い4つのテーマについてそれぞれ質問させていただきます。 最初に、最低賃金の引き上げと賃金引き上げの支援についてです。
賃金は、30年間もの長期にわたり減り続けています。実質賃金は、1996年から年収で平均74万円も減少しています。そこに、物価高騰が追い打ちをかけています。
私は、豊橋駅前でシールアンケートを行っています。その中で、「最低賃金1500円にあげてほしい」という要望が増えています。「手元の収入増やしてほしい」「海外のように日本も賃金あげてほしい」という声は、まさに物価高騰に賃上げが追いつかないなかでの悲鳴の声だと思います。
愛知県労働組合総連合が、愛知県最低生計費試算調査結果2024年改訂版を公表しました。そのまとめの中で、「2024年10月の最低賃金改定により、愛知県最低賃金は50円(4.9%)引き上げられ、1,077円となったが、最低生計費試算の改定結果では、少なくとも時給1,500円余、人間らしい労働時間も加味すれば時給 1,800円程度必要である。現在の最低賃金額はあまりにも低い水準と言わざるを得ない。」と述べられています。この結果は、抜本的な賃上げなしに、人間らしい生活の安定や、地域経済の活性化も難しいということだと思います。
そこで、伺います。県として、物価高騰を上回る賃上げ、最低賃金1500円以上の引き上げを直ちに行うよう国に要望すべきと考えますが県の認識を伺います。
【大嵜みどり労働局長】 最低賃金の引上げについてお答えいたします。最低賃金は、労働者の生活の安定を目的として、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図るものです。
最低賃金については毎年、国の中央最低賃金審議会において、労働者の生計費、労働者の賃金上昇率などを考慮して、各都道府県における地域別最低賃金額の改定の目安が示されます。それをもとに公益代表、労働者代表、使用者代表を委員とする地方最低賃金審議会で調査・審議され、都道府県労働局長により決定されます。本県においては愛知労働局長が決定し、2024年10月1日からの地域別最低賃金額は、1,077円となっております。
本県といたしましては、最低賃金の引上げには、持続可能な地域経済の好循環を進めることが重要であり、労働者と使用者が十分に議論を重ね、合意形成を図ることが必要であると考えております。
賃上げを行うには、中小企業への直接支援が必要
【しもおく奈歩議員】 賃上げを行うには、中小企業への直接支援も欠かせません。愛知県が四半期ごとに行っている「中小企業景況調査」では、経営上の問題点について12月までの調査では、二つの業種が「人件費の増加」がトップ3に入っています。また、行政の今後強化すべき支援策では、多くの業種で雇用維持支援をあげています。
国が行っている、中小小規模事業所の賃金引き上げに着目している「業務改善助成金」は、愛知県の申請件数は、2023年度は1590件です。また「小規模事業者持続化補助金」は、愛知県の採択件数約2000件となっています。愛知県の従業員数20人未満の小規模事業所は、18万8400事業所。従業員数は124万人にたいして、助成金も補助金もいずれも1%に満たない事業所に過ぎません。
今、賃金引き上げへの支援をと徳島県、奈良県、岩手県などが県独自の取り組みを進めています。私は、岩手県へ聞き取り調査に行きました。こちらの県では、「物価高騰に伴う事業者の影響調査」を行い、県自ら実情把握に尽力されています。そして、2023年度・2024年度と2回にわたり「物価高騰対策賃上げ支援金」を実施し、賃金引き上げと中小小規模事業所の経営を支えています。1回目は、「50円以上の賃上げを」要件に「従業員1人当たり5万円。最大20人分を支給」していました。2回目は、拡充されて「60円以上の賃上げを」要件に従業員1人あたり6万円最大50人分」の支援に踏み出しました。いくつか課題もありますが、申請が容易で賃上げの後押しになっていると伺いました。また、県内への定着も期待していると語られていました。
愛知県の最低賃金は、1077円です。中小小規模事業者の中には、身銭をきって賃金を引き上げた方もいらっしゃると伺いました。地域を支えている、中小小規模事業者への直接支援に愛知県が踏み出してほしいと思います。そこで、伺います。他県のように、愛知県独自に賃上げ支援を決断すべきと考えますが、いかがでしょうか。
【大嵜みどり労働局長】 賃金引上げの支援について、お答えいたします。地域経済を活性化し、暮らしを豊かにするには、本県産業の維持・発展を支えている労働者の賃金の底上げを図り、安心して働き続けられる環境を整備することが大切であると考えています。また、企業が持続的な賃上げを行うためには、生産性の向上などを図ることにより、賃上げの原資となる企業収益を確保することが必要です。
そこで本県では、生産性の向上に向けて、経営者自らの取組を促すため、デジタル化による業務改革や人材育成の重要性などを学ぶ経営者育成塾を実施しています。また、賃上げのためには、労務費を含めた適切な価格転嫁の推進が重要であることから、経済団体や労働団体、国の行政機関等とともに「適正な取引・価格転嫁を促し地域経済の活性化に取り組む共同宣言」を発出しております。さらに取引適正化・価格転嫁のためのシンポジウムを行っております。
本県といたしましては、引き続き、こうした取組の情報や、中小企業に対する国の業務改善に係る助成金などの支援策について、ホームページ等により提供することで、安心して働き続けられる環境の整備に努めてまいります。
愛知県は、ジェンダーギャップ指数も男女の賃金格差も悪い
【しもおく奈歩議員】 続いて、男女の賃金格差の是正について質問します。今年は、国際女性デーが1975年に国連によって制定されてから50年という節目の年です。世界各地で、平和と生活向上、ジェンダー平等をめざす女性の共同行動の日で毎年3月8日に様々な行動が実施されています。また、男女雇用機会均等法制定から40年という年でもあります。しかし、今もなおジェンダーギャップ指数は、146カ国中日本は118位でG7では最下位となっています。都道府県版のジェンダーギャップ指数 愛知県では、経済で29位、行政で20位、政治で23位、教育14位となっています。愛知県からもジェンダー平等を前に進めていかなければいけません。
厚労省が「都道府県別の女性の就業状況等について」を公表しました。愛知県の状況に衝撃が走りました。女性管理職の比率が6.4%で全国47位と最下位になっており遅れた現状が示されました。また、男女の賃金格差では、男性の賃金を100%とした場合愛知は73.2%であり、全国で5番目に格差が大きい県となりました。
まず、男女の賃金格差と管理職に占める女性の割合の低さ、平均勤続年数の男女差についてどのように認識していますか、またその原因をどのように分析しているのかお答えください。
【盛岡士郎県民文化局長】 男女の賃金格差等の認識と原因についてお答えいたします。厚生労働省の公表結果のとおり、本県は、全国平均に比べて男女の賃金差異が大きく、女性の管理職割合が低く、平均勤続年数も短くなっており、こうした現状は県内企業での女性の活躍を進めるうえで、改善すべき課題であると認識しています。
賃金差異が大きい要因としましては、本県では男性労働者の賃金水準が全国平均より高い一方で、女性の賃金水準は管理職割合が低く、平均勤続年数も短いため、全国平均を下回っていることが挙げられます。
女性の管理職割合が低い要因としましては、女性の平均勤続年数が短く、管理職になる前に退職する女性が多いことなどが考えられます。平均勤続年数が短い要因は、夫が外で働き妻が家を守るといった性別役割意識などを背景に、結婚や出産を機に正社員を辞め、その後パートなど非正規社員で働く女性が多いことなどが考えられます。
県職員の女性役職比率を高めよ
【しもおく奈歩議員】 こうした状況を改善するために、愛知県の県の職員の男女の賃金格差是正、管理職に占める女性の割合を高めることに力を尽くしていくことが必要です。愛知県の管理職に占める女性の割合は、現状は14.83%です。あいち行革プラン2025の中で、女性管理職の割合を「数値目標2030年度までに管理職に占める女性の割合を20%以上」と掲げています。
意思決定の場への女性比率を増やすことが必要です。目標に向けて、どのように推進していくのか伺います。愛知県職員の女性比率は40%です。女性管理職50%を目指し、まずは40%を目標にしてはいかがでしょうか。答弁を求めます。
【権田裕徳人事局長】 本県では、職員の採用から管理職への登用まで、長期的な視点で女性職員の活躍を促進することとしており、女性管理職の割合は2013年度に「2020年度までに10%」、2019年度に「2025年度までに15%」と段階的に数値目標を設定し、これらの達成に向けて、女性職員の「採用」、「職域拡大」、「キャリア支援」、「登用」などの取組を計画的に進めてきました。この結果、女性管理職の割合は目標設定後の2014年度の7.26%から 2024年度には14.83%へとこの10年間で2倍以上に上昇させてきました。
こうした経過を踏まえ、この先も女性の管理職登用の上昇ペースを加速させながらも着実に前進させるため、昨年12月に策定した「あいち行革プラン2025」において「2030年度までに20%以上」という目標を新たに設定したところであり、まずは、この目標の達成に向けて取組を進めていきたいと考えております。
具体的な取組としては「愛知県職員の女性活躍促進・子育て応援プログラム」に基づき、本庁への積極的な配置による女性の職域拡大、育児支援キャリアガイダンスの開催などの支援を進めるとともに、特に登用については、マネジメント能力や政策形成能力などに優れた女性職員を積極的に管理職へ配置しているところであり、管理職候補となる課長補佐級班長に女性職員を数多く配置して、マネジメントなどを経験させることにより、近い将来、管理職として活躍が期待される女性職員を計画的に育成してまいります。今後も、より多くの女性職員が組織の管理的な立場に立ち、政策・方針決定に参画できるよう、着実に取組を進めてまいります。
大企業における男女賃金格差の是正に取組め
【しもおく奈歩議員】 愛知県は、大企業が立地する地域です。愛知県に本社がある企業の売上トップ10のうち、トヨタの男女の賃金格差は男性を100%としたとき67%です。中部電力は68.2%、JR東海は76.3%となっています。全国平均は、74.8%であり、いずれも平均を下回っているか1ポイント上回る程度です。
大企業における賃金格差の背景には、管理職に占める女性比率の低さとともに、国連も問題として指摘するコース別人事があります。男性の採用が多い総合職に比べて、女性が圧倒的多数の一般職は賃金・待遇が低く据え置かれています。
賃金の平等はジェンダー平等社会を築くうえでの土台中の土台です。賃金の格差は年金にも連動し、大きな男女格差になり、定年まで働いても年金で生活できない女性も少なくありません。
男女の賃金格差是正は、女性の経済的自立に不可欠です。茨城県は、県内の主要な経済団体に格差の是正を企業に促すように要請を行ったそうです。愛知県として、県内の大企業に管理職の女性登用の推進、男女の賃金格差を是正するよう要請すべきではないでしょうか。答弁を求めます。
【盛岡士郎県民局長】 県内大企業に、管理職に女性登用の水深、男女の賃金格差を是正するための要請についてお答えいたします。 本件では、2013年9月に発足した「あいち女性の活躍促進プロジェクト」の事業の一環として、経済団体、労働団体、企業の代表者等を構成員とした「あいち女性の活躍促進会議」や、愛知県経営者協会と連携した「女性管理職養成セミナー」などを開催することで、県内企業での女性活躍を強く促してきたところです。
女性活躍に積極的に取り組む企業を「あいち女性輝きカンパニー」として認証する際には、女性管理職の登用目標や、男女間の賃金差異の公表等を審査項目に設定しております。こうした取り組みにより、女性管理職割合や男女間の賃金差異は、プロジェクト発足前の2012年との比較では着実に改善しています。
県としては、引き続き経済団体等と連携しながら様々な愛知女性の活躍促進「あいち女性の活躍促進プロジェクト事業」を実施していくことで、大企業のみならず中小企業を含めた県内企業の女性活躍を進めていきます。
大学の学費の負担軽減へ、県独自の返さなくていい奨学金を創設を、県立大学の学費の無償化を
【しもおく奈歩議員】 続いて、大学の学費の負担軽減、返さなくていい給付奨学金について質問します。高い学費に、多くの学生がアルバイト漬けになっています。奨学金は、学ぶ権利を保障するためのもので給付を基本とすべきです。しかし、日本の奨学金は借りたら返すという「借金」になっています。
日本民主青年同盟愛知県委員会と日本共産党愛知県委員会の共同で、学費・奨学金に関するアンケートと署名運動を行いました。大学の学費について9割の学生が「負担が重い」と回答しました。奨学金については、借りているが21%。返済中が9%でした。借りた奨学金の総額は、一番多い方はなんと900万円と回答されていました。20年かけて返済しなければいけません。
学費や奨学金への思いや意見では「苦しい」「奨学金を借りなければ進学できない、大学卒業後も返済に追われる状況があっていいのか」「学費が高すぎて生活するのが辛い」など、学生の声が溢れていました。
豊橋駅前でのシールアンケートの中でも、「学費が高く、バイトをしていた友人が心身を病んでしまった」という声や、親世代からは「くらしの中で節約しているけど、子どもの学費を節約するわけにはいかない。負担を軽くしてほしい」という声が寄せられました。
また私は、実際に学生との懇談を行いました。その際に「他県から通っている友人が、学費を自分で払っているため、バイト漬けになっている。不公平な世の中だと思います。」「学生が働かなくても、学べて自由な時間を作れる社会がいい」という声や、親に学費などお金を出してもらっている方も「悪いことしているわけではないのに、申し訳ないし後ろめたいような気持ちになる」と、話してくださいました。ほんとにどれも深刻な事態だと思いました。
他にも、学生の方々からは、交通費の負担や留学する際の財政的なハードル、テキストが高い、インフルエンザになっても病院にいけないなど、深刻な状況が語られました。学生の学びは、いずれ社会に還元されていきます。学生が自由にのびのびと学ぶ環境をつくるのは政治の役割です。
そこで、3点伺います。第一に、学生の学びは社会に還元されるものであり、社会全体の利益になります。そうした観点から学生の学びは、自己責任ではなく、国や県が支えていくべきと考えますが、県の認識を伺います。
第二に、学費の負担軽減へ、県独自の返さなくていい奨学金を創設していただくとともに、県の責任で県立大学の学費をまずは半額にして、無償化へとすすむべきと思いますがいかがでしょうか。答弁を求めます。
第三に、国に学費を直ちに半額へ、学費無償化を計画的に進めることや入学金をゼロにすること、給付奨学金を拡充することを積極的に要望していただきたいと思いますが、お考えを伺います。
【盛岡士郎県民文化局長】 大学の学費の負担軽減と給付型奨学金を国や県が支えていくべきことについて、はじめに県の認識についてお答えします。意欲と能力がある学生が、経済的理由により進学を断念することがないよう、社会全体で案心して学ぶことができる環境を整備することが必要であると考えています。現在、国においては、2020年度に施行された大学等における修学の支援に関する法律による「高等教育新制度」により、経済的に困難な学生に対する支援が行われています。また、国においては授業料等の個人・保護者負担の在り方などについて議論がなれています。本県としては、こうした国の動きを注視してまいります。
次に、県独自の奨学金の創設、県立大学の学費の無償化についてお答えいたします。国の「国の高等教育の修学支援新制度」では、世帯年収などに応じて、授業料等の減免と奨学金の給付の支援を受けることが可能となっています。例えば、県立大学を含む国公立大学に通う民税非課税世帯は自宅外通学の場合、授業料・入学金が全額免除になるとともに、年約80万円の返還不要の給付型奨学金を受けることができます。さらに2025年度からは、扶養する子供が3人以上いるいわゆる多子世帯は、所得制限なしで授業料等が無償化されるなど、支援が拡充されます。また、県立の大学の授業料は、文部科学省令で定める国立大学の標準額に準じることとしています。
本県としては、給付型奨学金、県立の大学の学費軽減のいずれについても、全国斉一的に行われることが望ましいことから、国の制度により充実が図られるべきものと考えております。
次に、国への要望についてお答えいたします。本件といたしましては毎年、全国知事会や全国国公立大学設置団体協議会を通じて、「高等教育の修学支援新制度」の拡充を図り、高等教育の無償化を国が責任を持ってその財源を確保することにより実現するよう要望しており、引き続き国の検討状況を注視しながら、支援対策の拡大、給付額の引き上げ等を要望していきたいと考えております。
愛知県から日本政府に向けて、核兵器禁止条約への批准を
【しもおく奈歩議員】 最後に、戦後80年の取り組みと核兵器禁止条約への批准を愛知県から国に働きかけることについて質問します。
今年は広島・長崎への原爆投下から 80年の節目の年です。核兵器禁止条約は1月22日で発効4年となりました。署名国は94カ国と国連加盟国の半数に迫り締約国も73に達するなど国際法としての力を強めています。
核兵器は絶対に使わせてはならない、と粘り強く活動してきた被爆者=日本被団協が昨年、ノーベル平和賞を受賞しました。その被爆者がいま強く求めているのは、核兵器禁止条約へ日本政府が批准することです。
ニューヨークの国連本部で核兵器禁止条約第三回締約国会議が今日(3月3日)から7日まで開かれております。日本から、被爆者や平和団体が同会議や関連企画に参加をいたします。しかし、日本政府は「不参加」を表明しました。
この政府の表明に2月18日、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳(てるみ)代表委員は「極めて残念」との談話を発表しました
被爆国である日本の政府として、核兵器は人類と共存できないこと、核兵器を使うことも持つことも許さず、廃絶を求める立場で、少なくともオブザーバー参加を決断すべきでした。
大村知事は昨年末に、ノーベル平和賞受賞式にも参加した愛知県原水爆被災者の会 金本弘理事長ともお会いをし、お話を聞かれたと思います。その際、大村知事が「これからも大いに活動をして頂き、賛同の輪が広がっていくことを応援したい」と述べられたと報道されていました。愛知県議会で 1963年に決議された「平和県宣言」は、「原水爆脅威のない世界は全人類の悲願である」と述べています。
核兵器は、人間らしく死ぬことも生きることも許さない非人道的な兵器です。被爆者は、生涯にわたり苦しめられています。愛知県として、いかなる状況の下でも核兵器の使用は許されないという立場に立っていただきたいと思います。そこで、3点伺います。
一つ目に、愛知県として、戦後80年の節目に平和のための取り組みをどうすすめていくのか伺います。
二つ目に、まず被爆者の思いを受けとめて、賛同の輪が広がることを応援するのなら大村知事自ら「核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」へ賛同し、署名をしていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
最後、三つ目に、愛知県から日本政府に向けて、核兵器禁止条約への批准を迫るべきではありませんか?答弁を求めます。
【盛岡士郎県民文化局長】
戦後80年の節目における平和のための取組についてお答えいたします。本県では2015年の戦後70年の節目の時に戦争に関する資料の収集・保存・展示・教育及び調査研究のための施設として名古屋市と共同で、「愛知名古屋戦争に関する資料館」を開館しました。本県における平和のための取組は、これまで資料館を中心に、実物資料や映像による展示のほか、夏休み中の「戦争体験談を聞く会」や「専門家による特別講座」などを実施し、若い世代への継承という役割を果たしてまいりました。
今年は戦後80年、資料館開館10周年となることから、従来の取り組みに加え展示内容の更なる充実・改善を図るとともに、昨年、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞されたことも踏まえ、新たに平和に関する講演会を開催するなど、戦後80年の節目にふさわしい事業の実施について検討してまいります。
次に、核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名への賛同・署名についてお答えいたします。改めて申すまでもなく核兵器使用がもたらす破滅的結果を踏まえれば、核兵器の廃絶は人類の誰もが願う共通の切なる思いであります。本県では、1963年に愛知県議会において決議された平和県宣言の精神に基づき、行政運営を行っているところです。したがいまして、 核兵器禁止条約をめぐっては、昨今の国際情勢などを踏まえた国の考え方があるとともに、県議会を始め県民の皆様における幅広いご議論、ご意見等も十分踏まえる必要があり、核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名への賛同・署名については、現時点においては慎重な対応が必要と考えております。
最後に、核兵器禁止条約の批准に向けた日本政府に向けた働きかけについてお答えいたします。繰り返しになりますが、核兵器の廃絶は人類の誰もが願う共通の切なる思いであります。核兵器禁止条約をめぐっては、昨今の国際情勢などを踏まえた国の考え方や、県議会を始め県民の皆様における幅広いご議論、ご意見等も十分踏まえる必要があり、日本政府への条約批准の働きかけについては、現時点では慎重な対応が必要と考えております。
今年は戦後80年であり、平和や戦争に関する歴史にこれまで以上に関心が深まるものと考えます。県としては、今後も、一人でも多くの県民の皆様が、戦争の残した教訓や平和の大切さ、尊さを学び、平和を希求する豊かな心を育むことができるよう、しっかりと取り組んでいきます。
本会議で4つの「要望」
【しもおく奈歩議員】 それぞれ、ご答弁いただきましたので、4点要望したいと思います。
最初に、最低賃金の引き上げと賃金引き上げの支援についてです。
物価高騰が続くなかで、人間らしく暮らしていくためにも最低賃金引き上げと賃金を引き上げるためにも中小小規模事業者へ直接支援が必要です。中部国際空港代替滑走路への支援には、愛知県は財政支援をしています。大企業支援には熱心で、中小小規模事業者への支援には消極的だと思います。地域経済を支えるためにも、愛知県として賃金引き上げへ力を尽くしていくべきです。同時に、国が本気で取り組まなければいけません。政府の役割は、財界、大企業に役割を果たさせることです。国民が物価高騰に悲鳴をあげているのを横目に、大企業は巨額の内部留保を溜め込んでいます。
国へ、最低賃金1500円以上へと求めることとあわせて、賃上げした中小企業の社会保険料の負担軽減や賃金補助など大規模な賃上げ支援を行い、その財源は、大企業の内部留保への課税の税収を充てるべきだと、愛知県から国に求めていただくことを要望します。
次に、男女の賃金格差是正についてです。
大企業は、コース別採用や全国転勤等を要件とした雇用管理、派遣、非正規化などさまざまな形で、「安上がりの労働力」として女性差別を続け、女性の低賃金構造を温存してきました。
同一価値労働同一賃金の原則を徹底し、女性の低賃金をなくし、男女の賃金格差を是正すべきです。国連の女性差別撤廃委員会は女性差別撤廃条約選択議定書の批准など幅広い分野で状況を改善するよう勧告しました。その中で、男女の賃金格差が大きいことに触れ「女性の雇用環境の整備や間接差別を広く考慮すること、中小企業にも男女賃金格差の公表義務を広げること」も求めていました。
男女の賃金格差是正へ、愛知県がその推進に力を尽くしていただくよう要望します。
続いて、大学の学費の負担軽減、返さなくていい給付奨学金についてです。
私は先月、民主青年同盟愛知県委員会とともに国会へ、学費の負担軽減を求めて、要請に行きました。愛知県から参加した学生からは、「学生の学びは還元率の高い投資です。その利益を得るのは社会全体です。もう少しがんばってほしい。不平等な現状を無くしてほしい」と、訴えました。ぜひ愛知県もこの学生の声を受け止めていただいて、公的な支援を拡充させていただきたいと思います。
国が行う、低所得者層を対象とした修学支援新制度については、困窮する学生ほど救われない制度となっている実態を、国会でわが党の堀川あきこ衆院議員が明らかにしました。
東京都や兵庫県は、大学の学費無償化へ踏み出しました。愛知県も、学生の学ぶ権利を保障し、全ての学生が学ぶことを諦めなくていいように、返さなくていい奨学金や学費をまずは半額にして無償化へ踏み出すことを要望します。
最後に、戦後80年の取り組みと核兵器禁止条約への批准を愛知県から国に働きかけることについてです。
さきほど、(戦後)80年の取組のなかで講演を行うという答弁がありましたが、紹介したようにノーベル平和賞(受賞式)に愛知から出席した被爆者の方がいらっしゃいますので、講演にぜひ呼んでいただきたいと思います。
核兵器禁止条約は、被爆者が「自分たちの目の黒いうちに核兵器をなくす」と命がけで声をあげて、ヒロシマ・ナガサキの実相を広げてきたことが禁止条約実現の力になりました。唯一の戦争被爆国・日本が禁止条約に参加していないことは重大です。日本の参加は核兵器廃絶の流れを発展させる、他にない大きな意義を持ちます。
残念ながら、消極的な答弁だったと思いますが、県議会でも決議(平和県宣言)をあげていますので、ぜひ愛知県から、強く働きかけを行っていただきたいということを要望し、質問を終わります。