議会報告

PFI手法による芸術劇場などの運営に反対              2024年12月議会補正予算に反対討論

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日本共産党しもおく奈歩です。

 私は、ただいま議題となっております、諸議案のうち、第183号議案、第184号議案、第186号議案、第215号議案、第219号議案、第220号議案、第221号議案について反対の立場から討論を行います。

 まず、第183号議案 令和6年度愛知県一般会計補正予算及び、184号議案愛知県芸術劇場等の公共施設等運営権に係る実施方針に関する条例の制定についてです。

 愛知県基幹的広域防災拠点の中核施設である消防学校の整備・運営、愛知県芸術劇場等の運営をそれぞれPFI手法で進めていくというものです。

 PFI手法は、国の方針により、公共施設の建設や維持管理にあたって優先的に検討するよう自治体に要請されています。PFI手法を導入する目的は、「事業コストの一層の削減、より質の高い公共サービスの提供を行うこと」とされています。しかし、質が高くて経費も安い、とういうことはありません。経費を削減しようとすれば、質はさがることになります。見過ごせない問題があります。以下、問題点を3点述べていきます。

 第一に、賃上げこそ必要な時に、人件費の削減がコストカットの主力とされてしまう恐れがあることです。

コスト削減の指標、PFIの導入による効果を示すVFMは、芸術劇場等では約10%、消防学校では約5%と見込まれています。とりわけ芸術劇場等のPFIは施設の維持管理が基本であり、コスト削減の中心は人件費となるのではないでしょうか。加えて、現状の指定管理者制度による運営よりも、管理業務の再委託が行いやすくなり、コスト削減に貢献する、つまり、より人件費が低いところへ下請け、孫請けすることができる仕組みとなることが危惧されます。

賃金を抑え、人件費を抑えるコスト削減競争に公の施設をさらすのではなく、公契約条例を制定した愛知県の直営で、率先して賃金と労働条件の向上に取り組むべきです。

 第二に、民間会社の競争性が発揮されなくなっていることです。 

 PFIで民間の力を活用するときに、競争原理が働くとは言えなくなりました。募集に応じる企業が少なかったり、現れなかったりが続き、いまでは、どんな条件なら仕事を引き受けてくれるか、企業の注文を聞き企業の要求水準にあわせて業務を発注するようになっているのがPFI契約の実態だと思います。費用の節約になっているのか疑問です。

 第三に、とりわけ災害に応じて臨機応変な活用が求められる防災拠点・消防学校には、直営による機敏で柔軟な運営こそ望ましいと考えます。

 災害発生時もふくめ、県の判断だけで機敏に動ける直営による管理運営が防災拠点にはふさわしいと考えます。

 以上述べてきた問題があるため、賛成できません。関連する、184号議案愛知県芸術劇場等の公共施設等運営権に係る実施方針に関する条例の制定にも賛成できません。

 運転免許証の手数料で、マイナを格安にするのはいかがか?

 次に、第186号議案、愛知県手数料条例の一部改正についてです。

九つの手数料の新設、11の手数料の改定、三つの手数料の廃止が一括りで提案されています。問題は、運転免許等事務に係る手数料のうち、新設される特定免許情報 記録手数料や運転経歴情報 記録手数料など、マイナ免許証の導入に伴うものが含まれていることです。

マイナ免許証のみの場合は、新規取得の手数料は現行よりも500円引き下げて1550円となるものの、従来の運転免許証は300円引き上げて2350円となります。更新時の手数料もマイナ免許証のみは400円引き下げて2100円となりますが、従来の免許証は350円引き上げて2850円になります。

 従来の運転免許証とマイナ免許証の両方を持つこともできますが、新規取得や更新をする際の手数料は割高になってしまいます。また、更新時の講習にかかる手数料もマイナ免許証では一部優遇されます。オンライン講習を受講する場合は優良・一般運転者ともに一律200円としています。

こうした動きは、マイナ免許証への誘導を促そうとするものだと思います。

 そもそもマイナンバー制度には、個人情報が収集・管理・利用される恐れや個人情報が漏洩する恐れなどいくつもの問題点があります。また、マイナンバーカードを使ったデジタル化の中で、行政サービスから取り残されてしまう人がでてきてしまう恐れもあります。その一環である、マイナ免許証の導入促進をめざす手数料条例の改定に賛成できません。

 次に、第215議案、特定事業契約の締結についてです。

これは、豊橋市にある県営岩田住宅16棟のうち4棟の老朽化に伴う建替えをPFI手法で行うものです。老朽化した県営住宅の建替えは必要です。PFI手法の問題点は先に指摘したとおりですが、加えてこの契約では該当する住宅の管理戸数を140戸から120戸に減らすことになっており、賛成できません。

県営住宅長寿命化計画では、2020年度から30年間で管理戸数約5万8千戸のうち1割から2割を削減するとしています。老朽化した県営住宅の建替えは必要ですが、提供戸数を減らすべきではありません。持ち家の多くが空き家となり社会問題化しています。一方でマンション等の価格高騰もすすんでいく中で、一定の質を持ち低廉な家賃で暮らせる公営住宅へのニーズは高いと思います。令和5年度の募集倍率は、3.9倍となっています。

地域の活性化のためにも、管理戸数を減らさずに住み心地のいい県営住宅へと方針の転換を求めます。

  給付型奨学金への転換と返済支援こそ決断すべき

最後に、第219号議案 訴えの提起について(私立学校入学納付金 貸付金返還請求事件)、第220号議案 訴えの提起について(私立学校奨学資金 貸付金返還請求事件)、第221号議案 訴えの提起について(奨学金貸付金 返還請求事件)の3議案についてです。これらの議案は、いずれも高校生へ貸し付けた奨学資金等の返済を求めて訴えを起こす、時効による債権消滅を防ぐための提訴です。

 今回の提訴額の合計は約2000万円です。昨年度決算では、県立、私学あわせて9億4478万円余が収入未済(みさい)(がく)となっており、監査委員による審査意見では、債権回収業務の外部委託など、個々の実情に応じた適切な措置を講じるように要望されています。債権回収の外部委託という意見には同意できませんが、「個々の実情に応じた適切な措置」には真剣に取り組んでいただきたいと思います。

もともと、返済能力を考慮せず高校生の時に貸し付けた奨学金です。さらに大学で多額の奨学金を借り、数百万の返済に追われている若者も少なくありません。裁判に訴えて機械的に返済を迫るのではなく、個々の実情を十分に把握したうえで、一人ひとりに寄り添った対応を進めることが求められています。

そして何よりも早急に、返さなくていい給付型奨学金への転換と返済支援こそ決断すべきです。子どもたちに、奨学金という名の借金を負わせるやり方はやめるべきです。

お金の心配なく学べるように、若い世代に寄り添った県政への転換を強く求めて討論とします。

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