【しもおく奈歩議員】 2026年に開催されるアジア・アジアパラ競技大会について質問します。
選手村に代わる宿泊施設に関する新たな動きが11月30日に新聞やテレビなど数社により報道されました。「コンテナ型に2000人宿泊 アジア・パラ大会名古屋港設営へOCA要求に対応」(中日新聞)「クルーズ船などに代わり…2026年アジア・アジアパラ大会に向け選手宿泊用の『コンテナハウス』名古屋港に設営の方向」(東海テレビ)などの見出しが躍りました。あわせてOCA=アジア・オリンピック評議会の理事会も開催されたと報じられました。
この動きについて現在まで、知事からも当局からも何も議会には説明がありません。 今年の6月には、「大会経費の見通しが当初見込みの1000億円を大幅に上回る見通し」(5月15日CBC)との報道に対して、知事は報道内容を否定し報道機関に抗議したということがありました。6月議会のこの委員会では、情報公開を求めた私の質問に担当課長からは「これまでも選手村の整備の取りやめ、一部の競技会場の変更、クルーズ船の活用など、大きな決定事項があれば、その都度、組織委員会の理事会や記者発表などを通じて説明をしております。」と答弁がありました。
そこでおたずねします。名古屋港にコンテナハウスを設営し、選手を宿泊させることに決めたのは事実でしょうか?もし事実だとしたら、これまでの方針を変える「大きな決定事項」です。記者発表通じてだけでなく、議会の場で説明をするべきです。なぜ県民や議会に対して正式な説明がないのでしょうか? 以上、答弁を求めます。
【アジアパラ競技推進局担当課長】 これまでも、アジア競技大会・アジアパラ競技大会について、大きな決定事項があれば、その都度、組織委員会理事会の結果報告や記者発表などを通じ、説明をしております。今後も、そのように対応させていただきます。
【しもおく奈歩議員】 アジア・アジアパラ競技大会の宿泊施設について、12月10日朝のNHKは、「OCAとJOC・大会組織委員会とで覚書を交わしたことが明らかになった」と報じました。「大会では選手村が中止となったが、OCAからは選手の交流の場を確保してほしい、との要望があり、選手村の代わりにクルーズ船やコンテナの活用で調整してきたが、OCAからは、いまのままでは開催都市契約に定められた運営基準として問題があるとして改善を求められ、三者で契約遵守の覚書を交わした。違反した場合の罰則もある」との内容です。
選手村の問題は深刻に受け止める必要がありそうです。「選手村をつくらない」という組織委員会の方針について、大会主催者であるOCAの理解と合意が得られていない。最初のボタンの掛け違いが正されないままズルズルここまできてしまっているのではないでしょうか。
そこで、以下の点についてあらためてお聞きします。2026年アジア競技大会、アジアパラ競技大会の開催都市契約では、選手の宿泊施設と交流の場の確保、つまり選手村についてはどういう記述になっていますか?お示しください。
選手村をつくらず分散型の宿泊で対応する、という組織委員会の方針は、大会主催者であるOCAからはいまだ理解をえられていないのではありませんか?罰則の規定もある契約遵守の覚書を結んだのならば、その内容をきちんと県民や議会にも公開し説明すべきではありませんか?答弁を求めます。
【アジアパラ競技推進局担当課長】 アジア競技大会の開催都市契約では、選手村について、組織委員会は、選手やチーム役員その他チーム要員に、適切な宿泊施設を提供するものとなっており、その場所及び収容能力並びに提供されるサービスの内容をOCAとの協議により決定すると記載がされております。また、先ほども申し上げましたが、選手村の施設整備を取りやめ、ホテル等既存の宿泊施設を活用して選手村機能を提供することについては、2023年3月に計画を説明し、7月のOCA総会においてもホテル等の活用について説明し、OCAから特に意見・質問はありませんでした。
その後も、OCAとは調整を行いながら進めており、本年1月のOCA調整委員会においてクルーズ船等を活用した選手村の検討の要請があった際も、5月のOCA総会にてクルーズ船等の活用の計画を説明するなど、組織委員会が一つ一つ手順を踏んで進めており、宿泊計画について、今月、OCAに了承されております。
なお、アジア競技大会については、2018年に締結した開催都市契約に基づき、組織委員会とOCAが協議しながら行っており、その過程で細かい文書のやりとりは行われておりますが、あくまでも開催都市契約に基づき行っているものです。先ほども申し上げました通り、開催都市契約に基づき、細かな文章はやり取りをさせていただいております。
【しもおく奈歩議員】 県民の税金が投入されているものについて、検討段階であっても説明をすべきです。これでは、議会軽視であり不信感が募ります。 選手村の代替施設についての混迷、迷走が続くのはなぜでしょうか。組織の仕組みに問題があるのではないか、と危惧します。そこでうかがいます。
大会運営に関する重要事項について、どの組織がどんな決定権を持っているのでしょうか。大会組織委員会とOCAとの関係、権限と分担はどうなっているのか、何をどこが決めるのかお示しください。選手村の代替施設の整備方針についても、どこが決めることになっているのでしょうか?答弁を求めます。
【アジアパラ競技推進局担当課長】 OCAはアジアにおける様々なOCA競技大会を統括する唯一の団体であり、アジア競技大会はOCAが主催するものです。
大会組織委員会は、愛知・名古屋2026大会の準備及び運営に関する事業を行い、競技大会を成功させることを目的とするための団体です。
大会運営に係る様々な事項は、開催都市契約に基づき決められておりますが、宿泊も含め、具体の内容や運営方法については、双方の調整・合意のもとに進められております。
【しもおく奈歩議員】 組織委員会とOCAとの合意形成は十分だったのでしょうか。大会組織委員会の会長は大村知事です。知事のリーダーシップは重要ですが、選手村はつくらない、クルーズ船を使う、という決断が先にあり、後に引けない状況になってはいるのではないでしょうか。
選手村の機能についてOCAとの意思疎通が不十分なままなのではありませんか?今後のためにも、選手村の代替構想について、大会組織委員会とOCAの協議記録、関係する会議の議事録を公表して、しっかり検証すべきと考えますが、いかがですか? 答弁を求めます。
【アジアパラ競技推進局担当課長】 組織委員会は、OCAに対し、これまでも丁寧に説明・対応を重ねており、繰り返しになりますが、宿泊計画についても、今月承認されたところです。
なお、開催都市契約により、本契約に関連する相談、協議、交渉については、原則として第三者に開示しないこととなっております。
【しもおく奈歩議員】 大会の組織運営、関係団体との調整に加えて、海外出張もふくめて国際機関との交渉など慣れない難しい仕事が山積しており、外国との交渉など一部の職員に重い負担がのしかかってはいないか、局のみなさんもたいへんだと思いますが、大会組織委員会に派遣されている職員はかなり追いつめられているのではないか、と心配します。そこでうかがいます。
大会組織委員会はどんな職員で構成されているのか?現在の課題の量に見合う人員構成になっているか?お聞きします。また、県から派遣されている職員の労務や健康の管理は誰が責任をもっているのでしょうか?現在の残業時間やメンタルヘルス、休暇や休業についての状況はどうかお示しください。
【アジアパラ競技推進局担当課長】 始めに、大会組織委員会の職員構成でございますが、国、愛知県、名古屋市のほか、県内の競技会場所在自治体や民間企業からの出向、東京2020大会を始めとした国際スポーツ大会の経験者など、専門的な知識を有する職員で構成されており、現在の課題に対応できる体制となっております。
大会開催に向け、大会の準備スケジュールや状況を踏まえ、体制を拡充・強化していくこととしております。
次に、愛知県から大会組織委員会への派遣職員の労務や健康管理につきましては、派遣先である公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会が定める「就業規程」に基づいて、組織委員会において管理が行われております。
最後に、愛知県からの派遣職員の時間外勤務及び療養休暇等の状況についてでございますが、本年度4月から11月までの職員一人当たりの平均時間外勤務は、1月あたり約25時間となっております。また、現在、メンタルの不調による療養休暇取得者は1名、休職者は2名となっております。
【しもおく奈歩議員】 名古屋港の活用についても、いくつかうかがいます。
選手村に代わる構想についての新しい提案について、クルーズ船に加えてコンテナハウスを活用する、という報道と、クルーズ船に代えてコンテナハウスを活用するとの報道がありました。どちらが正しいのでしょうか?伺います。
また、名古屋港エリアでは何人規模で宿泊施設を確保する計画ですか?お示しください
【アジアパラ競技推進局担当課長】 繰り返しになりますが、名古屋市内に移動式宿泊施設を利用した2,000人規模の宿泊拠点を設置するということになっております。
今後のスケジュールにつきましては、昨日、知事も申し上げましたが、地元への説明をこれから行っていくこととなっておりますので、その進捗に合わせて、スケジュールを進めていくこととなります。以上です。今後、地元の皆様への説明を行ってまいりますので、速やかに行っていくようには努めてまいります。
【しもおく奈歩議員】 選手の宿泊拠点を名古屋港に集約して選手同士の交流機会を確保する、との報道でしたが、クルーズ船を停泊させる金城ふ頭とコンテナハウスを設営するガーデンふ頭は10㌔も離れており、タクシーでは4千円ほどかかるそうです。名古屋港でも全く別のエリアです。
二か所を一体的に交流拠点とするには距離的に無理があると思います。コンテナハウスの設置が検討されているガーデンふ頭は、名古屋市の「臨海部 防災区域建築条例の第一種区域」です。この条例は伊勢湾台風を教訓としてつくられました。指定された区域に応じて建築物の1階の床の高さや構造などを規定し、第1種区域は防潮壁よりも海側の区域で、最もきびしく建築が規制されており、住宅などは原則建設禁止されています。防災上あやまったメッセージを発信することになりかねません。
そこで、伺います。防災上、建築や居住が制限されるエリアに宿泊施設を設置することについて、安全上の問題があると思います。この点について、県の認識を伺います。
【アジアパラ競技推進局担当課長】 選手の宿泊施設については、全ての選手が最高のパフォーマンスをしていただけるよう、利便性や快適性だけでなく、公平性や安全性といった面においても配慮するとともに、様々な法令などを遵守した計画になると認識しております。
【しもおく奈歩議員】 選手同士の交流拠点は大会に欠かせません。コンテナハウスの活用は検討に値する一つのアイデアだとは思います。災害時に活用されたケースもあります。「建てるな、住むな」と厳しく規制されている場所をわざわざ、交流拠点とするのは、問題です。
最後に、改めて申し上げます。アジア・アジアパラ競技大会を誰もが歓迎できる大会にできるように、報道先行ではなく議会の場でも情報を共有し県民に明らかにしていくことを求め質問を終わります。