議会報告

令和5年度 水道事業会計も不認定                   「水道料金の値上げを背景に執行されている」

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ただいま議題となっております、令和5年度公営企業会計決算のうち、決算第14号「令和5年度 愛知県水道事業会計決算」について「認定できない」立場から討論します。

 認定できない理由は、物価高騰が県民を直撃し、暮らしが厳しい時にも関わらず、拙速に県営水道料金の引き上げを決めたからです。

値上げの主な根拠とされた電気料金の動向に注意しながら、令和5年度の経緯を簡単にふりかえってみます。

当初予算では、ロシアのウクライナ侵攻などの影響により電気料金がさらに高騰すると予測して、動力費等の経費を前年度比20%引き上げ158億円計上しました。 10月に「県営水道料金改定案」の説明がありました。そこでは、「令和5年度の経営状況は、電気料金がピーク時より低下し21億円の執行残が見込まれる」としたものの、「燃料価格の高騰に伴う電気料金の増額などにより『4億円の赤字』決算が見込まれる」また、「令和6年度以降の見通しにつきましても、動力費や物価上昇に伴う維持費の増加により、今後4年間の欠損の合計は76億円が見込まれる」、だから値上げが必要との説明でした。

この値上げ提案について、愛知県営水道受水団体協議会連絡会や愛知県市長会からは、「収益悪化の主要因である電気料金の今年度の動向は、ピーク時に比べ下落傾向にあることから、水道料金改定の必要性について慎重に検討すること」「県営水道料金の改定は、受水団体である市町村の水道事業者に与える影響が大きく、市民に負担を求めていくことになるため、短期間の電力料金等の動向だけで改定の方向性を示すのではなく、各事業者の意見を聞きながら十分な検討期間を設けて協議を進めること」との要望が出されました。しかし愛知県は令和6年2月定例議会に、水道使用料金を1㎥あたり26円から32円に引き上げる条例改正案を提出し、議会でも賛成多数で可決されてしまいました。

 さて10月時点で、「4億円の赤字」が見込まれるとした決算はどうなったでしょうか。「令和5年度水道事業会計決算」では、赤字どころか、経常利益が約4億円、利益剰余金約34億円を計上しています。監査委員の意見書は、「給水収益が減少したものの、電気料金の引き下げに伴い原水及び浄水費が減少したことなどから、経常利益は増加した」と指摘しています。 料金改定の最大の根拠はすっかり崩れたのではありませんか。

動画「県営水道の料金改定の必要性をごりかいください」本年4月、愛知県は、「県民の皆様に、県営水道の料金改定の必要性を知っていただき、御理解をお願いするため」にと、広報動画を作成し県のホームページに掲載しています。そこでは、電気代について令和3年度18億円が4年度に37億円に倍増した棒グラフを掲載しています。5年度には27億円に減額していることは伏せたままで、県民に理解を求めています。

これでは「見込み違いを隠している」と言われかねません。 決算審議を踏まえて正確な情報を県民に示すべきです。

値上げの影響は深刻です。7割を県水に依存する安城市は、安城市水道事業及び下水道事業審議会において、「環境の変化を踏まえた収支見通しの見直し 」の1番目の項目に「県営水道料金の値上げを反映」を指摘し、10年後の2033年まで黒字経営できるとした見込みを大きく変更し、2026年度から毎年約2億円程度の赤字になるので、「料金引き上げの必要性」が出てきたとまとめています。

この間、一宮市、豊田市、田原市、南知多町等、多くの自治体でも水道料金引き上げが話題になっています。

 私は、2月県議会で、「県営水道料金は、物価高騰で県民の暮らしが困窮する中で値上げすべきではありません。水道は命を支えるライフラインです。県民に負担を求めるのはやめて、地方創生交付金の活用、一般財源からの財政支援で値上げをしないために力を尽くすべきです」と指摘し、水道料金改定議案に反対しました。

 なお、2月の補正予算において、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が水道事業にも適用され、一般会計から1億7200万円が補填されました。重要なことであり、この点は評価したいと思います。

 改めて申し上げます。水道は、県民の命に直結する重要なライフラインです。物価高のいま、暮らしの防波堤であるべき愛知県政には、県民の負担増にはとくに慎重な対応が求められます。ところが水道事業では、当初の赤字予測が黒字になった見込み違いについて、県民に十分な説明もないまま、きわめて拙速に県営水道料金の引き上げを決めてしまいました。この決算を認定することはできません。

 命とくらしを守る県政への転換を求め、討論とします。

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