議会報告

防災拠点や水道施設の民間委託、ファンド出資金などに反対
2024年9月 9月議会本議会【反対討論】

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日本共産党 下奥奈歩です。ただいま議題となっております。諸議案のうち、第128号議案、第130号議案、第131号議案、第135号議案及び、第139号議案について反対の立場から討論します。まず第128号議案 令和6年度愛知県一般会計補正予算についてです。

 

  一点目は、愛知県基幹的広域防災拠点整備事業費についてです。この事業の問題点については、これまで二度指摘をさせていただきました。

 今回は、第二期として災害時には自衛隊のベースキャンプや物資ターミナルの役割を果たす、防災公園の整備及び運営を行うため、アドバイザリー契約を結び、事業者の選定手続きを進めるとしています。その対象施設である防災公園の事業方式はBTO方式です。造園や土木工事については、県の直接発注ということでした。

 しかし、造園や土木の設計は管理運営しやすいように、PFI事業者が行うということです。災害発生時の使い勝手が優先されるべき施設なのに、日常の運動公園の機能が優先されかねません。

整備後の防災公園は、日常の運営管理は、PFI事業者が行います。防災拠点という緊急性の高い事業は、やはり県が責任をもって、進めるべきです。

 二点目は、東海研究開発1号ファンド(仮称)出資金についてです。愛知県におけるスタートアップの資金調達環境の充実をはかり、大学研究シーズの社会実装やディープテックスタートアップの成長を促進するとしています。問題点をいくつか指摘します。

 第一に、県の公金の運用が検証されず、元本の安全性も保障されない投資という問題です。 補助金など、公金の支出には具体的な政策目的があり、支出にみあった効果があったか検証する作業が不可欠です。

 今回のファンドへの出資は、元本の保証がなく、一度出資したら10年間は資金を引き上げることもできません。運用益がでるか、損失が発生するかやってみないと分からないギャンブル性の高い投資であり、出資方法として問題だと思います。

 第二に、支援対象の選定がファンド任せで支援する際の明確な基準がないことです。投資対象となる事業者や研究開発内容の選定はすべてファンド任せ、愛知県は出資するけど、口は出せず選定に関与できない仕組みになっています。

 どんなスタートアップ企業が投資の対象になるのか。報道では、「地球温暖化や人口減少といった社会課題の解決に貢献するAI=人工知脳やクリーンエネルギー分野などの先端技術を開発するスタートアップ企業が対象となります」とありました。しかし、当局に確認したところ、「社会課題の解決に貢献するか否かを判断する基準は何も存在せず、対象分野も特定されない」とのことでした。支援にふさわしいと判断する、明確な基準が示されず県民に説明もできません。

 第三に、いつの間にか軍事産業支援につながってしまう心配があることです。

 愛知県は9月10日、ステーション Aiによる重点領域プログラムの支援対象スタートアップを採択したと記者発表しました。採択された名古屋市内のある株式会社は、「自衛隊等向けの無人機ソリューションの開発」を主な事業としていることが紹介されていました。調べてみると、この会社は、「防衛領域への参入を目指す」としており、「民間と軍事のデュアルユース、無人機の開発で世界最先端を走るイスラエルのスタートアップ文化を体感できたことは非常に大きな刺激となりました」とホームページで紹介していました。愛知県スタートアップ支援対象に、軍事技術の開発も目指す会社が選ばれてしまいました。

 愛知県が成長促進を行う、Deep Techスタートアップ自体について、イスラエルの学術機関・軍事機関から生まれたという側面もあります。

 そういう中で、支援対象を選ぶ基準が全く示されない新たなファンドへの出資は、一歩間違えると軍事技術の開発を県民の税金を使って支援することになりかねません。

 三点目は、ステーションAi整備費についてです。

 スタートアップ企業の支援拠点である「ステーションAi」。スタートアップ支援事業は、大企業の技術革新に役立つ一握りの企業のみを支援する形を変えた大企業支援であり、そのために多額の県費をつぎ込むべきではないと私は、この間批判してきました。

 最近の報道でも、「スタートアップ支援拠点ステーション Aiの開業が迫る中、トヨタ自動車グループなど中部の大手企業が参画する動きが目立ってきた。・・・社外の発想や技術を取り込み、革新的事業を生み出す『オープンイノベーション』を促進するのが特長で・・大手企業も『パートナー企業』として参画する。」とありました。

自社で研究開発するリスクを避け、リスクがある研究開発を公の支援でやらせ、儲かりそうな成果だけを大企業が取り込む、まさに大企業支援そのものです。

 四点目は、中部国際空港活性化事業費についてです。

 新型コロナ感染症で落ち込んだインバウンド需要の回復・航空ネットワークの拡充のために、訪日外国人を対象にツアーやイベントを通じて中部国際空港の需要回復につなげるとしています。しかし、空港の利用客を増やすのは空港会社や航空各社が行う仕事です。

 中部国際空港の活性化について、「代替滑走路の建設、第二滑走路の実現のために利用客と就航路線を増やす必要があるから取り組む」と説明がありましたが、これは逆立ちした議論です。

航空需要が大きくなり、発着便が増えて空港が手狭になるから滑走路を増やす、というのではなく、もう一本滑走路を造りたいから需要拡大に取り組む。この説明では、二本目の滑走路はいま急いで作る必要のない不要不急の大型事業だ、と証明していることになります。

 以上、述べてきた理由により第128号議案には賛成できません。

 次に、第130号議案 令和6年度愛知県水道事業会計補正予算、第131号議案 令和6年度愛知県工業用水道事業会計補正予算、第135号議案 愛知県豊橋浄水場の公共施設等運営権に係る実施方針に関する条例の一部改正についてです。これらの議案は、PFI手法による豊橋浄水場の再整備に関係するものです。

 市町村をはじめとした水道事業者に水を安定的に供給するのが県営水道の役割です。運営権を取得しても利益をあげる手法は、スケールメリットによる経費の節約が中心とならざるを得ません。

浄水場一カ所の整備と運転管理の運営権だけでは、民間事業者にとって「うまみが少ない、もっと運営を委ねる範囲を増やしてくれないと引き受けられない」ということで、運営権の対象を豊橋南部浄水場及び周辺管路等にまで広げて公募することに追い込まれた末の提案です。

企業庁からは、「PFI 手法で一部は民間に運営を任せるが、直営の浄水場も維持していく」と聞いてきましたが、民間事業者の意向に沿って売り渡す運営権の範囲が拡大していくことに強い危俱を覚えます。しかも一旦、運営権を売り払ってしまえば30年間、運営を委ねることになり、指定管理のように数年ごとに選定し直すこともありません。

 水道事業は、県民の命を守る事業です。企業利益よりも安全性・安定性・継続性が優先されるべきです。住民の命に直結する分野を民間に委ねることには賛成できません。

 最後に、第139号議案 工事請負契約の締結について(道路改良事業 一般国道247青海(せいかい)インターチェンジ(仮称)上部工事(その1))についてです。

 この工事は、西知多道路の建設に関わるものです。青海(せいかい)インターチェンジ(仮称)は、西知多道路の県施行区間である南部区間にありますが、この地域では、西知多道路の目的として当初、掲げていた「慢性的な混雑の緩和」は、 国道155号線の4車線化の完了などでほぼ実現しています。

 西知多道路は、総事業費約1900億円、国と県により進められている大きな事業です。西知多道路建設の主な目的について、7月に愛知県が行った「国への要請」では、「西知多道路は、国際拠点空港である中部国際空港と高速自動車国道を直結し、リニア中央新幹線の名古屋駅とも繋がる重要な道路。リニア中央新幹線の開業と中部国際空港の代替滑走路の供用が予定されている中、2027年度までに整備するため」として、います。

しかし今、リニアの 2027年開業はJR東海が正式に断念し、開業時期を見通すことはできません。中部国際空港では大きく落ち込んだ空港利用客の回復に苦しんでいるのが現状です。この道路建設を急ぐ必要はありません。

 西知多道路の建設は、不要不急の大型公共事業であり、その一環である道路改良事業 一般国道247号青海(せいかい)インターチェンジ(仮称)上部工事(その1)のための、工事請負契約の締結に賛成できません。

 以上、大企業支援や不要不急の大型開発優先につながる議案について反対であることを表明し、討論とさせていただきます。

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