議会報告

アジア・パラ競技大会の事業費など全容を県民に示せ     2024年9月議会 教育スポーツ委員会 一般質問

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【しもおく奈歩議員】 アジア・アジアパラ競技大会について、伺います。9月21日に「2026年愛知・名古屋アジア競技大会とアジアパラ競技大会の開催経費が、当初想定の計1千億円から約2千億円に倍増すると、組織委員会が試算して分かった」と、報道されました。

 私が、3ヶ月前の6月議会で質問したさいには「できるだけ経費を圧縮できるよう調整してまいりますが、現時点では、具体の数字をお示しすることができないことをご理解ください」と、答弁されていました。それが、ここへきて大会経費大幅に増大することが報道されました。議会には全くこれまで、示されてこず説明もありませんでした。議会軽視ではありませんか。

 以下、大会経費について3点伺います。

1,2000億円超となる可能性について、認めますか?

2, 物価や人件費の高騰のみが理由でしょうか。

3,積算根拠、経費の全体像をお示しください。

 県には大会にかかる経費を県民に明らかにする責任があります。前回、議会で質問した際に「大会経費の見通しにつきましても、引き続き同様に県民の皆様に丁寧に説明してまいりたいと考えている」と答弁をされました。その点も踏まえて、それぞれご答弁をよろしくお願いいたします。

アジア・アジアパラ競技大会推進局担当課長】 現在、大会組織委員会では、繰り返しになりますが、OCAやAPC、競技団体などと協議や調整をしており、個別の競技ごとに、会場の整備や、各会場の警備、輸送など大会運営に係る様々な計画を検討し作成を進めており、経費の積算を行っているところであります。

 大会経費について新聞報道等ございましたが、現時点で、大会経費について、このような確定した経費の試算額はございません。 建設資材や人件費の高騰など社会経済状況の変動により大会経費には上振れの要因はありますが、一方で経費の削減、抑制に向けて様々な工夫、努力を行っているところであります。

【しもおく奈歩議員】 県民の貴重な税金を使っているのに、県民に対して、どこに、何のために、いくら投入されるのか全容を未だに明らかにできないのは、無責任だと思います。

【アジア・アジアパラ競技大会推進局担当課長】 これまでも大きな決定事項があれば、組織委員会理事会の結果報告や記者発表などを通じて説明をしております。大会経費の見通しにつきましても、引き続き同様に、県民の皆様に丁寧に説明を行ってまいりたいと考えております。

【しもおく奈歩議員】 これまで愛知県は、繰り返し「大会経費については、簡素で合理的、機能的な大会運営により、予算の範囲で収まるよう、大会組織委員会や名古屋市を始め、関係者とともに、様々な工夫をすることで経費の抑制に努めている」と答弁されてきました。

 しかし、そうはいかなくなってきたのではないでしょうか。「予算の範囲で収めるよう努力する」と言ってきた、その方針は転換されるのでしょうか。答弁を求めます。

【アジア・アジアパラ競技大会推進局担当課長】 愛知・名古屋2026大会は、「簡素で合理的、機能的な大会運営」を目指し、経費の削減や抑制に向けて様々な工夫、努力を行っており、現在もその方針に変更はありません。

【しもおく奈歩議員】 クルーズ船の活用についても、「選手村の代わりにクルーズ船などを活用する計画に対し、主催者のOCA=アジア・オリンピック評議会が大幅な見直しを要望しました」とありました。OCAは「より多くの選手同士が交流できる拠点が必要」とも述べられていたと書かれていました。

 改めて、OCAから提案されている内容と、選手同士の交流拠点について、どのように検討されていくのか、お示しください。

【アジア・アジアパラ競技大会推進局担当課長】 先ほども答弁の中で触れさせていただきましたが、クルーズ船の活用を含め、選手の宿泊に関しては、先月開催されたアジア競技大会第2回調整委員会において、ОCAから、選手の宿泊施設についてより高い集積性、拠点性を確保して欲しいとの意見があり、10月末までに改めて宿泊計画を提出するよう求められております。

 また、選手同士の交流につきましては、開催都市として、愛知・名古屋のシンボリックな場所である「愛・地球博記念公園」とそれから「名古屋城」を、選手の交流拠点として位置付け、異なる国や競技の選手がそこで交流できるよう検討しております。

 国際スポーツにおける選手間の交流は、国や競技、ジェンダーなどの違いを超えて、互いの理解を深める大切な機会であることから、愛知・名古屋2026大会でも同様の機会を確保できるよう、名古屋市と連携して準備を進めてまいります。

【しもおく奈歩議員】 中日新聞の報道の中で、大会経費とは別に「開催都市経費」として行政の負担金が新たに発生することもわかった。愛知県は600億円、名古屋市は300億円、更なる負担もあり得る。「開催都市経費」について、「当初は想定されていなかった」とありました。

 県は、この開催都市経費は、想定されていたことなのでしょうか伺います。大会経費とは、べつにかかる経費があるということで理解していいでしょうか。また、この経費の負担がいくらになると想定されているのかについても伺います。

【アジア・アジアパラ競技大会推進局担当課長】 本県では、当初から主に大会の機運醸成や大会開催により県民生活への影響が懸念される事象への対応が開催都市の役割と考えております。これまでも、先月から始まった大会2年前イベントや、大会時における競技会場周辺の混雑に対応するための警備誘導の計画策定等に経費を執行してまいりました。

 また、競技会場の使用料といった、開催都市契約に開催都市の義務と規定されている項目に基づく経費も「開催都市経費」として想定しております。こうした「開催都市経費」については、これまでも毎年度、議会において承認いただいた予算で執行させていただいております。

 また、開催都市が負担する経費については、現在、組織委員会や関係機関と調整しながら試算を行っている状況でございます。

 アジアパラ競技大会を障害者スポーツの促進の契機に

【しもおく奈歩議員】 続いて、アジアパラ競技大会を通して障害者スポーツをどのように普及していくのか伺います。

 アジア・アジアパラ競技大会に関する懇談会からの提言では、「アジアの障害者スポーツをリードすることにより、障害への理解促進や、障害のある方への社会参加の促進に大きな役割を果たし、ひいては、多様性を尊重し合う共生社会の実現に貢献する」とアジアパラ競技大会の開催意義を述べています。社会が抱える課題の解決にとってスポーツが大きな役割を果たすことができるとの確信が表明されています。

 さて、「愛知県スポーツ推進計画2023-2027~スポーツがつなぐ愛知の未来~」の中でも、障害者スポーツの促進が大きな課題だと述べられています。週一回以上のスポーツ実施率 成人56.3%に対して障害者は、23.0%。2026年までの目標は、成人70%、障害者40%と大きな開きがあります。

 障害者がスポーツを行う環境について、障害者スポーツの拠点となる障害者スポーツセンターは「名古屋市障害者スポーツセンター」のみで、県立はありません。障害者のスポーツ推進の中核拠点としての役割が求められている、障害者専用・優先スポーツ施設は、県下に10施設ありますが愛知県立は「愛知勤労身体障害者体育館」のみです。

 ある 「実践型のスポーツ専門のシンクタンク」は、「障害児・者の運動・スポーツの日常化に向けて、地域の障害者スポーツセンターを中心に、周辺の障害者専用・優先スポーツ施設や公共スポーツ施設、福祉施設などがネットワーク化することで、障害者のスポーツ参加を促進する」と提言しています。

 そこで、伺います。アジアパラ競技大会をイベントで終わらせるのではなく、障害者スポーツの促進の契機にしていただきたいと思います。どんな障害でも楽しめるスポーツの普及、啓発、場の確保や人材の育成などの支援を、積極的に取り組んでいくべきです。県の認識を伺います。また、障害者スポーツセンターなど、施設の拡充について目標もって取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【スポーツ局担当課長】 障害者スポーツをより多くの方々に知っていただくことは、障害のある方の自立と社会参加の促進や、障害への理解促進、さらには、多様性を尊重し合う共生社会の実現に大きく寄与するものと考えております。

本県では、障害者スポーツの普及や障害者スポーツを体験する機会を提供するため、障害のある方もない方も誰もが障害者スポーツを体験したり、交流したりすることができるプログラムを、県内各地で実施しております。

具体的には、2022年度から、ドルフィンズアリーナにおいて、障害者スポーツを体験し、参加者同士の交流を深めるイベント「あいちパラスポPARK」を開催しており、来場された多くの方々に障害者スポーツを楽しんでいただいています。今年度は、2月22日(土)にドルフィンズアリーナで開催する予定です。さらに、今年度は、より多くの方々に障害者スポーツに関心をもってもらうため、バドミントン元日本代表の小椋久美子さんを「あいちパラスポーツアンバサダー」に任命し、本県の取組のPRやイベントへの参加などに協力いただいております。

 人材育成については、障害者スポーツを理解し応援する「あいちパラスポーツサポーター」を育成するセミナーなどを開催し、障害者スポーツを支える人材のすそ野を広げる取組を行っているところです。また、県立の障害者スポーツセンターを新たに整備する計画はありませんが、県のスポーツ施設については、現在、進めている長寿命化改修工事の中で、施設の老朽化対策だけでなく、多機能トイレやスロープの設置などのバリアフリー対応を進めており、障害のある方も利用しやすい施設となるように、順次改修を進めております。また、県のWebページでは、スポーツ施設のバリアフリー情報を整理して紹介しているほか、障害のある方の利用にあたっては、利用料金の減免なども行っているところです。

 今後とも、障害のある方が、身近で楽しくスポーツができるよう、障害者スポーツの普及・促進にしっかり取り組んでまいります。

【しもおく奈歩議員】 誰もが楽しめるスポーツの環境整備へ力を尽くしていただくことを要望し、質問を終わります。

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