議会報告

「生理用品を学校のトイレに設置できる予算の増額を」      2024年9月議会 教育・スポーツ委員会 一般質問

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【しもおく奈歩議員】 高校トイレへの生理用品の設置を求め、質問をさせていただきます。高校のトイレに、生理用品を設置することは「生理の貧困」にとどまらず、「女性の『性』にかかわる健康と権利」リプロダクティブ・ヘルス&ライツの尊重の点からも重要であり、子どもたちが安心して学校生活を送るために欠かせないものです。

 前回6月議会で、生理用品をすべての高校トイレにと求めて質問をした際に、「生理用品に関しましては、種類やメーカーが多様で使い慣れた製品を自分で持つというのが、今のところ社会の一般的な感覚だと考えている」と答弁されました。生理現象でトイレに行ったときに欠かせないトイレットペーパーは、学校に備え付けてあり「使い慣れた製品を持つことが一般的な感覚」だなんて言われません。なぜ、生理用品の話になると、そのような答弁になるのでしょうか。

 月経・生理は、女性として避けることのできない「生理現象」です。毎月毎月生理は、起こるものです。トイレにトイレットペーパーがなければ困るように、生理用品は、必要不可欠なものです。だからこそ、社会的インフラとして位置付ける必要があります。

 また、生理用品の学校トイレへの設置は、経済的な負担を減らし、女子生徒が尊厳を持って生理期間を過ごすために必要です。生理用品が入手できないことを理由に、女子生徒が学業を制限されることがあってはならないと思います。

 子どもたちが心身の健康を維持し、安心して学校生活を送ることができる環境整備として、トイレットペーパーと同様に、学校のトイレに生理用品を置くことが必要という認識をもつべきだと思いますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

【県教委・担当課長】 生理用品は、種類が多様で、使い慣れた製品を各自で持参するというのが、今のところ社会の一般的な感覚であると認識しております。

  一方で、月経は、女性として避けることのできない「生理現象」であり、生理用品は必要不可欠なものでありますので、急な生理や生理用品を切らした場合などに備えて、必要な時に生理用品を入手できるよう、本県では、県立高校に生理用品を配付しております。

【しもおく奈歩議員】 厚生労働省が令和4年に行った「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」の結果報告の「社会生活の影響」の中で、生理用品の購入・入手に苦労したことが「よくある」「ときどきある」と回答した人を対象に、新型コロナウイルス感染症発生以降及びここ6か月間に生じた、生理用品を購入・入手できないことを理由とする社会生活への影響について尋ねていました。その回答をみると、「学業や仕事に集中できない(34.1%)」、「学校や職場を遅刻、早退、欠席する(26.2%)」という結果になっていました。

 北海道の道立高校では、生理用品の設置をモデル的な取り組みをいくつかの高校で行い、生徒からのアンケート調査を行いました。その中で、生理用品が手元に無く困った経験がある生徒が8割程度おり、中には、「学校(部活動含む)を遅刻、早退、欠席した」 6.3%という回答もありました。愛知県としても、生理用品が入手できないことを理由に学ぶ機会が失われないように、衛生面で心配なく、安心して学校生活を送る環境を県の責任でつくる必要があると思います。

 私は、8月の末に、すでにすべての高校トイレに生理用品が設置された東京都へ視察に行きました。案内していただいたのは、東京都立新宿高校でした。東京都では、令和3年から「いつでも生理用品を入手できる環境を」と、生理用品設置をまず7校で始めました。視察した、新宿高校もその一つでした。そこから、同じ年の二学期に全校へと広げていったそうです。短期間での広がりは、関心が高かったためと伺いました。生徒から「保健室まで取りに行くのは、時間がかかる。トイレに設置されて、気兼ねなく使える」「急に必要になったとき、助かる」「トイレットペーパーのように常備されているのは安心」と、好評だそうです。視察した新宿高校の校長先生は「生理用品もトイレットペーパーのように通常使うものとして設置している」と、話していいました。

 実際に、校内のトイレに生理用品が置いてあるところも見させていただきました。1階及び普通教室がある3階4階5階各フロア2か所、生徒のいるフロア全てのトイレに設置されています。トイレに入ると洗面台のところに、「どなたでもご自由にお使いください」と書いた開放型ボックスに、生理用品がぎっしり入っていました。気兼ねなく使える量だと思いました。トイレ清掃業者がペーパーと同様に、週2回程補充しているそうです。校長先生は「使われ方までは細かく把握していないが必要以上に持ち帰って学校が困ったことはとくに聞いていない。」ともおっしゃっていました。

 生理用品の設置にかんする予算は、2024年度予算で都立高校1300万円、特別支援学校900万円。独立した事業ではなく、学校運営費をその分増額して対応しているそうです。積算の根拠は、実績ベースで積算しています。高校190校女子生徒6万6千人で年間54万枚。特別支援学校60校女子生徒4300人で2万枚、ということでした。

愛知県でも、充分予算措置できる額だと思います。東京都の予算額を参考に、生理用品を設置するための予算を増額し、高校トイレへの設置を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 また、実際に高校トイレに生理用品が設置されている都立高校へ、ぜひ愛知県教育委員会からも視察に行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【県教委・担当課長】 県立高校に通う生徒が、経済的理由で生理用品を用意できなかったり、急な生理や生理用品を切らした場合などに備え、安心して学校生活を送ることができるよう、生理用品を配備するための予算を確保してまいります。

なお、生理用品の設置に係る県外視察は、委員ご提案の東京都を含め、現在予定しておりません。

【しもおく奈歩議員】 先進的な実情を知るためにも、東京都など他県の学校を視察すべきと考えますが、いかがでしょうか。

【県教委・担当課長】 生理用品の配置状況は、本県の県立高校への調査により確認できるため、現在のところ、他県への視察は考えておりません。

【しもおく奈歩議員】 私は一昨日、地元豊橋市内の高校に視察に行き、生理用品の設置状況や使用状況など伺ってきました。その高校では、本館1階と生徒棟手洗い場8か所、体育館前手洗い場にそれぞれ生理用品が5~6枚ずつ置いてありました。そこには「ご自由にお持ちください」というメッセージとともに「生理や生理用品のことで困ったことがあれば保健室でも相談できます」とのメッセージも添えられていました。こういう工夫があれば、相談につながることができると思いました。

生理用品については、保健衛生対策費 年間1万5,6千円の費用の中で購入しているそうです。それと合わせて、コロナ禍で寄付された在庫があるため、なんとかトイレに設置することが出来ていると話していました。しかし、それでもたった5~6枚。これでは足りません。東京都は、ボックスにぎっしり入っていました。他の高校では生理用品が足らないためトイレに設置することが難しい学校もあるそうです。

先ほど紹介したように、東京都は、7校からスタートしました。同じような取り組みを、北海道でも行っています。道立学校の女子トイレ等へ生理用品を 先行して配置するモデル的な取組を道立学校 11 校で行い、さらにアンケート調査も行われました。その結果も踏まえて、令和5年度の4 月から、全ての道立学校のトイレに生理用品が配置されることになりました。

そこで、提案ですが、現在生理用品を全てのトイレに備え付けている28校について、高校生へのアンケート調査・使用状況の把握などを行い、予算を拡充し順次全校に広げていくというのはいかがでしょうか。答弁を求めます。

【県教委・担当課長】 今後も、それぞれの学校の使用状況を確認し、必要な予算を確保してまいります。

【しもおく奈歩議員】 生理用品を家庭の経済的理由等で購入できない場合はもちろん、急遽必要になった場合にも手に届きやすいトイレに設置することが必要です。10代はとくに、まだ生理日が安定しなかったり、些細な体調の変化で予定がずれたりすることはよくあることです。そういった生理への理解も深めていただきながら、予算を増やして生理用品を学校のトイレに設置することを重ねて要望し質問を終わります。

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