議会報告

「アジア・アジアパラ競技大会について」
2024年6月 教育スポーツ委員会 一般質問

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【しもおく奈歩議員】 アジア・アジアパラ競技大会についてお聞きします。まず、大会経費についてです。報道で大村知事は「経費節減、合理化をして頑張っているが、大変厳しい」と述べており、大会経費の大幅な増大が見込まれるとありました。5月15日のCBCの報道では、「資材の高騰や人件費の上昇などを背景に当初見込んでいた1000億円の経費を大幅に上回る見通し」とされています。県が行う様々なとりくみも物価高騰の影響を受けざるをえません。アジア・アジアパラ競技大会だけが、その影響を受けず、当初の850億円、230億円という予算でとりくめるということはないのではないですか?

そこでお尋ねします。アジア・アジアパラ競技大会の経費がどこまでふくれあがる見込みかお答えください。

【スポーツ局・担当課長】 大会経費については、簡素で合理的、機能的な大会運営により、予算の範囲で収まるよう、大会組織委員会や名古屋市を始め、関係者とともに、様々な工夫をすることで経費の抑制に努めているところであります。

大会経費を精査していくためには、主催者であるOCAやAPC、競技団体など関係者と調整しながら、配宿や輸送、競技プログラムなど各種計画を具体化する必要があります。その際には、できるだけ経費を圧縮できるよう調整してまいりますが、現時点では、お示しすることができないことをご理解ください。

【しもおく奈歩議員】 今年5月に、大村知事と名古屋市の河村市長が大会経費について、昨年10月、今年2月に続いて3度目の支援要請を文部科学大臣におこないました。盛山文部科学大臣は「財政当局とも協議しながら、できる範囲のことをやりたい」と答えたとのことでした。

そこで、お尋ねします。国に求める大会経費の支援額はどれくらいの規模になるのでしょうか。お示しください。

【スポーツ局・担当課長】 先月5月14日の要請では、アジア競技大会については、厳しい状況にある大会経費のうち、物価の高騰など、社会経済状況の変動等による増額分について、国において必要となる支援を行っていただくことを要請しております。また、アジアパラ競技大会につきましては、多様性を尊重し合う共生社会の実現に貢献する大会の社会的意義を踏まえ、東京パラリンピックにおいては、国が4分の1の経費を負担していることから、アジアパラ競技大会においても同様に国による支援を行っていただくことを要請しております。

 現在、各種計画を具体化するため、関係者との調整をしているところであり、現時点では具体の数字についてはお示しをしておりません。繰り返しになりますが、各種計画を具体化するため、関係者と調整を進めているところでございますので、現時点では具体の数字をお示しすることができないことを御理解お願い致します。

【しもおく奈歩議員】 大会経費は、維持する考えは変わらないとのことでした。これほど、物価高騰が叫ばれるなかで維持すると言い続けるだけで、その点を踏まえて見通しをたてないのは無責任だと思います。

県には大会にかかる経費を県民に明らかにする責任があります。アジア・アジアパラ競技大会の県民の機運を高めるためには、経費の透明性がどうしても必要です。

県民に歓迎される大会となるよう、二つの大会経費の見通しについて、県民に公開する考えはありませんか。答弁を求めます。

【スポーツ局・担当課長】 これまでも選手村の整備の取り止め、一部の競技会場の変更、クルーズ船の活用など、大きな決定事項があれば、その都度、組織委員会の理事会や記者発表などを通じて説明をしております。大会経費の見通しにつきましても、引き続き同様に県民の皆様に丁寧に説明してまいりたいと考えております。

【しもおく奈歩議員】 選手村の機能について伺います。アジア大会の経費を抑え込む大きな手段のひとつが名古屋競馬場跡地での選手村建設を断念したことです。予定費用は300億円でしたが、もちろん、これがそっくりそのままゼロになるわけではありません。ホテルなどの分散宿泊で対応するとしてきたわけですが、組織委員会からは選手村の機能役割への期待もあると言われています。

 大村知事が組織委員会で5月8日に、クルーズ船をチャーターし、ホテルシップとして選手団の宿泊施設として活用する案を発表し、11日のOCA総会でも反対する声は出なかったと報じられています。3000人クラスの大型クルーズ船を名古屋港金城ふ頭に約二十日間停泊させる計画です。しかし、クルーズ 船を単なるホテル代わりとするのなら、その代償は軽くありません。

 金城ふ頭の接岸予定岸壁は通常、完成自動車の輸出を取り扱うところで、ほぼ毎日、大きな自動車運搬船が着岸しています。愛知の自動車輸出のまさに心臓部です。そこを二十日間も開けてくれ、というのは港湾の職場からは相当きつい要請です。代わりの岸壁やモータープールを確保することもたいへんです。名古屋港の施設にそんな余裕はありません。二十日も使わずに済み困らないのなら、名古屋港の設備が過剰だと言われてしまいます。港湾関係者から今は「協力する方向で検討している段階」、クルーズ船の利用はまだ決定ではないと聞きました。単なるホテル替わりで港湾業務に過大なしわ寄せをして良いのか、心配です。

クルーズ船の利用について、港ではどんな問題があるのか、港湾関係者との調整はついているのか、いつまでに利用が確定できるのか、うかがいます。

【スポーツ局・担当課長】 クルーズ船をホテルシップとして活用するにあたっては、名古屋港の経済活動へ影響が生じないよう、また、台風などの災害時の対応等について、港湾関係者と調整を行っているところでございます。現在、検討の段階でございますので、色々な関係者の皆様とともに、早急に検討を進めていこうと思いますが、期日を特別に区切っているということではございません。

【しもおく奈歩議員】 選手村をつくらないことは経費の節約になる面はありますが、大会運営上、逆に多くの経費を必要とする恐れも少なくありません。選手村よりもかえって高くつくのではないかと思います。例えば食事の問題です。イスラム圏の国々も多く、「ハラル」対応が必要となってきます。そのほかにも選手団の警備、安全の確保、医療班の配置、ドーピング検査体制なども、各施設に、つまり約50のホテルごとに分散して整えることが必要となります。

宿泊施設には宿泊する選手団とは別に組織委員会として、どんな業務が必要となりどれくらいの人員が必要となるのか、その費用はどう積算しているのか、お示しください。

【スポーツ局・担当課長】 選手の警備や、食事の提供、競技会場までの輸送など、選手村としての機能について、現在、関係者と調整を行っているところでありまして、費用につきましても調整中でございます。

【しもおく奈歩議員】 クルーズ船も含めると、費用が心配です。仮設の選手村をつくった方が、ホテルの借り上げクルーズ船をふくむ分散宿泊よりも費用が少なくて済むのではありませんか。いちどていねいに試算して比較することは考えていただけないでしょうか?答弁を求めます。

【スポーツ局・担当課長】 先程申し上げましたとおり、選手団の宿泊施設につきましては、クルーズ船の活用を含め、現在、関係者と調整を行っているところであり、費用について、現時点で 具体の数字をお示しすることはできませんが、簡素で合理的、機能的な大会運営という方針のもと、組織委員会や名古屋市を始め、関係者とともに、できる限り費用が少なくなるよう努めてまいります。

「ジェンダーギャップの改善」「国際的な尊敬、友情、親善、平和及び環境の促進」の取り組みを

 【しもおく奈歩議員】 有識者からの「提言」をどう受け止め、生かすかについて伺います。今年3月にアジア・アジアパラ競技大会に関する懇談会から「提言」が出され、「アジアの子どもの未来のために」という新たな理念が提案されました。提言の特徴はなにか、どう受け止め、どう活かしていくのか。認識をうかがいます。

【スポーツ局・担当課長】 初めに、特徴としましては、懇談会は、愛知・名古屋2026大会が、県民・市民から支持される大会になるよう、事業モデルをイノベーションし、時代のニーズに応えた大会の開催を目指し、設置されたものであります。そのため、ボランティアなど様々な取組での県民・市民の参画を基盤に、「持続可能な社会」、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&Ⅰ)」、「地域づくり」を、新たな理念を支える3本の柱として設定し、施策の方向性を定めているところでございます。

次に、提言をどう受け止め、どう活かしていくかについてでございますが、多様性の尊重、持続可能な社会づくりなど、現代社会が抱える様々な課題を解決するにあたり、国際スポーツ大会が果たす役割は大きいと認識しております。

今後、新たな理念の実現に向け、アジアの 子どもの 未来に つながるよう、提言で示された施策の方向性を踏まえ、具体的な施策を展開してまいりたいと考えております。

【しもおく奈歩議員】 いろいろ課題はありますが、今日はジェンダーギャップの改善のほんのさわりだけ質問します。「提言」では、過去の国際イベントにおける成果と課題について、「ジェンダー平等への体系的な取り組みの不十分さがあった」と述べられています。委員からは「大会を社会課題の解決の契機」とする必要があるとご発言がありました。世界経済フォーラムの2024年ジェンダーギャップ指数が発表されました。日本は146カ国中118位、G7の中では最下位、アジア競技大会参加国のなかで、ジェンダーギャップ指数調査に参加している国27か国中、20位となっています。

アジア・アジアパラ競技大会を契機に、ジェンダーギャップの改善をまず足元から、スポーツ団体から変えていきたいと思い、うかがいます。大会推進局の職員及び役職者の男女比、大会組織委員会の職員及び役職者の男女比、あわせてスポーツ局の職員及び役職者の男女比、そして公益財団であり県下のスポーツ団体のまとめ役でもある愛知県スポーツ協会の役職者の男女比、はいまどうなっているか、数値と現状認識を聞かせてください。

そして2026年の大会を契機にして、どう変えようと考えているのか、そのためのどういう戦略を立てていくのか、スポーツ局にうかがいたいと思います。

【スポーツ局・担当課長】  アジア・アジアパラ競技大会推進局、愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会、スポーツ局のそれぞれの職員及び主査級以上の役職者の男女比、公益財団法人愛知県スポーツ協会の評議員、理事、参事などを含めた役職者の男女比について、お答えさせていただきます。

大会推進局の職員は、女性25.5%、男性74.5%、役職者は女性13.0%、男性87.0%であります。大会組織委員会は、女性23.1%、男性76.9%、役職者は女性11.8%、男性88.2%であります。

スポーツ局は女性33.3%、男性66.7%、役職者は女性23.5%、男性76.5%となっています。また、公益財団法人愛知県スポーツ協会の役職者は女性10.1%、男性89.9%となっています。

現状についてですが、一つの指標として、愛知県では、2020年12月に「愛知県職員の女性活躍促進・子育て応援プログラム」を策定し、2021年度から2025年度までの5年間を計画期間として女性職員の活躍促進などに取り組んでおり、管理職に占める女性の割合については15%、課長補佐級班長に占める女性の割合については25%という目標を定めています。

この目標に対して、2024年度における管理職に占める女性の割合は、全庁では14.8%、アジア・アジアパラ競技大会推進局で14.3%、大会組織委員会で5.0%、スポーツ局で10.0%となっております。

また、課長補佐級班長に占める女性の割合は、全庁では27.1%、アジア・アジアパラ競技大会推進局で0%、大会組織委員会で13.6%、スポーツ局で42.9%となっております。目標を達成している指標もありますが、引き続き積極的な取組が必要であると考えております。

なお、「アジア競技大会・アジアパラ競技大会を活用した地域活性化ビジョン」においては「すべての人が活躍できる愛知をつくる」を目標に掲げております。大会を所管するアジア・アジアパラ競技大会推進局、スポーツ局としましても、さらなる女性職員の活躍促進に向けて、女性職員の積極的な登用を促進することをはじめ、女性職員がキャリアや働き方について相談できる体制の整備、仕事に対するモチベーションの喚起などに取り組んでまいります。

【しもおく奈歩議員】 平和の祭典に向けた取り組みについて伺います。OCA憲章では2章の「根本原則」で、「OCA は、スポーツの公平な競争を通じ、スポーツ、文化、アジアの若者のための教育の発展および 道徳的、身体的な能力の発達を助け、国際的な尊敬、友情、親善、平和及び環境の促進に寄与する」と述べています。また、オリンピック憲章では、「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進をめざすために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである」と述べられています。

今、パレスチナではイスラエルによる激しい攻撃が続いています。このままでは、大会参加国である、パレスチナの選手団が無事参加できるかどうか不安です。すでに、パリ五輪に向けての報道で「ガザ地区での戦闘によって、多くの選手が競技を続けるのが困難な状況にあると」いう実態が示されていました。

そこで伺います。愛知県は「人類永遠の平和と幸福実現に努力する」という「平和県宣言」をおこなっている県です。この趣旨に照らして、平和のメッセージを発信する大会にしていくことが必要です。アジア競技大会の成功のためにもイスラエルによる攻撃停止の声を発信すべきではありませんか?

【スポーツ局・担当課長】 アジア競技大会は、第二次世界大戦後、間もない1951年、戦禍によって引き裂かれたアジア諸国の絆を、スポーツを通じて取り戻し、アジアの恒久平和に寄与したいとの願いを込め、第1回大会がインドのニューデリーで開催されております。以来、スポーツにより友情を育み、多様性を認め合うことを通じて、国際平和に寄与する一大イベントとなっております。

アジアの45の国と地域から多くの選手団、大会関係者が参加するアジア競技大会が、国際交流と相互理解を促進し、国際平和の推進に貢献する大会となるよう準備を進めてまいります。

なお、昨年10月16日に、イスラエル・パレスチナ 武装勢力間の衝突に対して、知事名でコメントを発信しております。

【しもおく奈歩議員】 パレスチナは参加国のひとつですから、平和の祭典としても大会へどう取り組むのかについて、愛知県の姿勢も問われてくると思います。

 大会に向けて、まだまだ課題が山積しています。引き続き、しっかりチェックしていきたいと思います。以上で、この質問を終わります。

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