【しもおく奈歩議員】 学校の校則見直しについて伺います。これも、昨年人権侵害の校則は見直しをと質問させていただきました。その際、校則を学校のホームページで2023年度内に全ての高校が公開予定だと伺いました。現状、全ての学校の校則が公開されているのか伺います。また、校則の見直しの進捗状況と校則の改定手続きを設けている学校が何校あるのかそれぞれお示しください。
【県教委・担当課長】 本年6月の県立高校を対象にした「校則の見直しの状況」の調査の結果、今月24日の時点で、県立高校全校・全課程の150校178課程が校則をホームページで公開しています。R6校則アンケート
校則の見直しの進捗状況については、昨年度末までにすべての県立高校において、見直しが行われました。今年度についても、さらに「見直し中」あるいは「見直し予定」の学校が、69.7%の124課程あります。
また、校則改定手続きについて、「すでに明文化している」学校は、64.0%の114課程、「検討中」あるいは「検討予定」の学校は、31.5%の56課程となっております。
【しもおく奈歩議員】 ありがとうございます。ほとんどの高校で、校則が公開されたことは、前進だと思います。見直しも進んでいるようですが、実際に子どもたちの声を聞くと見直しが不十分、あるいは子どもが権利の主体として尊重されていない、のではと思います。
私は、校則アンケートを現在実施しています。そこには、校則があることで「とても疲れる, 気持ちが落ち込む, 監視されているようで窮屈(きゅうくつ), 学校にいきたくなくなる, 頭髪・服装・持ち物の指定などでお金がかかった」という、子どもたちに過度なストレスとなっている実態や経済的負担が生じている声が、引き続き寄せられています。
見直してほしい校則には「スマホ持ち込み、メイクOKにしてほしい」「スカートの長さを自由にしたい」「ツーブロックなど特定の髪型の禁止を変えたい」など、校則を変えたい声があふれていました。
そこで、伺います。校則を見直すにあたって、人権侵害になっていないか、財政的負担を強いていないかという点が大事だと思います。県の認識を伺います。また、「高校生らしい」「品がある」など曖昧な表現や「禁止の理由に説明できるだけの根拠があるか」など、説明できない校則について、見直していく必要があると思いますがいかがでしょうか。
【県教委・担当課長】 県教育委員会では、校則の見直しに際して、子供の人権を侵害するものがないか、個別の事情のある生徒への配慮にかけるものがないかなどの観点で見直しを行うよう各県立高校を指導しております。また、校則ではありませんが、制服等について、経済的負担が過重なものとならないよう留意することを各学校に伝えております。
なお、文部科学省が作成した「生徒指導提要」では、意義を適切に説明できないような校則については、学校の教育目的に照らして適切な内容か、現状に合う内容に変更する必要がないか、また、本当に必要なものか、絶えず見直しを行うことが必要とされており、各学校でも校則の見直しが進んでいます。
具体的には、「高校生らしい、清潔感のある髪型、長さに整える」という表現や「高校生らしい品位を保つように心掛ける」という表現を削除した学校があります。
子どもの意見表明を保障する環境をつくることが重要
【しもおく奈歩議員】 5月の中日新聞の報道で「愛知商業高校は、ビジネスシーンにふさわしい『オフィスメイクに親しむための取り組みを始めた』」これまで、メイクは禁止していたが、「社会人になる前に化粧に慣れたい」との声を受け、生徒会が中心となって週一回、化粧して登校できる日をつくった・・という記事がありました。生徒の声が反映された、取り組みだと思いました。
そこで、伺います。子どもが意見を言うときに、おとながまず受け止めてくれるという安心感が必要です。子どもの権利委員会は「教育において意見を聴かれる子どもの権利を尊重することは、教育に対する権利の実現にとって根本的に重要である」と述べています。学校において、子どもの意見表明を保障する環境をつくることが重要だと考えますが、県の認識を伺います。
【県教委・担当課長】 「生徒指導提要」では、生徒指導の取組上の第一の留意点として「児童生徒の権利の理解」が項目立てされており、「児童の権利に関する条約」における四つの原則の一つとして「児童生徒が自由に自分の意見を表明する権利」が挙げられています。
県教育委員会といたしましては、生徒指導提要の趣旨を踏まえて対応するよう各県立高校を指導しております。
【しもおく奈歩議員】 校則おかしいなと思ったときに「決まりだから仕方ない」「いっても変わらない」と諦めさせるのではなく、声をあげてもいいし、変えていくことができると学ぶことは、こどもの成長・発達にとっても大変重要だと思います。 子どもの権利条約について、子どもたち自身が「自分たちにこんな権利がある」と知ることと、同時に教職員のみなさんも子どもの権利条約について学び深めることが重要です。 2022年に「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」が行った調査で、「子どもの権利条約の内容を知らない」とこたえた教員が3割に上ったと結果を発表しました。
生徒指導提要には、「安全・安心な学校づくりは、生徒指導の基本中の基本であり、子どもの権利条約の理解は、 教職員、児童生徒、保護者、地域の人々等にとって必須」と明記されました。また、愛知県の人権推進プランには「学校においては、子どもの権利条約の趣旨を認識し、児童生徒の人権に配慮し、一人一人を大切にした教育や学校運営に努めるとともに、子ども自身に人権という権利があり、守られている存在だということを認知できるように努めます」と書かれています。
そこで、伺います。学校現場で、子どもの権利条約の理解を深めることの重要性についてどのように認識されているのか、伺います。また、県としてどのように理解を深める取り組みを進めていくのかも合わせて伺います。
【県教委・担当課長】 学校現場で「児童の権利に関する条約」の理解を深めることは大切であると認識しております。
県教育委員会といたしましては、生徒指導を担当する教員が集まる会議や研修会において、「児童の権利に関する条約」について説明し、生徒に対して学校教育活動の中で理解を深めるように伝えてまいりましたが、今後も引き続きさまざまな機会をとらえて働きかけてまいります。
【しもおく奈歩議員】 前回、校則の見直しについて「各学校が適切かつ不断に校則の見直しを進めていくことが必要であると考えております」「好事例を含め、機会をとらえて情報提供をしていくことで、校則の見直しを積極的に進めるよう促してまいります。」という、答弁をいただきました。しかし、まだまだ子どもの権利が侵害されている実態があります。「校則の見直し」と言ったときに、子どもの権利条約、人権を守る立場にたった、見直しを促していただきたいということを要望し、この質問を終わります。