【しもおく奈歩議員】 今年4月8日付で、「修学旅行等における2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の活用について」という通達が国から都道府県教育委員長・都道府県知事あてに送付されました。まず、愛知県教育委員会はこの通達をどのように取り扱い周知をされたのか伺います。
【義務教育課・担当課長】 令和6年4月8日付けで文部科学省初等中等教育局長から、県内の市町村教育委員会へ周知するよう依頼がありましたので、4月16日付けで各教育事務所に対して、管内の市町村教育委員会へ周知するように依頼しました。
【しもおく奈歩議員】 愛知県教育委員会から、周知を求める事務局長名の文書「修学旅行等における2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の活用について」を送付したということでした。 政府は「修学旅行と校外学習を合わせて120万人の子どもたちに、大阪・関西万博にきてもらう」と表明し、文科省と都道府県を通じて執拗に学校への働きかけを強めています。
そういう中で現在、すでに愛知県内の主に中学校が修学旅行先に「大阪・関西万博」を候補地にあげました。保護者向けに説明会も開かれていますが子どもたちを万博に動員することに心配の声が上がっています。
大阪・関西万博をめぐっては、いくつもの不安材料があります。3月28日、夢洲1区において溶接作業中に発生した火花が可燃性ガスに引火し、爆発する重大事故が発生しました。この夢洲は、現役の廃棄物最終処分場で、埋め立てたものの分解に伴って可燃性のメタンガスが発生し続けています。「いのちかがやく」という万博のテーマに最もそぐわない場所です。また、災害などが起きた場合夢洲へ行く2つのルートは通行不能になる可能性が高く、最大で1日22万7千人の来場者が帰宅不能になる恐れがあります。
そこで、伺います。修学旅行などの集団宿泊行事や遠足を行う際には、子どもたちの安全確保が大変重要であると、思いますが県教育委員会の認識を伺います。
【義務教育課・担当課長】 修学旅行などの集団宿泊行事や遠足を行う際には、健康・安全の管理について細心の注意を払うなど、児童生徒の安全確保は何より大切だと認識しております。
【しもおく奈歩議員】 次に、小学校学習指導要領の解説特別活動編というものがありますが「遠足・集団宿泊行事」②実施上の留意点には、安全確認や安全配慮についてどのように書かれていますか?お示しください。また、中学校学習指導要領の解説特別活動編「旅行・集団宿泊行事」実施上の留意点についてもどのように書かれているのか?お示しください。
【義務教育課・担当課長】 小学校学習指導要領の解説では、「あらかじめ、実地踏査を行い、現地の状況や安全の確認、地理的環境や所要時間などを把握するとともに、それらに基づいて現地施設の従業員や協力者等との事前打合せを十分に行う。」また、「事故防止のための万全な配慮をする。特に、安全への配慮から、小学校の段階においては、活動する現地において集合や解散をすることは望ましくないことを十分に考慮すべきである。」とされております。
中学校学習指導要領の解説では、「生徒の心身の発達の段階、安全、環境、交通事情、経済的な負担、天候、不測の事故、事故の発生時における対応策などに十分配慮し、学校や生徒の実態を踏まえた活動となるよう工夫すること。特に、教師の適切な管理の下での生徒の活動が助長されるように事故防止のための万全な配慮をする。また,自然災害などの不測の事態に対しても、自校との連絡体制を整えるなど適切な対応ができるようにする。」とされております。
【しもおく奈歩議員】 学習指導要領の中身を確認させていただきました。安全確保が求められているわけです。続いて、確認しておきたいことがあるので、伺います。
修学旅行先を決めた際、事前に下見を必ず行う、ということでよろしいでしょうか?特に、初めて行くような場所は事前に現地の状況を把握しておくことが必要だと思います。下見ができない場所へ行くということは、ないですよね?確認のため、伺います。
【義務教育課・担当課長】 学習指導要領の解説にあるように、あらかじめ、実地踏査を行い、現地の状況や安全の確認等をすることになっておりますので、通常、学校は下見をしたうえで、修学旅行を実施していると考えております。
県教委「子供の安全を最優先、安全性が十分でない場合は、直前であっても中止したり、行先を変更」
【しもおく奈歩議員】 文部事務次官通達「修学旅行における安全確保の徹底について」では、「現地の状況等についての事前の実地調査の実施」についても述べられています。しかし、万博会場は開幕前に下見をすることができません。
この万博への修学旅行について、保護者から「爆発事故があったから心配」という不安の声が寄せられています。
また、昼食休憩所としている団体休憩場所は、爆発事故のあった現場のすぐ近くです。下見も安全確認もできない状況では、不安の声がでるのは当然だと思います。
日本国際博覧会協会は5月30日、大阪・関西万博の中心、パビリオン地区(夢洲〈ゆめしま〉2区・3区)で、3月に同1区で爆発火災事故が起きたのと同じメタンガスが発生していたと発表しました。会場のどこでも「爆発の危険性」があることが明白になりました。
そこで、2点伺います。
①下見もできない、安全性にも不安があるし確認できない、爆発事故を踏まえた万博開催中の再発防止策も示されていない中で、修学旅行先にするということは安全性の確保の点から、問題点を検証し慎重に検討することが必要だと考えますが県の認識を伺います。
②また、安全性が確認できない場合は、行き先の変更や万博を選択しないことなど検討をと各教育委員会を通じて求めていただきたいと思いますがいかがでしょうか?
【義務教育課・担当課長】 文部科学省から4月8日付で「修学旅行等における2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の活用について」の依頼が出ていることから考えても、大阪・関西万博を修学旅行先として計画することについては問題ないものと考えております。
これまでも、下見の際に、安全確保が十分でないと学校が判断した場合や、その後の情報の中で、安全性が十分でないと判断した場合は、直前であっても訪問を中止したり、行先を変更したりする対応をとっていただいており、引き続き、子供の安全を最優先し、適切な対応をしていただけるものと考えております。
県教育委員会といたしましては、大阪・関西万博について安全確保に関する情報を把握した場合には、学校担当指導主事会等で情報提供した上で、児童生徒の安全に配慮した実施となるよう改めて指導してまいります。
【しもおく奈歩議員】 大阪府が2025年の大阪・関西万博に小・中学校の子どもたちなどを招待する事業について、大阪府の教職員組合が5日、府や教育委員会に対し、事業の「中止」を求める申し立てを行いました。メタンガス爆発事故・下見できず医療体制にも不安があることを挙げています。
6月19日の報道で、大阪・関西万博の運営主体・日本国際博覧会協会が策定する防災計画の全容が示された中で、「災害想定では、大阪は7~9月に落雷が多いとし、大屋根の上(高さ最大20メートル)は「落雷の危険性が高い」とした。と、ありました。
大阪・関西万博を修学旅行先に選択することは、安全面に関わる大きなリスクが伴います。会場の安全性に対する懸念や不安が解消されないまま、修学旅行先に推奨すべきではありません。
2010年6月18日、豊橋市内の中学校の野外活動中にカッターボートが転覆し、ひとりの尊い命を失うという痛ましい事故が起きてしまいました。子どもたちの命を守る立場にたって、安全を何よりも最優先に考えた慎重な判断を促すべきということを申し上げ、この質問を終わります。