議会報告

国の悪政から、県民の暮らしや福祉・医療・子育て・教育を守る「防波堤」の役割を      3月25日 2024年度愛知県予算に反対討論

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私は、ただいま議題となっております。第1号議案 令和6年度愛知県一般会計予算について、及び第5号議案、第14号議案、第22号議案、第28号議案、第39号議案、第52号議案について、反対討論を行います。

今、物価高騰で県民の暮らしは格差と貧困が拡大しています。消費税増税や高い学壇上で反対討論する下奥奈歩議員費、一部の大企業の賃金はあがったものの、実質賃金は下がり、軒並み値上がりが続き暮らしが追い詰められています。こんなときこそ、愛知県は、国の悪政から、県民の暮らしや福祉・医療・子育て・教育を守る「防波堤」の役割を果たすことが求められています。

今回の予算には、私たち日本共産党が繰り返し要望してきた、県立高校への体育館等へのエアコン設置が盛り込まれました。また、従業員の奨学金返還を支援する中小企業への補助、困難を抱える女性への支援といった県民の声が反映されたものもあります。しかし、全体的には愛知県の予算案は、県民のくらしに冷たい中身になっています。

まず、第1号議案と第5号議案 令和6年度愛知県国民健康保険事業特別会計予算について反対の理由を述べます。

 

人権を無視し、県民の暮らしと福祉・教育を支えるべき地方自治体としての役割を果たさない予算

一点目は、高すぎる国民健康保険料についてです。

国保は中小零細業者や定年後の年金生活者など、賃上げの恩恵を受けない県民が主に加入しています。新年度、県は市町村からの国保事業費納付金を被保険者一人当たり8928円(105.7%)引き上げて166,930円にします。3年連続の大幅な引き上げです。さらに国保運営方針では保険料の引き上げをもたらす恐れが強い「保険料水準の統一」をめざすと明記しました。

いまこそ、2014年度に廃止した市町村国保への県単独補助金、1997年度には28億円の最高額に達した補助金を復活させて、高すぎる国保料の値上げを抑制すべきです。愛知県には市町村とともに保険者として、県民の保険料負担を軽減する責務があり、その役割を果たすことを強く求めます。関連する、第5号議案も賛成出来ません。

二点目は、子どもの医療費無料化についてです

愛知県としての子ども医療費助成制度は、通院で「義務教育就学前」、入院で「中学校卒業」まで現物給付(窓口負担無料)となっています。しかし、近年「子育て世帯への支援拡充を」という声が広がるなかで、愛知県内全ての市町村が県基準を拡大しています。子ども医療費助成制度について、どこに住んでいても同じように全ての子どもが受けられるように、行うべきです。

 愛知より財政力が低い、福島県、静岡県、鳥取県などが高校生まで、対象を拡大しています。子どもの医療費助成は、子どもの貧困対策の観点から見ても大切です。愛知県として、通院・入院とも18歳まで拡大すべきです。

 3点目は、教育についてです。

教員不足から現場の教員は疲弊しています。「先生たちはどの子も大切にしたいと、日々奮闘しています。子ども一人ひとりと向き合うために、負担軽減が必要。教員を増やしてほしい」これが、現場の教員の声です。少人数学級と教員を増やすことに力を注ぐことが求められています。

 県立高校のエアコンについて、愛知県はいまだに理科室や音楽室といった特別教室のエアコンの費用は、保護者に負担を押し付けています。早急に、負担解消を進めるべきです。学校給食無償化についても、市町村が一般財源も使って踏み出し始めた中で、県が半額補助を行い負担軽減に踏み出すときです。

 4点目は、婚活支援についてです。

愛知県の婚活支援事業を推しすすめれば、いくつもの人権侵害を引き起こす可能性があります。

まず、婚活支援事業の効果を検証するにあたり「モリコロパークde大規模婚活 追跡アンケート」を県が行いました。その中身は、「イベントで出会った異性と連絡を取りましたか」「イベントで出会った異性と交際に発展しましたか」というものです。これは、プライバシー権の侵害と私的なことに過度に立ち入る「個の侵害型」のハラスメントだと思います。

また、このアンケートが「異性愛」しか対象にしていないのは、多様性の尊重をふみにじり性的少数者にたいする差別になりかねません。

そして、少子化対策の名のもとにこの事業を自治体が行うことは、個人に対して結婚・出産の圧力として働き、女性の自己決定権「リプロダクティブ・ヘルス・ライツ」を脅かすものになってしまう恐れがあります。

今、必要なのは、選択的夫婦別姓や同性婚など一人ひとりの人権が大切にされる社会にすることと、最低賃金引き上げ、消費税減税など暮らしへの支援です。愛知県は、これらの実現を国に求めるべきです。

 

大型開発優先・大企業応援型となっている

大村県政は、リニア、設楽ダム・中部国際空港二本目滑走路推進など、大企業優先の大型開発型県政を推進しています。

その一方で、中小企業への施策が後回しにされています。今、中小零細企業はインボイス制度の導入により、コロナから立ち直ろうとしたところを直撃され困難に立たされています。廃業に追い込まれた方や取引の機会を奪われた方、命を絶つことを考えてしまうところまで追い詰められている方もいると、STOPインボイスの運動の中で悲鳴のような声が次々と寄せられたと伺いました。

愛知の産業を支える中小企業や零細企業の救済に全力を注ぐときです。中小企業を「経済の根幹」に、農業を「基幹産業」に位置付け、それにふさわしい施策を行うことを強く求めます。

アジア・アジアパラ競技大会について、物価高騰や能登半島地震が起きた中で、今は立ち止まるべきです。物価高騰支援、災害支援と愛知県の防災対策に力を注ぐときです。中止または延期を検討すべきです。

以上の理由から、第1号議案には賛成出来ません。

県民に負担を求める水道料金の値上げ反対

   地方創生交付金の活用、一般財源からの財政支援を行え

次に、第14号議案 令和6年度愛知県水道事業会計予算、第22号議案 愛知県局設置条例の一部改正について、合わせて、関連する第52号議案 愛知県公営企業の設置等に関する条例の一部改正についてです。

これは、市町村等の受水団体から徴収している県の水道料金のうち、使用料金を2段階にわたって引き上げるものです。物価高騰で、暮らしが困窮する中で値上げをすべきではありません。水道は、命を支えるライフラインです。今でも、「お風呂に入る回数を減らす」といった節約を強いられている県民の深刻な状況があります。また、愛知県営水道受水団体協議会連絡会や愛知県市長会から、慎重に検討する旨の要望が出されています。県民に負担を求めるのはやめて、地方創生交付金の活用、一般財源からの財政支援で値上げをしないために力を尽くすべきです。以上の理由から、第14号議案、関連する第52号議案に賛成出来ません。

第22号議案 愛知県局設置条例の一部改正について

水道事業の認可等に関する事務を、保健医療局から建設局に移管するとしています。建設局の事業は、過剰な水需要を見込んだ設楽ダムの推進と上下水道の官民連携の導入可能性の検討です。水道広域化や水道「民営化」がさらに促進される恐れがあります。水道法の第一条には「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とする」と書いてあります。

公共事業としてだけでなく命の水、ライフラインとしてとらえるべきです。局設置条例の一部改正には賛成出来ません。

第28号議案 愛知県職員定数条例の一部改正についてです。

アジア・アジアパラ競技大会特別枠に、95人と極端に職員を増やしています。目玉の事業に偏った増員ではなく、福祉やくらしに関わる部署への増員こそ必要です。同時に、減らされ続けてきた正規職員を抜本的に増やすことも必要です。28号議案には、賛成出来ません。

最後に第39号議案 愛知県看護師養成施設条例の一部改正についてです。

 今、医療現場は深刻な看護師不足です。昨年、愛知県医労連は、コロナ禍で人手不足に拍車がかかっていることが過酷な勤務の背景になっているとみて、看護師の増員などを求める要請書を県に提出しました。看護師を養成する、県立愛知看護専門学校の廃止は、こうした医療現場の声に背を向けるものです。

 愛知県医労連が行ったアンケートでは、「仕事を辞めたい理由」のトップは「人手不足で仕事がきつい 58.8%」でした。愛知県が行うべきは、看護師不足の抜本的な確保対策強化と看護師修学資金貸付制度の復活・拡充で医療機関を積極的に支援することです。県立愛知看護専門学校を廃止することに賛成出来ません。

 以上、反対する理由を述べてまいりましたが、今愛知県政に求められているのは、大型開発優先から暮らし・福祉優先へ税金の使い方をきりかえ、県民の切実な要求を実現することです。また、平和と友好のアジアの実現に、平和県宣言をした愛知県としてパレスチナ自治区における停戦を求めるべきです。県民の健康と暮らし、教育を支え、憲法9条改憲を許さず、平和な社会をめざす愛知県政の実現を求め、討論とさせていただきます。

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