【しもおく奈歩議員】
6月議会に引き続き、再び学校給食の無償化を求めて、質問させていただきます。
今、食料品や日用品、光熱費等をはじめとする物価高騰が家計を直撃しています。特に、コロナ禍で影響を受けたまま回復できていない、困窮子育て家庭に打撃を与えています。
認定NPOキッズドアが「2023夏物価高騰にかかる緊急アンケート」を行いました。「去年の夏と比べた日々の食事の変化」の質問に、「親の食事を減らしたり抜いたりしている」が54%。こどもに充分な食事を与えられないが60%で、2021年の同じ調査から14ポイント増えています。また、子どもは1日3食食べられている子が68%にとどまっています。。
また、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンのアンケートをみると、「あなたは、普段こどもが充分な食事がとれていると思いますか?」の質問に、「学校がある期間の昼食」は、「充分にとれている・まあまあとれている」が約85%、「長期休暇中など給食がない期間の昼食」では、「充分にとれている・まあまあとれている」が約49%に激減します。給食の役割が大きく影響しています。
保護者の経済力により子供の栄養や食べ物の種類、食事の回数まで格差が生じているだけに、学校で全ての児童生徒がそろって栄養バランスの整った給食を食べることは非常に有意義と考えます。
Q1そこで伺います。どんな家庭環境にあるこどもも安心して自分らしく育つことができるよう支援することは、「子どもの最善の利益」を第一に考える教育行政を推し進めて行く観点から、学校給食無償化は意義のあることと考えますが、県の認識を伺います。
【県教委・担当課長】 学校給食法の制定後、半世紀以上が経過し、少子化の進展等の社会情勢が変化する中、長期的な視点で、切れ目なく学校給食費等の保護者負担の軽減を図る必要があるため、地方六団体から国に具体的な施策を示すよう要請を行っているところであり、県におきましても同様の認識を持っております。
【しもおく奈歩議員】
以前、6月議会の際に質問で、「学校給食の無償化は、学校現場の負担軽減にもつながります。先生たちは、授業の準備に加え、給食費の実務もやらなければいけない」問題について、指摘させていただきました。答弁の中で、「 現在、給食費の公会計化を市町村に促して、これにより、給食費の徴収・管理業務を学校ではなく、自治体の業務とすることで、教員の負担軽減になると考えております。」と、述べられていました。
Q2そこで伺います。現在、公会計化はどこまで進んでいるのかお示しください。(*愛知県の公会計化の実施状況は、17.3%と全国平均34.8%以下)
【県教委・担当課長】 直近の調査結果によると、2022年5月1日現在、愛知県内で、学校給食費について公会計制度を導入し、給食費の徴収・管理の事務を学校ではなく、地方自治体自らが行っている市町が9市町あり、2024年度から、さらに半田市、新城市、高浜市の3市において実施の予定と聞いております。
【しもおく奈歩議員】
文部科学省が示している「学校給食費の公会計化等に関するQ&A」に「公会計化等の導入により、1校当たり年間190時間の業務削減効果が見込まれるとの自治体もあります。」と、書いてあります。それだけの、業務負担を現状、担っているということです。
公会計化も進まず、学校給食が有償である限り、学校事務職員や学級担任、行政職員などの徴収事務を担う人が、保護者の給食費未納に対し、気の重たい督促事務をも負い続けることになります。
Q3続いて伺います。県教育委員会は、市町村での学校給食無償化など負担軽減に向けた取り組みについて、今年度の県下の状況を把握していますか?お示しください。
【県教委・担当課長】 今年度、県内市町村では、国の重点支援地方交付金を活用するなどして、小中学校の給食費の無償化や保護者の負担を軽減する取組が行われております。
具体的には、飛島村、設楽町、豊根村の3町村において、小中学校の全ての児童生徒を対象に、年間を通して、給食費を無償化しております。また、期間や対象を限定した無償化を、実施した、または実施している市町は、15市町ございます。
これら以外にも、給食費の減額や、物価上昇分を負担するなどして、保護者の負担軽減を行っている市町が、33市町ございます。
【しもおく奈歩議員】
県内各地の市町村で、来年度予算案が発表された中で、学校給食無償化や半額負担など、実施に向けての動きがいくつかあります。
小中学校全額無償化は、7自治体。小中学校 半額助成が3自治体。他の自治体でも、中学校のみ無償化や学年単位での無償化など、それぞれ負担軽減に向けての努力が始まっています。また、国の交付金頼みではなく、一般財源を使っているところも注目すべきところです。
学校給食無償化は、これまで市町村単位で取り組みが全国各地で広がっていきました。しかし、東京都・青森県・和歌山県が来年度予算案に、仕組みは違いがありますが、学校給食無償化へ市町村負担軽減に動き出しました。
東京都は、「本来は国の責任において進めていくべき。同時に、国の方策が講じられるまでの間、都内区市町村が行う学校給食費の保護者負担軽減に向けた取り組みの支援」として、239億円計上しています。これは、区市町村が全額負担軽減に取り組む場合に、都が半額補助するものです。その都の方針を受けて、多摩地域でも無償化に踏み出す自治体が相次いで、10市1町1村と4割に広がったと、東京民報が報じています。都道府県が踏み出すことは、市町村が学校給食無償化を進める後押しになっていることがわかります。
Q4そこで伺います。憲法26条の「義務教育は無償」の立場に立って、子どもたちに給食を通じた豊かな教育を保障するそのためにも、住んでいる自治体によって格差を生じさせてはいけません。学校給食無償化へ、まずは、県の補助として、無償化実施の市町村にその費用の半額を県として負担する仕組みを設けることに、踏み出すべきと考えますが、県の認識を伺います。
【県教委・担当課長】 学校給食法では、給食の食材に係る費用については保護者の負担とされておりますが、これに自治体が補助することを妨げるものではないことは、国会における政府答弁で明らかとなっておりますので、まずは、小中学校の設置者である市町村が、それぞれの実情に応じて判断し、実施されるものと考えております。
給食費の無償化の実現に向けて、国は、昨年6月に閣議決定した「こども未来戦略方針」において、全国の自治体の実態調査を速やかに行い、本年6月までにその結果を公表し、その上で、給食の実施状況の違いや法制面等も含めた課題の整理を丁寧に行い、具体的方策を検討することとしております。
県としましては、全国知事会などを通じて、国全体として学校給食費等の負担の在り方を抜本的に整理した上で、国の責任で財源を含め具体的な施策を示すよう、国に対して、引き続き要請を行ってまいります。
【しもおく奈歩議員】
Q5 県として、市町村に対してどのように支援していくのかお答えください。
【県教委・担当課長】 市町村における保護者の負担軽減に向けた取組が進むよう、県として、引き続き国に対して要請してまいります。
【しもおく奈歩議員】
私のところに、学校給食無償化について「食費など、お金がかかるから、少しでも家計への負担が減るのはいいと思う」「子どもが小学校に通っているので、無償化になったらうれしい」「豊橋の学校給食無償は、助かっていた。半額になってしまうのは、残念」と、学校給食無償化を求める声が寄せられています。子どもの教育を受ける権利や成長発達権を保障するためにも、他の都県の動きも踏まえ愛知県としても学校給食無償化に大きく踏み出していただきたいということを求めて、質問を終わります。