議会報告

「中高一貫校」過度な受験競争をあおる
2024.3.15 議会教育・スポーツ委員会  議案質疑 

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【しもおく奈歩議員】 

愛知県ですでに始められた、中高一貫校について質問します。中高一貫校は、学力検査は行ず、適性検査と面接を行うとしています。これまでも、受験競争の過熱化や低年齢化が議会でも懸念の声があったと伺っています。その際愛知県は「過度な競争を招かないように、特に高度な知識やテクニック、知識の量を求めるような出題はしない」と、答弁されています。そのことは承知しています。

 しかし、進学塾がこぞって、「公立中高一貫校」受検の専門コース、「公立中高一貫校受検対策クラス」を設置し、塾のホームページには「中高一貫校合格には、小学校内容の確実な習得はもちろん、思考力・判断力・表現力などを鍛えるための専門的な対策が欠かせません。受検対策で、適性検査に通用する学力を育成します。」受験競争を煽っています。それは、「特に高度な知識やテクニック、知識の量を求めるような出題はしない」といいながら、実際には、高度な知識が求められるものになっているのではないでしょうか。

 Q1そこで伺います。出題内容にかかわらず、世間的にはすでに過度な受験競争をあおる要因になってしまっていますが、県の認識を伺います。

【県教委・担当課長】 中高一貫校の中学入試で実施する適性検査の問題については、昨年12月26日にサンプル問題を公表し、小学校の学習範囲から出題することや、特に高度な知識やテクニック、知識の量を求めるのではなく、思考力や判断力を中心に測るものであるということを、具体的にお示ししたところです。

 委員お示しのように、学習塾がこれを商機ととらえて、活発に塾の生徒の募集を行っていることは承知しております。

 県教育委員会では、2025年4月に開校する附属中学校4校のWebページを開設しておりますので、その中で、適性検査は小学校の学習範囲から出題することや、高度な知識やテクニックなどを求めるものではないことを引き続き周知するとともに、来年度に開催する学校ごとの説明会においても、改めてそのことをしっかりと説明し、保護者の不安が軽減できるよう努めてまいります。

【しもおく奈歩議員】

 こうした進学塾に通えるのは、経済的に余裕のある家庭です。ただでさえ、格差と貧困が増大している中で、その開きがより大きくなってしまうことが心配されます。

Q2そこで伺います。子どもの成績は、家庭の経済的条件に影響されることがあります。経済的な格差が教育の格差につながる要因を公教育として推し進めるのは、問題ではないでしょうか。認識を伺います。

【県教委・担当課長】 小学生の段階から学習塾に通わせるか否かについては、それぞれの家庭の子どもの教育に対する考え方にもよる、と認識しております。 また、適性検査は、小学校の学習範囲から出題いたしますので、塾に通って、小学校の範囲を超える内容まで学習しなければ解けない問題とはいたしません。

 加えまして、中高一貫教育の導入により設置する県立中学校は、地元の市町村立中学校と同様に、入学料や授業料が不要であり、経済的条件に左右されずに通うことができますので、子どもたちの学びの選択肢を増やすことになると考えております。

【しもおく奈歩議員】 

中高一貫校のめざす教育に「人材育成」という記載が出てきます。過度に競争主義的な教育を推進する教育を進め、子どもの能力の早期選別を図ろうとしているように見えます。学校では、過度の競争主義的教育が推進され、多くの子どもが成績評価を偏重した競争や格差付けの中に取り残され、落ちこぼれた子どもは自己肯定感や希望を持てず、能力や人格の発達も阻害されかねないと、危惧します。

 Q3そこで伺います。国連の子どもの権利委員会から、3回にわたり「過度な競争主義を改めるよう」勧告が出されていることについて、どのように認識されていますか?

【県教委・担当課長】 中学校や高校の教育では、生徒同士が切磋琢磨する中で、知性や社会性を高めていくことが重要であると考えております。

 県立中高一貫校では、「チェンジ・メーカー」の育成を目指して、正解のある問題を解くペーパーテストの成績のみを競うのではなく、中高6年間をかけて、答えがあらかじめ定められているわけではない問題について探究することや、自ら問いを立てて探究する活動にじっくりと取り組む中で、生徒一人一人の興味・関心を大切にしながら、可能性を最大限に引き出し、新しい価値を生み出す力を伸ばしていきたいと考えております。

【しもおく奈歩議員】 

過去の議会で、「明和高校をはじめとする、探求学習重視の中高一貫校は、県内有数の進学校でもあることから、難関大学へ進学するための指導を期待して受験する子ども割合が多くなるのではという声もありました。」と述べた答弁の中で、「大学受験に特化した指導は行わない」と述べられていました。

 Q4そこで伺います。明和高校は、進学校といわれ難関大学合格者も出しています。そういう大学で、大学受験に特化しない学習とは、どういったものでしょうか。具体的に、受験生や保護者にどのように説明されたのか伺います。

【県教委・担当課長】 中高一貫校でどのような学びを実践するのかは重要なポイントでございますので、昨年10月から11月かけて開催した中高一貫校ごとの児童・保護者説明会では、90分のうちの多くの時間をかけて、大学受験に特化した先取り学習や、詰込み学習は行わず、探究的な学びを重視した授業を展開することで、社会の様々な分野で「チェンジ・メーカー」となる人材の育成を目指していくことを、意を尽くして説明いたしました。

【しもおく奈歩議員】

 塾教育研究会の方が「数少ない公立中高一貫校の人気があがってくるほど、その過熱化がもたらす影響も心配される」と指摘しています。公教育が教育格差や経済格差を増大させる、中高一貫校は、見直すべきと申し上げ質疑を終わります。

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