議会報告

2024年2月議会 議案質疑「防災対策の強化など」(3月7日)

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【しもおく奈歩議員】 通告に従い、令和6年度予算案の歳出第2款 総務企画費、第6項 防災安全費のうち、南海トラフ地震等対策事業費補助金及び、南海トラフ地震等対策推進事業費並びに防災会議運営費についてお伺いします。

質疑に挙手する下奥奈歩議員(県議会本会議場)

  まず、能登半島地震で亡くなられた方々に心より哀悼の意を表し、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。一日も早い、復旧復興と助けた命を守り抜くために、安心して過ごせる環境が必要です。

  防災対策は、自助や共助が強調されてしまいます。しかし、自然災害が起きて、自分の力ではどうすることもできないときに、行政の力が求められています。自己責任を押し付けない、自助・共助の前に公助をしっかり据えて対策を進めていただくことを求めて、以下4点について質疑をさせていただきます。

  今年1月1日に発生した能登半島地震で、240人を超える方が亡くなりました。また、災害関連死は15人と発表されています。 劣悪な避難生活のなかで体調を崩し、命を失ったものです。助かった命が長引く避難生活の中で失われることはあってはならないことです。

  愛知県では、巨大地震・南海トラフ地震が発生すると言われています。県民の命を守るため、建物などの耐震化や平時からの備えなどが欠かせません。能登半島地震での救援活動と同時に、愛知県の防災対策にいかすための調査も必要です。

  能登半島地震から3週間たっても、避難所で昼食が提供されない事例やインスタント食品が多く、量も足りていないなど劣悪な環境下の実態があったと聞きました。

  特に、トイレ環境の悪化が深刻です。感染症リスクの増大や、回数を減らそうとして起きる脱水症状、エコノミークラス症候群などの体調悪化の要因になっています。内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」では、「災害発生当初は、避難者50人当たりに1基」「避難が長期化する場合には、約20人当たり1基」を目安に確保することが望ましいとされています。

 しかし、愛知県内の状況を、県がまとめた市町村備蓄一覧からみていくと、昨年4月時点で、組み立てマンホール型トイレの備蓄があるのは、8自治体。仮設トイレの備蓄は、13自治体と、半分以下です。愛知県の備蓄一覧に至っては、簡易トイレの項目しかありません。 

他にも、燃料や肌着の項目で、ゼロが目立ちます。

行政の責任で助かった命を守り抜く、そのためにも災害に備えて、避難所での生活水準の向上や備蓄品の確保に力を注ぐべきだと考えます。

第一に伺います。トイレの備蓄について愛知全体の水準は低いのではないかと思います。国のガイドラインまで、引き上げるべきではないでしょうか。認識を伺います。 また、女性トイレと男性のトイレについて、「スフィアハンドブック 2018」では、男性トイレと女性トイレの割合は1:3が推奨されていると、内閣府のガイドラインにも示されています。愛知県の避難所運営マニュアルにもこうした配置を基本に据えるべきと考えますが、認識を伺います。

【防災安全局長】 災害時のトイレの確保は、避難所の衛生的な歌謡を維持し、避難者の健康被害を防止し、命を守るために非常に重要であります。内閣府の「避難所におけるトイレの確保ガイドライン」では、避難所のトイレを全て備蓄で賄うことは現実的ではなく、発災時にトイレを迅速に調達できるよう、あらかじめ関係団体や事業者と協定を締結する等連携体制を強化し円滑に運尿することが重要であると定められています。また、大規模災害時には、国はプッシュ型によるトイレ支援を行うこととしており、避難所では県及び市町村の備蓄や協定による調達と併せてトイレを確保することとなります。本県の備蓄方針では、発災後3日目までに必要となる簡易トイレ等を市町村が避難所に近いところに備蓄することを基本に、各市当村で不足する分を補完して県が備蓄しこととしています。また、県・市町村の備蓄を補うため、民間事業者等との間で災害協定を締結し、災害時に迅速にトイレを確保することとしております。さらに、市町村の備蓄を促すため、「南海トラフ地震等対策事業費補助金」で、避難所の良好な環境を確保するため、簡易トイレ等の整備を補助対象としています。引き続き内閣府のガイドラインが定める被災状況下でのトイレの目安に沿った対応ができるよう県・市町村が努めてまいります。男性トイレと女性トイレの割合は1:3を基本に据えることについては、本件が作成した市町村の指針となる愛知県避難所運営マニュアルにおいて男女の使用時間の違いを考慮し1:3を基本に据えることを定めており、市町村にもおしめししております。が推奨されていると、内閣府のガイドラインにも示されています

【しもおく奈歩議員】 女性や子どもたちが安心できる避難所運営、声をあげづらい方々の声をくみあげる体制づくりが求められています。備蓄品についても、介護や子育て、女性の体に関わる物資は、「必要だ」と認識されなければ用意されない可能性もあります。

過去の災害では、間仕切りがない場所での着替え、授乳をのぞかれる、ふとんに入られるなど性暴力の発生など、様々な問題が起こりました。能登半島の今回の地震でも、物資の管理など避難所運営を担っていたのは市町の男性職員や自治会の男性が中心で、生理用ナプキンの受け取りに抵抗感があったり、下着の困りごとを相談するのにも躊躇したりする女性もいた、と報道にありました。

愛知県が取りまとめている市町村の備蓄品の一覧をみると、哺乳瓶、小児用おむつ、粉ミルクゼロ、生理用品がゼロまたは、極端に少ない自治体があります。また、愛知県としての備蓄は、昨年時点では生理用品が集中備蓄に10080枚のみで、県民事務所には備蓄が無い状態です。

そこで、6か所すべての県民事務所への生理用品の備蓄を率先して増やすべきと考えますが、認識を伺います。 さらに、市町村に、女性やこどもに関わる日常に欠かせないものの備蓄を拡充するよう、促すべきと考えますが、いかがでしょうか。

【防災安全局長】 「愛知県避難所運営マニュアル」で、女性や子どもの視点に立って必要な備蓄を行うことは非常です。内閣府の男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインでは、女性の職員の参画を得ながら女性と男性のニーズの違いや妊産婦・子育て家庭のニーズの違いにこたえて、必要な十分な物資を検討するようにしています。「愛知県避難所運営マニュアル」においても、女性や子供の視点から紙おむつや女性用の衣類・下着等の物資や粉ミルク、離乳食等の食料などへの配慮事項について定め、市町村と共有しているます。県では、紙おむつ、粉ミルク、生理用品などを一定量備蓄するとともに、民間事業者等と協定を締結して、災害時には迅速に対応することとしています。本年度、生理用品を追加で確保しており、現在70,710枚を備蓄しており、今後、地域バランスなどを考慮し、県民事務所を含めた複数の場所で分散備蓄することとしています。市町村に対しても、地域の実情を踏まえ、必要な備蓄を行うよう改めて促してまいります。

【しもおく奈歩議員】 避難所で女性や子どもたちが性暴力の危険にさらされないようにすることも必要です。「あいち・なごや強靭化共創センター」が作成された冊子には、女性が被害に遭わないためには?と題して、注意事項が書いてあります。しかし、その中には「一人であるくのは危険、複数で行動」をと記載があります。これは、被害にあいそうな方に自衛を求めることで、何かあった場合に「一人でいたあなたが悪い」となり兼ねません。

 避難している方々は、ただでさえ家の片付けなどで忙しい。一緒に行動をしてくれる相手をいつも探せるとは限りません。愛知県の作成している避難所運営マニュアルには、暴力防止対策・トイレや更衣室を男女別にすることが記載されています。

 例えば、それをさらに発展させて、トイレや更衣室は、男女それぞれ離れた場所に設置すると記載するなど、市町村にも女性や子どもたちが安心して過ごせる避難所にできるよう、積極的に取り組みを推進していくことが必要ではないでしょうか。認識を伺います。

【防災安全局長】 「愛知県地域防災計画」では、避難所運営に女性の視点を取り入れるため、女性参画の基本的な事項を定め、避難所の安全性の確保など、女性や子育て家庭のニーズに配慮した運営に努めるものとしております。また、「愛知県避難所運営マニュアル」でも、利用者による避難所運営の組織に女性が少なくとも3割以上参加し、女性の意見に配慮した避難所運営を心がけることとしています。さらに、 レイアウトも、男女別の物干し場、女性用のトイレを多く設置することなどの配慮とともに、可能なら男性用と女性用のトイレを離して設置することを示しています。

【しもおく奈歩議員】 防災会議への女性の参加を増やすことも必要です。第5次男女共同参画基本計画で30%の数値目標を掲げている地方防災会議。愛知県の防災会議の女性比率は、11.4%でした。愛知県の職員は、4人入っていますが、女性職員は1人です。県も女性比率を高める努力を行っているようですが、まだまだ足りません。

 委員を公募することや、庁内職員の女性職員の積極的登用など、さらなる努力をはかり、女性比率向上へ力を注ぐことがニーズを把握し必要な支援を行い、安心して過ごせる避難所を作れると思います。

このように、ジェンダーの視点での防災対策を進めるには、意思決定の場に女性を増やすことが重要です。愛知県防災会議への女性の参加を意識的に増やすために、今後どのように努力し、取り組んでいくのかお伺いします。

【防災安全局長】 防災会議は、災害対策基本法に基づき設置されている機関であり、委員についても、本県を管轄する国の機関の長や公共機関の役員、学識経験者等、その構成が定められています。災害時の避難所の運営やレイアウト、災害用の備蓄物資の品目選定等の対策を進める上で、女性の視点を取り入れることは大変重要です。 愛知県地域防災計画においても、男女共同参画の視点から地方防災会議の委員に占める女性の割合を高めるよう取り組むこととしています。本県では、従来から防災会議の構成機関に対して、女性委員の登用促進を働きかけており、2021年度には、女性委員推薦の可能性のある機関に対して個別に働きかけを行い、2022年度には、専門的見地からご意見をいただくため学識経験者に女性委員を積極的に任命するよう人選を行いました。その結果、本県の防災会議の女性委員は3名増え、今年度には、8名と徐々に増加し、現在も継続して取組を実施しています。今後も引き続き、防災会議の構成機関に対して、可能な限り女性委員を推薦していただけるよう働きかけを行うとともに、学識経験者には、積極的に女性委員を任命することにより、女性委員の割合を高めていくよう努めてまいります。

【しもおく奈歩議員】 それぞれ、ご答弁いただきありがとうございました。それでは、要望させていただきます。

 まず、トイレの備蓄について、千葉県では知事がトイレトレーラーについて「保有企業などと協定を結び活用を検討する」と県議会で答弁したと、報じられていました。群馬県では、昨年トイレトレーラーが導入されました。災害の度に、起こるトイレ問題の解消へ、愛知県としてもトイレトレーラーの導入もご検討いただきたいと思います。

それから、避難所の運営には、ジェンダー平等の視点が大切です。仕切り、女性専用スペースの設置をはじめ、人権を守る手だてが欠かせません。内閣府が公開している、安全な避難所を運営するためのチェックシートがあります。不安やトラブルの減少へぜひ、取り入れていただきたいと思います。女性の様々な要望を反映できるよう、運営に必ず女性を加え、相談体制を整えることが求められます。大分県や宮城県では、女性の視点や男女共同参画・多様な視点に特化した対応をわかりやすくパンフレットや手引きにまとめています。愛知県でも、参考にしていただきたいと思います。

 防災会議について、国が作成した、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインの中で、「東京大学社会科学研究所の調査では、地方公共団体の防災会議の女性委員比率と、各種生活用品を常時備 蓄とする比率について、女性委員が高いほど常時備蓄とする比率が高いとの報告がありました。

中でも、女性用品、乳幼児用品、高齢者用品、プライバシーを守るための物資を常時備蓄とする割合が際立って高い結果となりました。このことから、地方防災会議や意思決定層に女性比率が高まることで、防災計画の中に女性の視点に立った対策が取り入れられ、男性が見落としがちなニーズや必要な対策に対応できるようになります。」と、書かれています。意思決定の場に女性を増やすことの重要性が強調されています。ぜひ、防災会議への女性委員を増やす努力を積極的に進めていただくことを要望し、質疑を終わります。

質問翌日の3月8日付け中日新聞

「質疑・答弁 要望」の中継録画(愛知県議会ホームページから転写)

https://gikai-tyukei.pref.aichi.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=798

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