議会報告

2023年9月議会 教育スポーツ委員会 「空調のPTA負担解消と体育館の空調設置、熱中症対策について」

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【しもおく奈歩議員】

 年々、夏の気温が上がり猛暑が続いています。今年の夏は、30度を超える暑い日が連日のようにありました。子どもたちの命と健康を守る対応が必要です。

 私はこの夏,豊橋市内の県立高校を訪問し、熱中症対策について調査・懇談を行いました。暑さ指数計が各校に3か所は配備されており、しっかり活用されていました。保健室で毎日、数時間ごとに記録をとっている高校、独自に増やして指数計を8個、18個と配備している高校もありました。また経口補水液を置いている、授業中でも水分補給を認めている、スポットクーラーを積極的に活用している、など、各高校で様々な努力がされていました。

 そこで伺います。県立高校への暑さ指数計の配備と活用など熱中症対策はどうなっているか、この夏は、指数計の活用で部活動などを中止した事例や熱中症の事例のなど、この夏はどうだったのか、県立高校及び特別支援学校の熱中症対策について、まず答弁を求めます。

【保健体育課】

県教育委員会では、2020年に「熱中症予防に向けたガイドライン」を策定し、県立高校と特別支援学校、市町村教育委員会に通知するとともに、全ての県立高校と特別支援学校に、暑さ指数計(WBGT測定器)を1台以上配備しております。
県のガイドラインでは、体育の授業や体を動かす学校行事等についての判断の目安として、暑さ指数(WBGT)が31度以上の場合は、中止や延期、活動場所や活動内容の変更等を、各学校において検討するよう示しております。
また、活動中の対応として、ガイドラインでは、各学校の実情に応じた熱中症対策として、「給水を指示する」、「涼しい場所で一定時間休養する」、「児童生徒の健康状態を確認する」ことなどを示しております。
本年、暑さ指数計を使用して部活動などを中止した事例につきましては、学校からの報告を求めておりませんので、状況を把握しておりません。
熱中症により生徒が救急搬送された事例については、重大事故として報告を求めておりますが、本年については、中学校からの報告が1件ありましたが、県立高校と特別支援学校からの報告はございませんでした。

【しもおく奈歩議員】

 高校からは、エアコン設置の状況やPTA負担についても詳しく教えていただきました。熱中症対策に欠かせない、学校のエアコン。県立高校へのエアコンは、普通教室や特別教室へほぼ設置が完了していました。しかし、問題なのはPTA負担、保護者負担があるということです。これは、学校によってもかなりの差がありました。A高校は月々の負担が1250円、B高校は910円、C高校は1000円というような負担額になっています。

そこで伺います。県立高校でのエアコンに関する保護者負担は、全県的にどの学校でも徴収されているのでしょうか?そしてその金額はどうなっているのでしょうか?平均、最小、最大、保護者負担の総額はいくらになるのか?負担の実態を明らかにしてください。

【財務施設課】

 県立高校のエアコンにつきましては、普通教室は2021年度から公費負担をしておりますが、特別教室については、全日制高校では147校のうち138校、定時制(通信制含む)高校では、28校のうち18校が保護者による負担をしております。

 保護者の費用負担につきましては、各学校において設置している部屋数が異なるという状況がございますけれども、全日制高校では最大で1人あたり年間25,200円、最小は年間800円、平均すると年間約9,500円となっております。

 なお、年間800円の高校につきましては、保護者負担しているエアコンの部屋設置数が4部屋と他校と比べて少なく、また、生徒数が比較多いため、生徒一人当たりの負担額が安価となったと考えております。定時制高校では1人あたり最大で年間3,800円、最小は年間50円、平均いたしますと年間約1,800円となっております。

 保護者負担の総額につきましては、特別教室への設置率が約50%といった状況のなか、年間約8.9億円という状況となっております。

【しもおく奈歩議員】

私はこの夏に、東京の都議会議員と交流する機会がありましたが、高校に設置されているエアコンの保護者負担を話題にしたのですが、それはいったい何ですか?聞いたことありませんよ、言われて絶句してしまいました。

そこで伺います。愛知県と同様にエアコンに関する負担を保護者に求めている都道府県はどこですか?保護者に負担を求めていない都道府県はどこですか? 全国の状況についてどう把握しているのか、答弁を求めます。

【財務施設課】

 保護者が空調設備の経費を負担している全国の状況は調査しておりません。

近隣の岐阜県・三重県・静岡県に確認したところ、普通教室では、静岡県が経費の一部を保護者が負担しております。特別教室につきましては、静岡県が本県同様に経費の一部を保護者が負担しております。

 岐阜県と三重県につきましては、普通教室、特別教室共にPTAが設置したエアコンを公費化しておりますが、特別教室には、全ての教室にエアコンが設置されている訳ではございません。

最後に、体育館へのエアコン整備につきましては、いずれの県においても設置されておりません。

【しもおく奈歩議員】

高校授業料の無償化が進められてきました。教育にかかる負担の軽減は、子育て支援策の大きなテーマでもあり、愛知県でも様々な努力がされてきました。そんななかで、いまだにエアコンにかかる負担を保護者に求めているのは問題ではないでしょうか。高校3年間で約3万円もの負担は小さくありません。電気料金の高騰も気になります。

また、学校における、児童生徒等及び職員の健康の保持増進を図ることを目的とした「学校保健安全法」の第4条の規定に基づき、学校設置者は、「当該学校の施設及び設備並びに管理運営体制の整備充実その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする」とあり、この法律は、財政上の措置についても国及び地方公共団体に求めています。 そこで伺います。生徒を保護し、心身の健康と快適な学習環境を整備するのは、学校設置者の責務ではないでしょうか?学校設置者の責務として子どもたちの安全、健康と命を守るという立場からから、PTA負担を全て無くして、設置費用・維持費などの費用は愛知県が責任を持つべきではないでしょうか。答弁を求めます。

【財務施設課】

県立学校への空調整備につきましては、2020年度に特別支援学校の普通教室及び特別教室の設置を完了しております。高校につきましては、先ほど申し上げましたとおり、2021年度から普通教室の公費による設置運用を開始しております。また、今年度から2025年度までの3か年で、特別支援学校の体育館に空調設備を整備していく計画としております。

 一方で、県立学校の施設整備につきましては、老朽化が大きな課題となっており、長寿命化改修やトイレの環境改善に積極的に取り組んでいるところでございます。今後も、様々な取組を進めながら、子どもたちの安全・安心な学校施設の維持管理に努めてまいります。

【しもおく奈歩議員】

やはり、エアコン、学校の整備については、愛知県が責任を果たす、役割を果たすことが必要だと思いますがいかがでしょうか。

【財務施設課】

 先ほども申し上げましたとおり、県立高校の普通教室へのエアコンの公費化を進めているのと、特別支援学校についても順次整備を進めているということでございます。学校施設の維持管理については県の責務と認識しておりますが、様々な状況を勘案しながら今後とも学校施設の維持管理に努めてまいります。

【しもおく奈歩議員】

12月議会までに全国の都道府県がどうなっているか全容を把握し、資料を出していただきたいと思いますがいかがでしょうか。

【財務施設課】

 他県の状況につきましては、現在、県においてエアコンを整備する計画はございませんが、必要に応じて確認出来ればと思っております。

【しもおく奈歩議員】

 エアコン設置は、教室には設置が完了していますが、体育館へのエアコン設置については、まだ行われていません。県立高校への調査のなかで、各高校の体育館や武道場では大きな扇風機を設置していることがわかりました。努力されていますが、それでは十分涼しくなりません。暑さ対策として、体育館へのエアコン設置は急務だと実感しました。 県立高校の体育館へエアコンを設置するために必要な予算規模はいくらになりますか? 県の責任で、体育館へのエアコン設置もすすめるべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

【財務施設課】

 今年度から実施している特別支援学校の体育館へのエアコン設置と同様の考え方のもとで、高校の体育館への設置、運営経費を試算いたしましたところ、13年間のリース方式の場合、年間で約11億円、13年間では、合計約142億円と試算しております。

 体育館等のエアコンについては、昨年度の国の調査結果によれば、公立高校の設置率はスポットクーラーの設置を含め、全国平均で8.1%、高校生と比べ体格・体力が弱い小中学校では全国平均11.9%、愛知県内では7.8%に留まっております。

 また、先ほど、ご答弁したとおり、県立学校につきましては、老朽化対策として長寿命化改修に毎年100億円を超える事業費で取り組んでいるところでございます。

 これらの状況を踏まえますと、県立高校の体育館へのエアコン設置をすぐに進めていくことは難しいと考えております。他県や県内小中学校への設置状況も踏まえながら、考えていく必要があると認識しております。

 夏の部活動の大会のあり方について

【しもおく奈歩議員】

 もう一つ、夏の部活動の大会のあり方について伺います。猛暑が続く中での夏の甲子園大会では、30人の選手が熱中症とみられる症状を訴えた・・と、報道がありました。7月には、山形県で部活動を終えた女子中学生が熱中症とみられる症状で搬送され、亡くなっています。猛暑日が続くなかで、夏の活動について従来通りではなく命を守る対応を本気で考えなくてはいけないと思います。

 訪問調査でわかったことは、それぞれの高校では、割り切った判断、柔軟な対応で、部活を中止する、練習時間を短縮する、少しでも涼しい早朝などに集中して練習する、などの対応がしっかり行われているということでした。

 ところが、様々な競技団体の大会運営については、主催者側の意向が重視され、なかなか学校から意見を述べることは難しいと聞きました。個々の学校だけでは対応しきれない問題だと感じました。県教委としてアクションを起こす必要があるのではないでしょうか。

 そこで伺います。年々暑さが厳しくなるなかで、真夏に行われる各種の大会について、中止や他の季節に延期するなど思い切った判断を行うよう、大会主催者に働きかけていくべきではないでしょうか。同時に、部活動についても夏の間は日数を減らすなどの対策を学校現場でも行うべきと考えますがいかがでしょうか、答弁を求めます。

【保健体育課】

 近年、夏場の気温が非常に高くなっていることから、大会を主催する高等学校体育連盟や高等学校野球連盟等の団体においては、試合途中での給水やクーリングタイムを設けるなど、各種目の特性等を踏まえた熱中症対策を行いながら大会運営がなされております。
・ 部活動の全国大会等は、連続した大会日程の確保や選手の移動日数も必要となるため、夏休みや春休みなどの長期休業中に実施されているのが実情です。県大会や各地区の予選は、全国大会の日程に合わせて実施されております。
 こうしたことから、部活動の大会を他の季節に移すことは容易なことではなく、学生スポーツの在り方に関わる全国的な議論が必要であると認識しております。
・ また、熱中症の発症リスクは、児童生徒一人一人の体力差や健康状態、運動することや暑さに慣れているかなどの個人差が大きく、運動強度や競技特性も大きく関係しております。さらに、7月や8月に大会が開催されている実情があり、練習をしないまま出場することは、かえって危険を招くと考えられますので、県教育委員会としては、夏の間の活動日数を一律に制限するのではなく、各学校が児童生徒の状況等を踏まえて、健康と安全の確保を十分考慮したうえで、適切な活動日数や内容を計画するよう指導してまいります。

 

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