議会報告

2023年9月議会 教育スポーツ委員会 「教育実習の改善について」

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【しもおく奈歩議員】

 前回、6月議会でも質問させていただいた教育実習生の過酷な現場の実態について、改善を求めて引き続き、質問したいと思います。この問題は、民青同盟愛知県委員会が、教育実習を終えた学生から聞き取ったアンケートで明らかになったものです。国会で、わが党のもとむら伸子衆院議員が、取り上げて文科省から通知が出されました。しかし、その後改善が進んでいないというのが実態としてあります。

 「1ヶ月計算したら、過労死ラインになる、勤務時間だった。子どもは好きだけど、この過酷さに諦めてしまう」「自分には到底ついていけない」「実習に行ったさい事前面談した先生が元気なく、過労で体調を崩していたと知り自分も同じようになるんじゃないかと不安になった」という声が民青へのアンケートで寄せられています。

 またそのアンケートの中で、中学校の実習で「実習指導は、本来の勤務時間内に行われていましたか?」の問いに、「はい」が38%にたいして、「いいえ」とこたえたのは62%でした。「本来の勤務時間が8時間30分を超えて、10時間・11時間。勤務時間はあってないようなもの」という声もありました。

 そこで伺います。適切な時間の管理や勤務時間を正確に伝え、本来の勤務時間を超えることがないように、現場に徹底していただきたいと思いますがいかがでしょうか。

【教職員課】

 令和5年3月29日付で文部科学省から発出された「教育実習等におけるハラスメントの防止及びその適切な対応等について」を受けまして、県教育委員会といたしましても、県内の県立学校及び各市町村教育委員会に通知文書を発出するとともに、各学校に対しては、指導教員が教育実習生に対し、不適切な指導を行わないことや、教育実習生の過度な負担となるような指導を行わないよう、校長会等を通じて伝えているところでございます。

 今後も、校長会等を通じて再度確認をするとともに、「教育実習受入れ事務打合せ会」において、教育実習生への指導上の諸問題や教育実習の内容等の課題について、協議し、必要に応じて改善を図ってまいります。

【しもおく奈歩議員】

 次に、ハラスメントやセクハラ防止について伺います。教育実習生へのハラスメント被害も深刻です。ある学生は「指導案の提出期限が指示されず、いくら待っても教えてもらえないので授業前日に提出したら『遅すぎる』『実習生として態度がなっていない』と、𠮟責された」ということやまた別の学生は、「職員室の前で他の実習生に『一緒に帰る?』と聞かれて「まだ帰れない」と返答したら、それが職員室で残業している先生の耳に入り、逆鱗に触れ説教されて泣かされた実習生がいた」という実態も寄せられています。  

 そこで伺います。ハラスメント防止に向け、現場にハラスメントやセクハラについてテキストを配布するなど周知徹底すべきと考えますが、答弁を求めます。また、学生を救済する相談窓口はどこにあるか、「一人で悩まず相談を」と周知徹底について具体的な県の取り組みを伺います。

【教職員課】

 ハラスメント防止に向けては、初任者研修や管理職研修等、様々な機会をとらえて、全職員に対し、周知徹底をしています。

 各学校に対しては、指導教員が教育実習生に対し、不適切な指導を行わないことや、教育実習生の過度な負担となるような指導を行わないよう、校長会等を通じて伝えるとともに、「教育実習受入れ事務打合せ会」において、教育実習生への指導上の諸問題や教育実習の内容等の課題について、協議し、必要に応じて改善を図ってまいります。  

ハラスメントや時間管理の問題が教育実習生から寄せられた場合、教育実習生が在学する大学を通じて県教育委員会に伝えていただくことを事務打合せ会で再度確認し、引き続き必要な改善を行ってまいります。

【しもおく奈歩議員】

 前回、教育実習生のこの現状を質問した際に県は「教育実習生の勤務上の諸問題や教育実習の内容等の課題について共通認識しています。大学側からそれほど深刻なケースがあるとは聞いていないというのが現状であります。」と答弁されていました。

 しかし、大学と教育委員会が年1回行う打ち合わせで、実習生の力量を超える指導や指導教員と実習生のコミュニケーション不足から良好な関係が築けなかった事例があると伺いました。具体的には「授業時間数の多い教材を初めから終わりまで、指導案を書いて実習授業をさせることは勉強になるが、他の教科など、実習授業を考えると負担が大きい。指導案を書くだけで毎日眠れない状況が続く」「指導教官と関係を上手く築くことができず、気まずい思いで実習期間を過ごした学生がいる」「実習生の力量以上の過大な指導内容と思われる件がありました。今後教員を目指す情熱を失いかねないと心配しています」などです。これらは、十分深刻なケースだと思います。県の認識は、不十分ではないでしょうか。

 そこで伺います。愛知県として、丁寧に実態を把握する調査が必要と考えますが、いかがでしょうか。また、学生の救済へ改善を行っていただきたいと思います。教育実習の経験から、教員になるのを諦める学生を出すようなことはなくすべきです。教育委員会として、改善の姿勢、決意をお伺いいたします。

【教職員課】

 教育実習生への指導上の諸問題や教育実習の内容等の課題については、各大学から寄せられた声をもとに十分把握をしており、「教育実習受入れ事務打合せ会」で共有し、必要に応じて改善を図っています。

 各学校に対しては、指導教員が教育実習生に対し、実習の悩みなどを丁寧に聞くなど、適切なコミュニケーションをとりながら指導を行うよう、校長会等を通じて伝えていきます。 

【しもおく奈歩議員】

教員を夢見て学ぶ学生にとって、教育実習は大切な学びの場です。

先日、学生と教員、研究者による教育実習をめぐるシンポジウムが開催されました。そこでは、学生の声を聞いた現職教員から「我慢させて、学生をフルイにかける、鍛錬主義に慣らされていた。これではダメだ、と気づかされた」との発言もありました。 未来の学校教育を担う若者が、諦めてしまうことがない教育環境の改善をぜひ、積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 

 

 

 

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