私は、「国会における憲法論議の更なる推進と国民的議論の喚起についての意見書案」について反対の立場から討論します。
この意見書案は冒頭で、日本国憲法は、国民主権や平和主義、基本的人権の尊重の原則の下、我が国の発展に重要な役割を果たしており、この三原則は今後も堅持されなければならない、と述べています。これは、その通りです。
ところがその次に、憲法は75年間一度も改正されてない、国際諸情勢の大きな変化を鑑みて、国家の基本法には諸課題に的確に対応できる内容が必要だとし、国会及び国民的議論の喚起を国に求めるとしています。
つまり、今の憲法では変化に対応できていない、変える議論が必要だというのですが、私は同意出来ません。国民的議論の喚起をわざわざ国に求めるとはどういうことでしょうか、いま憲法を変える必要がないと考える国民が多いということではありませんか。国に求められているのは、憲法改正の世論喚起ではなく、憲法を順守することです。
憲法は主権者である国民が、自らの権利と生存を守るために国家権力の勝手を許さず、国家を縛るために定められたものです。いま私たちが憲法について、議論を喚起すべきは、憲法の諸原則を具体的な法や施策として早急に実現するよう国に迫ることではないでしょうか。「国際情勢の大きな変化」に立ち遅れているのは憲法ではなく、ジェンダー平等や入国管理行政など、基本的人権の尊重に真剣に取り組もうとしない国の姿勢ではありませんか。国際紛争を解決する手段としての戦争を永久に放棄した憲法の平和の理念を国際社会に発信することこそ国には求められているのです。
日本国憲法ができて75年もたつのに人権保障、平和主義、国民主権の確立はどれも道半ばです。憲法を守り活かすことこそ、必要です。日本共産党は、憲法を変えるために、国に国民的議論を喚起せよという逆立ちした主張の「国会における憲法論議の更なる推進と国民的議論の喚起についての意見書案」にはきっぱり反対である、と申し上げ、討論とさせていただきます。