議会報告

2023年6月議会 教育スポーツ委員会 「豊橋市新アリーナ建設」

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(未定稿  文責:日本共産党愛知県議会議員団事務局)

【下奥奈歩委員】

現在豊橋市では、多目的屋内施設・新アリーナの計画が進められています。昨年の6月議会の議事録を読みました。議案質疑の答弁の中で、新アリーナの今後の基本計画等の策定に当たり、県と豊橋市の職員による連絡会議を設置し、県と市で協力して進めていく旨のこたえがありました。6月議会の閉会挨拶時には、大村知事が「 豊橋市の新アリーナの整備につきましては、本県としても、県の新アリーナ整備事業で得たノウハウの提供や、基本計画策定などに対する支援をしてまいります」と述べられまし。愛知県は、基本計画等策定費の一部補助を負担しています。事業主体は、豊橋市ですが、愛知県も大きく関係する事業だと思います。

 そこで、まず伺います。連絡会の開催の頻度とこれまで何回開催されてきたのか、連絡会議の中身について、それぞれ回答をお願いします。

【スポーツ局担当課長】

豊橋市が豊橋市新アリーナの基本計画等の作成を進めていくにあたり、市から支援の要請があって実施している。補助金の額は27,500千円で、豊橋市の委託料 55,000千円の2分の1。県市連絡会議には、県が持つアリーナ整備に関するノウハウを市に提供してほしいとの要請を受けて設置したものであり、2022年7月以降、これまでに4回開催している。会議の内容は、基本計画の内容について市から相談を受け、県は愛知国際アリーナの経験を踏まえた助言を行っている。

【下奥奈歩委員】

 豊橋市公園内の新アリーナ整備について、施設の計画場所が変更されました。当初予定していた場所が、「県指定の家屋倒壊氾濫想定区域」だったことが後から判明したためです。新たに発表されたのは、豊橋球場を移設しその跡地へ、アリーナを整備するというものです。

 そこで、伺います。事前に豊橋市から、豊橋球場移設し跡地に整備する件について愛知県に相談はあったのか伺います。また、当初の計画の時点で愛知県が指定する危険区域であることは、県から助言はしなかったのでしょうか?伺います。

【スポーツ局担当課長】

 豊橋公園の一部が家屋倒壊等氾濫想定区城であることを、県スポーツ局が認識したのは、2022年11月に市のスポーツ担当からの連絡を受けて知った。その連絡を受け、市に対し、適切に新アリーナの配置計画を検討されるよう申し伝えた。その後、市が野球場の移設を公表されたが、野球場の跡地に新アリーナを整備するとの事前の報告を受けている。

【下奥奈歩委員】

 今回、新アリーナ建設の用地確保のために、撤去方針を打ち出した豊橋球場の移設先が、南海トラフ巨大地震などの津波から、避難が間に合わないと見込まれる市が指定する「特定避難困難地域」に入ることがわかった、と6月24日付けの中日新聞で報道されていました。地震発生の5分後に避難を始めると、津波到達までに安全な場所にたどり着けない人が出ると見込んでいるような場所です。豊橋市の担当課は、取材に対して「計算上は困難だが、避難できないわけじゃない」などという、市民の命を軽視する発言をしました。

 そこで、伺います。新アリーナの用地確保に伴う、豊橋球場の移設先が、特定避難困難地域であることは愛知県として、把握していることでしょうか?この移設先について、協議し合意しているのでしょうか。伺います。

【スポーツ局担当課長】

特定避難困難地域については、市が指定しており、当初から把握していたということはない。また、移転先が特定避難困難地域であることについては、市から別途、報告を受けたものである。新アリーナ整備に対してノウハウ提供等の支援を行っているが、野球場の移転先等については、豊橋市の判断によるものである。

【下奥奈歩委員】

 豊橋球場が移設されることに伴い、事業費が園内の再編や球場移設を含め、総額は100億円から220億円に膨らむと市長が記者会見で明らかにしました。また、豊橋市の中間報告の中で5900万円の赤字が見込まれることが明らかになりました。浅井市長は、記者会見で「国や県の補助金も働きかけていきたい」と述べられていたと、報道にありました。

また、多目的屋内施設アリーナ部分の収入として年間1億6700万円を見込み収支予測をしており、このうち約半分の8000万円を三遠ネオフェニックスが負担する計算になっています。ところが、フェニックス側が負担できるか確認していないことが、6月9日の豊橋市議会の委員会の中で明らかになりました。ちなみに、現在同チームからの利用料収入は年間約2000万円以下です。さらに、防災拠点との位置づけも、6月2日の台風2号接近に伴う大雨の際に、道路の寸断、北側の朝倉川の増水、周辺の浸水で、防災拠点にはできないことが明らかになりました。

そこで、伺います。市の計画は、あまりにもずさんな計画です。当初から、これだけの赤字が見込まれる施設は市の負の遺産になりかねません。こんな赤字が想定される計画でも、構わず愛知県は応援するのでしょうか?伺います。また、赤字の想定について市からの相談はあったのか伺います。

【スポーツ局担当課長】

市は、本事業により、市民がスポーツを「する」場や、公園での憩いの場などを新たに整備し、行政サービスの向上を図ることを目的としているため、一定の支出を見込んでいるものと認談している。

なお、建設費の増額や、収支不足に対し、市は、財政負担の軽減を検討しており、県としても、事業手法や国の補助金活用の可能性等についてアドパイスするなど支援を行っている。

【下奥奈歩委員】

 豊橋市が、どんな計画を立てても、どんなに計画を変更しても、無条件に愛知県は補助金を出すのでしょうか?伺います。また、豊橋市は、県や国にも財政支援を求めたいと、表明しています。この状況のなかでも、さらなる、財政支援を検討されていくのか、伺います。

【スポーツ局担当課長】

豊橋市新アリーナが愛知国際アリーナと連携し、相乗効果をあげるとともに、東三河地域のスポーツ振興及び地域振興にがるアリーナとなるよう、整備の方向性の策定・決定までを支援することとしている。

現時点で建設費について県の財政支援は想定していないが、国がスタジアム・アリーナで活用可能な補助メニューを公表しているため、それらのメニューを中心に、新アリーナ事業において活用できる仕組を市と一緒に検討している。

【下奥奈歩委員】

 豊橋公園への新アリーナをめぐっては、「市民の声をきいてほしい」という声や市長が選挙で「豊橋公園への建設は白紙に戻す」と明言したのに、「約束と違う」「渋滞問題が解消されない」など、疑問や怒りの声が上がっています。市民運動を中心に、「豊橋公園へのアリーナ建設の是非を問う住民投票条例」の制定を求める署名が15,991筆集まり、議会に上程されましたが多数の反対により否決されました。豊橋市の基本計画案の市民からの要望欄に「健康増進に使える施設としてほしい」「財政負担の軽減につながるよう、収益が見込める施設としてほしい」「高齢者、障害者、小さな子ども等誰もが使える施設としてほしい」など、様々な声があります。

 そんな中で、今回突然、野球場の移設計画が発表され、ことごとく市民の声が置き去りにされている状況です。パブリックコメントは行うけど、市民への説明会は開催されないとのことです。建設ありきで、進んでしまっています。

 そこで、伺います。スポーツ振興というなら強引に進めるのではなく、建設場所も含めて市民が使いやすい施設、市民に歓迎される施設にするために、市民の声を聞いて進めるべきではないでしょうか。県として、市に対して市民の声を丁寧に聞くよう助言するべきではないでしょうか。答弁を求めます。

【スポーツ局担当課長】

基本計画(案)中間報告について、市は、パブリックコメントを実施しており、その中で市民からの意見を募るものとしている。本件については、市において、市民の理解を得つつ、適切に対応されるものと認識している。

【下奥奈歩委員】

 愛知県は、豊橋市の新アリーナへの支援を表明しお金をだしておきながら、基本的には豊橋市の決めることと、アドバイスだけにとどまっている。このままでは、市民からの合意が得られない、災害対応も財政見通しも不十分なままの計画に県がお墨付きを与えることになるのではありませんか?答弁を求めます。

【スポーツ局担当課長】

豊橋市新アリーナについては、災害対応や財政見通しに関する説明を含め、市が、市民の理解を得ながら進められると認識している。豊橋市新アリーナの整備により、東三河地域のスポーツ振興及び地域振興に繋がるものと考えているので、県の新アリーナ整備事業で得たノウハウの提供や基本計画策定などに対する支援を行っていくものと考えている。

【下奥奈歩委員】

豊橋市の新アリーナ計画は、市民不在で進められています。スポーツ振興と言いながらも主には、コンサートやイベントが中心になってしまうのではと思います。豊橋市公園は、市民の憩いの場であり、スポーツを楽しみ、豊橋まつりや炎の祭典など市民が地域のイベントを楽しむ場でもあります。豊橋球場は、空襲のがれきで作られた、戦災からの復興のシンボルとしても親しまれている場所です。また、球場移設は市民からスポーツを遠ざけてしまうことにもなってしまいます。市民にとって身近な施設に方向を転換し、負担が膨大になる施設はいったん白紙に戻すよう求め質問を終わります。

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