「ラーケーション」
(未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団事務局)
【下奥奈歩委員】
ラーケションの導入について、質問させていただきます。これは、平日に学校を休み家族と活動し、学習や体験などをするという中身です。校外での自主学習と位置付けのようですが、新聞報道によれば、「テーマパーク」に行くことも自主活動になり得る、と自主活動の例として、県があげていると記事にありました。
ラーケーションの中身について、どういったことを想定しているのでしょうか?また、家庭で決めた計画やラーケーションの中身について、子どもが学校に提出す
るようなものはあるのでしょうか?伺います。
【義務教育担当課長】
「ラーケーションの日」の活動は、子供が保護者とともに、自ら考え、企画した「平日だからこそできる学校外での学習活動」でありますので、さまざまな活動がありうると考えておりますが、保護者用リーフレットには、保護者や子供たちに分かりやすく伝えるために、環境・産業・芸術・創作などの「学びのキーワード」や史跡探訪・料理体験などの活動例を掲載しております。また、様々な学びが体験できる県内の「ラーケーションスポット」を紹介する専用のウェブページを作成しております。
学校への届け出については、「ラーケーションの日」の活動内容を届け出る必要はなく、「いつ取得するか」のみ、保護者から事前に届け出ていただくこととしております。なお、事後の報告書等の提出も求めません。
【下奥奈歩委員】
「ラーケションの日の取得」により、受けられなかった授業は「家庭での自主学習」としています。この点について、「どの家庭でも、学習の補充ができるとは限らない」「家庭で自習と書いてあるとびっくりして、休日を取得し辛い」という声が寄せられました。子どもたちの家庭の事情や習熟度によっても、自習が難しい家庭もあります。報道に、「理科の実験や、調理実習など自習が難しい授業もある」と書かれていました。これで、子どもたちの学びが保障されるのでしょうか?
今、学校の先生も多忙で先生が足りなくて休んだ子どもたちの学習をフォローする体制をとても作れる状況ではないと思います。制度を作るけど、休んだ分は自習では、無責任だと思います。体制を整えたうえで、学校で学びをフォローしていくことが必要です。子どもたちの学びをどのように保障していくのでしょうか?伺います。
【義務教育担当課長】
「ラーケーションの日」を取ることで受けられない授業の内容について、自習等により補うこととしているのは、病気等による欠席の場合と同様であります。したがって、「ラーケーションの日」を取ることに伴う特別な学習上の補充を行う必要はありませんが、病気等による欠席と同様に、学校の判断により、プリントを渡すなどの支援を行うことはあり得ると考えております。
【下奥奈歩委員】
学校現場の運営に、支障が出ることを危惧しています。子どもたちがいつ、何人が何人、ラーケションを使って休むのかわからない中で、学校を運営するのは難しいという声もあります。「校外学習など、計画的なクラス運営ができなくなる不安が解消されない」「修学旅行や展覧会など学校行事の設定もしにくい」「修学旅行の班を決めるのに、休んでる子が多いと決まらない」「学級委員を決めるときなど、休むとどうなるの?」と、厳しい状況があります。学校は、授業に加えて、校外学習や学際の出し物を決めたり、運動会の出場競技を決めたり、準備したりと様々なことがあります。
そこで、伺います。学校の運営に支障が起こることについて、県はどのように対応していくのでしょうか。
【義務教育担当課長】
「ラーケーションの日」の取得に際しては、学校行事など学校運営に支障のある日を、市町村や学校毎に「ラーケーションの日を取ることができない日(期間)」として設定できることとしているため、大きな支障はないと考えております。
【下奥奈歩委員】
子どもたちの間に、格差を広げることになりかねません。「ラーケションの難しい家庭もある。格差拡大になりそう」「今の働き方の状況では辛い家庭もある。それよりも学校が楽しさや学力を保障する道を探ることが重要です」という声が実際に、寄せられています。様々な家庭があり、大企業に努めている家庭ばかりではありません。休めない保護者、生活保護を受けている家庭、親が病気を患っている家庭、シングルマザーやシングルファーザーの家庭など状況は違います。「欠席扱いにしないから、親と休んで楽しんで」と言われても楽しめない家庭もあります。ゆとりのある家庭は、制度が使えますがそうでない家庭は生活格差がはっきりみえてしまいます。「ラーケションに行ってこんなことをした・・と話せる子はいいけど、その制度を使えないことで、自己肯定感をさげてしまう子どももでてしまうのでは」と、現場の声が報道で紹介されていました。
学校で、楽しい学習、体験や文化に触れる機会をつくりみんなで共有できる時間をつくることの方が大事だと思います。子どもたちの格差を広げることになる恐れがある制度を、愛知県がつくるべきではないと考えますが、見解を伺います。
【義務教育担当課長】
「ラーケーションの日」の校外学習については、必ずしも遠方で活動をする必要はなく、家庭など身近な場所での学習活動でも可能であります。自分の興味に基づいた学習活動は、家庭による格差や子供の中での不平等につながるようなものではないと考えております。
【下奥奈歩委員】
いろいろとご答弁いただきました。いったい誰のための休日なのでしょうか。一部報道によると、ラーケションはトヨタカレンダーが追い風になったと記事にありました。知事も会見で「経済団体、産業界から休日は、親子でいろいろな活動がしたいと要望があった」と語っています。大企業の要望が後押しになったのではないでしょうか。
学校現場に混乱をもたらすような制度をつくるよりも、有給休暇を取得しやすい職場にするよう企業に求めることのほうが大事だと思います。教育現場に混乱と負担、格差を広げるような制度を持ち込むべきではないことを申し上げ、議案質疑を終わります。