県政の窓

あいち・とこなめスーパーシティ構想に反対し、県民参加による安心・安全なまちづくりの実現を求める

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 愛知県は4月16日、中部国際空港島とその周辺地域を対象とした「あいち・とこなめスーパーシティ構想の実現に向けた提案書」を国に提出しました。この提案は、国のスーパーシティ構想に沿って愛知県としての構想をまとめるとともに、県がすでに進めている中部国際空港島における「MICEを核とした国際観光都市」構想と一体化させることによって、「我が国を代表する国際観光都市を実現」するとともに「イノベーション創出の拠点化」「世界最先端のスマート空港」をめざすものとなっています。さらに、最終的には全県を対象としたスーパーシティ化をめざそうとしています。

構想で提案されている、①未来を先取りする移動・物流システム、②すべての人々に満足を届ける最先端おもてなしサービス、③ゼロ・カーボンで世界最高水準のレジリエンス機能(回復する力)の実現、④人口減少社会にふさわしい人に優しい社会の実現、⑤世界最先端を創り続けるイノベーションエコシステムの構築は、「先端技術のショーケース」として一部の大企業や先端産業を潤すだけであり、県民生活の真の向上につながるものではありません。

納得できない6つの問題点

 この堤案の第1の問題点は、デジタル化の推進によるスーパーシティ構想だという点です。デジタル化自体は県民生活が豊かになる可能性があり積極的に発展させるべきですが、顔認証システムによる搭乗手続き、出入国手続き、支払い等の「顔パス」の導入は中国の監視社会化を想起するものです。どのような事業者が参加するのか、セキュリティは確保されているのか、デジタル化・AIに対する規制をどのように行うのかなどが問われます。提案では、参加企業(候補)の名簿とデータの連携についての概要、セキュリティ対策が掲載されていますが、データ利用の規制についての記載は一切ありません。個人情報の取扱いについては本人同意を求めることとしていますが、個人情報をどのように保護するのかは明記されていません。

 第2の問題点は、大企業が名を連ねる提案となっていることです。参加企業(候補)としてのべ171社が掲載されていますが、トヨタ自動車、中部電力、東邦ガス、名古屋鉄道、デンソー、携帯大手3社などが挙がっており、一部大企業のもうけを確保するためのスーパーシティ構想となっています。第1の問題点と関わって、企業がもうかるデジタル化は推進されますが、企業の利益につながりにくいが県民生活を向上させるデジタル化は後回しになります。

 第3の問題点は、規制緩和・制度改革に問題があるということです。スーパーシティは国家戦略特区として、規制緩和や制度改革を行って実現しようとするものですが、愛知県の提案では自動運転、空飛ぶクルマ、水素利用など合計34項目もの規制緩和・制度改革を行おうとしています。航空法の規制緩和による「空飛ぶクルマ」、道路交通法の規制緩和による「歩車混在道路」、ガス事業法の規制緩和による水素パイプライン施設時の付臭義務の廃止など、住民や滞在者の安全確保に反する規制緩和がめざされています。

 第4の問題点は、「SDGsに貢献する」と述べていますが実際はSDGsの目的に反する内容となっていることです。提案は、「こうした取組を通してSDGsの達成に貢献していく」としてSDGsの17目標のうち、【③健康と福祉、⑦クリーンなエネルギー、⑧働きがいと経済成長、⑨産業とイノベーションの基盤、⑪住み続けられるまちづくり、⑰パートナーシップによる目標達成】の6つを挙げています。③ではAIによる健康情報管理システムの構築、⑦では水素エネルギーの利活用やEV化・FCV化、⑧では働きがいなしの経済成長のみ、⑨では生活の向上につながるイノベーションではなく、大企業の利益確保のためのイノベーションの推進、⑪では安全軽視のまちづくり、⑰では住民・利用者には「同意」を求めるのみで「参加」による住民自治の視点・発想はありません。愛知県がこの3月に発表した「2021年度愛知県SDGs政策パッケージ」には、リニア中央新幹線の推進、中部国際空港の二本目滑走路の整備促進、展示会産業振興基金事業、ステーションAiプロジェクト推進事業、自動運転社会実装推進事業などが掲げられています。どれも大村知事肝入りの事業ですが、国連が掲げる持続可能な開発目標とは相いれないものです。こんな事業をSDGsの政策として掲げる大村愛知県政は、地球環境を守り貧困をなくして人々の健康と福祉を実現するというSDGsの本来の目標からかけ離れており、SDGsを語る資格はないと言わなければなりません。

 第5の問題点は、経済成長・開発志向型の提案であり、県民生活の向上は後回しにされていることです。この提案は中部国際空港島周辺に「先端技術のショーケース」をつくり、金儲けのビジネスを展開するとともに「MICEを核とした国際観光都市」の実現を図ることによって経済界を潤すことを最大の目的としたものとなっています。

 第6の問題点は、県の財政負担がどうなるのかが全く不明だということです。県の説明によると、国が選定した後に協議会を立ち上げてそこで議論することになるとのことです。費用の総額がどれくらいになるのか、地元の愛知県・常滑市、参加企業の負担がどのようになるのか全く分かりませんが、事業内容からするとかなり大規模な財政負担になると予想されます。大きな問題点を抱えるスーパーシティ構想への財政負担を県民に押し付けることは許されません。

住民福祉の向上と住民参加の都市づくりを

 コロナ禍のもと、またアフターコロナにおいても県民の命と健康を守ることが県政の最優先課題です。以上のような大きな問題点を持つスーパーシティ構想の実現は断じて許されません。この構想に反対するとともに、いま切実に求められている新型コロナ感染症対策の充実(安全・迅速なワクチン接種、大規模な検査の実施、十分な補償と生活支援)、脆弱な医療・保健所体制の抜本的強化、子どもの健やかな成長をはぐくむ施策の充実、国民のための真のデジタル化、社会進歩に貢献するデジタル化の実現、規制緩和ではなく社会的規制の強化を通じた安心・安全なまちづくり、住民参加による地方自治の実現こそ求められています。

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