県政の窓

2021年度県当初予算案の特徴と県民への影響                   オール与党保守県政・「イノベーション創出・産業首都」予算

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大村知事は、提案説明で、「厳しい財政状況のもとであるがの予算編成ではあるが、ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた成長戦略にしっかりと取り組み、愛知が日本の成長エンジンとして我が国の発展をリードしていかなければならない」と述べました。

コロナ危機で県民生活は深刻な事態にあるにもかかわらず、「リニア、第2滑走路、幹線道路、産業首都、ジブリパーク」を一層推し進め、新たにデジタル関連事業を取り入れながら「イノベーションを創出する愛知」「世界から選ばれる魅力的な愛知」を描き、都市間競争を勝ち抜くために大企業の利益を最大限に追求する予算を展開しています。その一方で、「暮らし・教育・医療にさらに冷たい予算となっています。

1.「日本の成長エンジン」を標榜する県予算

県予算は、政府・経済界が進める成長戦略に一体化させています。その柱は、「リニアを起爆剤に、中部国際空港第2滑走路など交通体系の拡充とインフラ投資」「MRJやF35戦闘機など航空宇宙産業、FCV(燃料電池自動車)、ロボットなど先端技術特化」「スタートアップ・ステーションAiプロジェクトやDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」「製造業日本一の維持・充実」となっています。

(1)リニア(JR東海)を起爆剤に交通体系の拡充、インフラ投資

リニア交流圏の玄関口である名古屋駅は極めて重要と「名古屋駅スーパーターミナル化」を図り、「40分交通圏」の拡大に既存の交通網の拡充を図っています。また、「南海トラフの海洋流出廃棄物の仮置場」を突然の名目として中部国際空港2本目滑走路の埋立願書が提出(本年2月)を受けて、西知多道路など不要不急の幹線道路建設(868億円)にも拍車をかけています。

水需要がないのに本体工事に着工した設楽ダム建設を継続していますが、寒狭川流域と三河湾に深刻な環境破壊が懸念されます。

国際展示場(建設費と用地費で550億円)やジブリパーク(公園整備と周辺道路対策で総事業費450億円)など今後の財政を圧迫するビッグ事業も推進させています。

(2)航空宇宙・FCV(燃料電池自動車)・ロボットなど次世代産業の育成 

「国産初のジェット旅客機」と注目されていた三菱スペースジェット(旧MRJ)は会社自体の存続が危ぶまれ、「米国の政府機関が多くの欠陥を指摘した」次期戦略戦闘機F35の事故が続出しています。FCV(燃料電池自動車)は電気自動車の伸張に伸び悩み、水素ステーションは高額すぎて基地建設目標(愛知県・2025年に100基。現在36カ所)は到達しそうにありません。それでも愛知県は、国の特区制度などを駆使して次世代産業の育成に傾注しています。

航空宇宙産業の推進  4333万円 
自動車産業の振興5639万円自動運転社会実装の推進
水素ステーション・水素エネ11億2900万円25年度目標100基。現在36カ所 
ロボット産業の振興5498万円様々な分野でロボット社会実装
ロボカップアジアパシフィック開催3億8140万円11月 国際展示場
知の拠点あいち・重点研究11億4546万円3プロジェクト、26テーマ

 

(3)『日本一元気な愛知』への起爆剤、「ステーションAi」と「あいちDX」の推進 

我が国の「産業首都」、「全国をリードする日本の成長エンジン」として、「Aichi〔愛知〕・総合経済対策」(2020年2月)を発表しました。その主軸に「スタ―トアップ。イノベーション創出」を置き、旧勤労会館跡地に「ステーションAi」(総額約150億円)を整備して進めます。

さらに、政府の「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」、デジタル庁発足に合わせて、あいちDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を図ります(約40億円・下表)。「データの利活用で経済成長」を喧伝し、行政と民間のデジタル化、システム標準化、官民の連携、マイナンバー制度の活用を推進しようとしています。

(4) 企業立地・再投資補助制度 

愛知県は「モノづくりNo.1 。製造品出荷額等が連続38年間、全国1位」を標榜していますが、その地位を引き続き堅持すべく、企業立地・再投資補助政策を展開します。

21世紀高度先端産業立地補助金10億3700万円全国トップレベル。限度額100億円
新あいち創造産業立地補助金21億8485万円限度額5億円。市町村合算で10億円
新あいち創造研究開発補助金 8億1000万円国際戦略特区の対象業。
産業空洞化対策減税基金40億円次年度以降の先端産業立地補助金用
企業誘致のための用地造成事業140億円県下10か所で工業用地の造成

3.新型コロナウイルス感染症の克服

新型コロナウイルス感染症対策に、当初予算で1308億円を計上、2019年度の補正以降の合計で5651億円を支出することになります。3月補正と21年度当初予算の内容は辞表のとおりです。財源は、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」や「緊急包括支援交付金」など国の国庫支出金が9割を占めます。愛知県の独自財源として補正予算で財政調整基金を繰入計上していましたが、結局、繰入を中止しています。

緊急事態・営業時間短縮協力金1566億4664万円20年度3月補正+21年度当初
医療提供体制の確保1042億9608万円医療機関の支援、PCR検査の確保
福祉分野の感染症対策33億7543万円 
児童・生徒の心のサポート体制8億 220万円 
GIGAなど学校教育の充実27億4767万円 
中小企業や商店街支援(貸付金)1802億813万円金融支援1794億円を含む 
雇用維持・確保対策3億3091万円 
観光関連産業の支援4億3727万円 

保健所の増員に、冷ややかな姿勢

新型コロナウイルス感染症対策の体制強化として県職員定数を227人増員します。内訳は【本庁舎】99人、【保健所】10人、【衛生研】9人、【愛知病院】109人です。感染症の前線基地となっている保健所増員10人は全員保健師ですが、12の保健所にいきわたらない少数、愛知県の姿勢が問われます。

4.予算から見た「県民に冷たい県政」

  • 「自助」「共助」の強調、「公助」弱める介護

「第8期愛知県高齢者福祉保健医療計画」(2021~23年度)は、「地域共生社会」「「地域包括ケアシステム」「市町村の計画」を前面に大きく据え、自助・共助を強調し、県の立ち位置を後ろにおいています。

介護福祉施設については、「介護保険事業所の指定を受けていない住宅型有料老人ホー ムやサービス付高齢者向け住宅が、都市部を中心に多様な介護ニーズの受け皿となっている状況を踏まえ、これの整備状況を勘案し、基盤整備を進める」とし、県の調査で特養入所待機者4476人(重複を省く)いるにもかかわらず、3年間の整備増目標をわずか595人の定員増に抑えこんでいます。さらに、市町村が主体の地域密着型特別養護老人ホーム(29人以下)を重点に41億円(38施設)を予算化していますが、「民間事業者の応募が少ない、地域住民の反対などで計画施設が減った」(福祉部長答弁)として、毎年、半額程度の執行に終わっています。 

  • 保険料の値上げを誘導する国民健康保険 

2014年に国保の財政運営を県単一化し、最終的には全県市町村の保険税(率)の統一を狙っています。そのため、市町村に標準保険料を示して値上げを誘導、一般会計からの繰入金解消や医療水準の平準化を導いています。2020年度は半数の自治体で保険税を値上げしています。2021年度の市町村から県への納付金は、市町村の要望を受け1%弱引き下げます。「第2期運営方針」(2021~23年度)を策定しますが、「保険料の平準化」を「保険料の統一」に変更、繰入解消計画の強化、また、将来の保険料一本化の「議論」を初めて明記しました。

  • NHKに『保健所体制は十分だ』と知事回答、保健師の僅かな増員で現場を裏切る

これまでの行革などで、愛知県は「26保健所2支所」から「12保健所9保健分室」に削減され、保健師も223人から124人に減っています。NHKの調査で愛知県知事は、「保健所の体制は『十分だ』」と回答し、現場の職員から怒りの声が起こっています。国は、感染症保健婦を2年間で1.5倍にする(地方財政措置)としました。愛知県は47人増となりますが、わずか10人程度の増員です。「感染症の最前線」を強化する姿勢が全くありません。

  • へき地医療の拠点「町営東栄病院」の無床診療化、人工透析中止を放任

北設楽郡唯一の病院であった町営東栄病院は、文字通り僻地医療の拠点として、救急や人工透析も担ってきました。しかし、町長は財政難と要員確保難を理由に、2019年【有床診療所 救急指定取消し】、2020年【人工透析中止】、2021年【無床診療所】へと医療解体を進めています。医療法は、「僻地医療は都道府県の責務」としていますが、愛知県は、「愛知県独自の補助は行っていない。町長の決定を尊重したい」と県の責任を全く放棄しています。

5.県民運動が県政を動かす

(1)県営住宅維持修繕費の増額 

県営住宅の維持修繕費が増額されています。37億円まで落ちこみましたが、53億円(6年間で 1.5倍)まで増えています。

共産党は、県営住宅入居者の改善アンケートを実施(2014年)、その後、毎年申し入れを行ってきた成果です。

(2)小学校3学年を少人数学級に拡充

小1,小2に続き小3を「40人編成→35人編成」にします(名古屋市も小3を35人に)。必要教職員183人、必要給与費12億万円を計上しました。政府は、国民や地方の強い要求にようやく応え、5年間で小6までを35人学級にします。2021年度は、小2に加配されている人員を基礎定数化します。愛知県は、小2を基礎定数で、小3を加配制度活用で35人学級編成を行います。

(3)県立学校の教育環境の整備・教員の労働環境の改善

父母や教員の長年の願いであった県立高校の空調設備の公費による設置運用が新たに始まります(8億8千万円)。これまでPTAが機器レンタル料と電気代を負担していましたが、来年度から県費負担となります。県立学校の校舎長寿命化で66棟の工事、53棟の設計です(84億円)。トイレの環境改善(床の乾式化、便器の洋式化等)を5年間で2094カ所計画しますが、工事120か所、設計495か所を実施します。部活動指導員配置の配置など教員の負担軽減(高校+中学校へ配置する市町村への補助)が図られます。

その他、特別支援学校の学校新設やスクールバスの増車(現在97車→152車(55台の増車)、軽度・中等度難聴児への補聴器購入支援の充実、高校生への奨学給付金支給の改善や増額、児童相談センターの41人増員など機能強化、国の支援法の対象にならない規模の自然災害被災世帯の生活再建支援(予算計上額 2000万円)などが計上されています。

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