小学校の学級編成標準(現在40人、小1のみ35人)を5年間かけて35人に引き下げることで、法改正が行われ、2021年度予算案に盛り込まれました。
小学校全学年の学級規模の一律引き下げは40年ぶりです。長い間、多くの国民が少人数学級を求めてきました。そしてコロナ禍のもとで、子どもたちに手厚い教育を、感染症に強い学校をと、今までにない多くの人々が声をあげました。数百の地方議会、校長会や教育委員会の全国団体も少人数学級を求めました。全国各地で教職員、保護者、市民が多彩な取り組みを重ねました。今回の合意は、こうした国民みんなでつくりだした重要な前進です。
日本共産党は、愛知県でも、市町村でも実施を申し入れ
日本共産党愛知県委員会は昨年5月26日、県と県教育委員会に学校再開にあたって、▽感染防止のためにも1クラスの人数をできる限り少なくする▽教職員を増員する▽教室(代替施設)を増やす―ことなどを感染防止に万全を期すよう申し入れました。
須山初美本部長(県副委員長)、高橋まきこ事務局長、みよし市の牧田充生市議、鷲野恵子前県議が参加しました。みよし市の牧田議員は、みよし市が学校再開後、小学校では1クラスの最大人数を35人から28人程度に減らすことを目指していると報告。「教員を採用しながら実施することになっている。すべての学校でできるように、県にも支援をしていただきたい。教員をやってくれる人がいないのも事実だ」と話しました。
また、11月2日、大村秀章県知事に対し、来年度予算編成に関する要望書を提出し、そのなかで下奥善県会議員は、党に寄せられた「狭い教室に40人もいるのは不安」「一人ひとりに目が行き届かず変化に気づけない」などの声を紹介し、「子どもたち一人ひとりを大切にする教育の実現へ、少人数学級の拡大と教員増員を」と求めました。応対した県財政課予算担当課長は「要請内容は知事と関係部局に伝える。少人数学級は文科省に動きがあるので注視したい」と答えました。
「小学校だけ、35人を5年かけて」というだけでは、不十分
なぜ、体も大きく、思春期で手厚い教育が必要な中学生や高校生の条件を何も変えないのか。なぜ、最低限の身体的距離をとるのも難しい35人なのか。欧米をみれば、20人程度の学級が当たり前になっています。当面、小中高全体で30人学級を可能な限り早く実施する計画のもとに、予算編成を行うべきです。
多人数の学級では、少なくない子どもが理解しなくても授業は先に進みがちです。コロナ禍の分散登校で一時的に20人以下の学級で教わり、方程式が理解できたある生徒は「自分はばかではなかった」と思わず声に出したといいます。みんなで深く考えあう豊かな授業は、少人数でこそ可能です。
子どものケアという点でも少人数学級が急がれます。教員は子ども一人ひとりの個性を理解し、子どもの変化を感じ取りながら向き合えます。一律指導で大声を出す必要もなくなります。子ども同士の関係も、安心で落ち着いたものになります。分散登校の時、不登校の子どもが教室に顔をみせたと各地で語られました。 こうした良さが実感できたからこそ、「今度こそ少人数学級」の声が全国に広がったのです。
今回の不十分さの根底には、教育にお金をかけない自公政権の姿勢があります。国内総生産(GDP)比で見ると、経済協力開発機構(OECD)加盟諸国で最低クラスの教育予算水準は変わりません。財務省は「効果が検証されていない」と言い張り、少人数学級に背を向け続けています。政権の姿勢を改める必要があります。
また、愛知県の後ろ向きの姿勢も問題です。愛知県教育委員会は、「愛知の教育の特色ある取組」として次のことを説明していますが、全学年で実施している長野県などに大きく遅れた後進県にとどまっています。
<少人数学級>平成16年度から小学校第1学年(※平成23年度から法制度化)
平成20年度から小学校第2学年で、35人学級を 導入。
平成21年度から、中学校第1学年でも35人学級を導入
<少人数指導>ティームティーチング(TT) … 1学級に複数の教員が同時に入り指導。
[実施形態] 小グループ分け指導 … 1学級を、均質な小グループに分割して指導。
習熟度別指導 … 1学級を学習習熟度別に分割し学習進度別に指導。
さらに力を合わせ、子供たちの成長を保障できる学校を
「ゆとりある教育を求め全国の教育条件を調べる会」は昨年6月、「感染症対策とゆとりある豊かな教育のために 少人数学級制の導入を」と提案し、そのために必要な人員や費用を発表しています(下表)。
日本共産党は「子どもたちに少人数学級をプレゼントしよう」と呼びかけてきました。来たるべき総選挙に向け、子どもたち一人ひとりの多様性を大切にし、一人ひとりを尊重するために「少人数学級は重要な一歩」と速やかな実現を掲げています。今回の重要な前進を足がかりに、本格的な少人数学級実現へ力を合わせましょう。