県政の窓

「新しい愛知県地方計画」策定
新自由主義から脱し、命・暮らしを第一に

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 愛知県が新しい地方計画素案を発表し、県民の意見を求めています。大村秀章知事1期目の2014年3月に策定された現行の『あいちビジョン2020』が最終年度を迎えているからです。大企業応援・大型事業推進・社会保障削減の〝愛知版アベノミクス〟といわれる同『ビジョン』は、新型コロナウイルスのもとで破たんが鮮明になっています。市場原理第一の新自由主義の政策から脱却し、コロナ危機を乗り越え、県民の命・くらし第一、安心と希望の愛知づくりへの転換が求められています。

  保健・医療・介護の充実は待ったなし  

    コロナ禍で、家計・営業・雇用も深刻

  愛知県は財政力全国2位ですが、保健・医療体制はどうか。保健所(県所管)は1990年の26カ所から現在12カ所に減らされ、人口10万人当たりの保健師数は47都道府県中40位、医療施設に従事する医師や看護師の数も下位です。4月の名古屋市内の生活保護申請件数は前年同月比25・5%増の635件と急増しています。特別養護老人ホームの入所待ちは数千人にのぼっており、自民党政権が掲げる「介護離職ゼロ」は夢物語、深刻な介護実態が続いています。新型コロナ感染の第2波、第3波に備えるためにも社会保障の削減から充実へ政策転換は急務です。

 昨年秋の消費税増税と今春からのコロナの影響で、県内の家計と景気は急激に落ち込んでいます。とりわけ低所得者や中小企業が直撃を受けています。3月には県内の8割強の企業がコロナのマイナス影響を訴え、中部9県の8月の企業倒産件数(負債総額1000万円以上)は、前年同月比14・1%増の113件と増加しています。雇用情勢も急速に悪化、世界的な流行が年末まで続けば、愛知で最悪27万人が失業の恐れとの試算も出ています(中部圏社会経済研究所試算)。

行き詰る«愛知版アベノミク»  

  「リニア」「ジェット」「FCV」

 大村知事が建設促進期成同盟会会長をつとめるJR東海のリニア中央新幹線。環境破壊、災害危険、不採算など問題だらけ。コロナウイルスの影響で新幹線利用が激減し、リニア建設財政投融資3兆円の返済は困難との見方が出ています。

 三菱航空機(愛知県豊山町)が国と県の援助で開発してきたジェット旅客機(スペースジェット・旧MRJ)は、6度の納入延期のうえ、量産機の製造中断、大幅な社員の削減に追い込まれ、将来的な開発中止も視野に含めた大幅な見直しを進めています。

 水素を燃料とするFCV(燃料電池自動車)は、乗用車購入や水素ステーション整備への国と県の手厚い補助にもかかわらず、昨年の新車販売台数は全国で754台に低迷。県は25年度までに水素ステーション県内100基をめざしますが、24基(20年4月)にとどまっています。

県民運動が急速に拡大、あなたの意見を「パブコメ」に

 コロナ危機克服、暮らしと営業を守る県民の運動が急速に拡大しています。医療関係団体は医療崩壊阻止、検査・医療・介護体制強化、学生は学費減免、労働組合や中小業者団体は「自粛と補償はセットで」の要求をかかげ、雇用確保、家賃援助、消費税減税、内需重視の地域循環型経済などを国や自治体に求め、政治を動かしています。

 国会と自治体の日本共産党議員は、コロナ対策の提案や議会論戦で政治を動かし、「1人10万円給付」や各種の支援など県民の切実な要求を実現しています。こうした県民の運動に、コロナ危機を乗り越え、安心と希望の愛知を拓く力があります。

 愛知県は、「次期あいちビジョン骨子案」発表し県民の意見募集(パブリックコメント)を行っています(11月2日まで)。「骨子案」 は、「めざすべき 愛知の姿」の冒頭に「危機に強い愛知~感染症や自然災害等 のリスクに負けない強靭な地域~」を掲げ、コロナ禍後の「新しい生活様式」「新しい働き方」に対応したものとしていますが、これらの大きな変化が県の様々な計画や施策にも大きく影響するにも関わらず、それらとの関連性を全く無視した骨子案に感じます。

 今、新自由主義に席巻された行政の脆弱性が浮き彫りになり根本的に問われているなか、現ビジョンを踏襲・継続することは許されません。ここは、立ち止まって、広く県民参加で、「新ビジョン」を時間をかけて策定すべきです。次期あいちビジョンには、コロナ危機を乗り越え、県民の命・くらし第一、安心と希望の愛知づくりへの転換が求められているのではないでしょうか

 

 

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