愛知県は3日、新型コロナウイルス対策を盛り込んだ総額786億3487万円の9月補正予算案を発表しました。このうちコロナ対策に701億円を振り分けています。コロナウイルス感染症対策の補正予算は本年度に入って6度目で、累計2595億円です。
衛生研究所でPCR検査を実施する検査員の派遣委託(委託先:藤田医科大学)や検査機関設備整備費補助金などPCR検査体制強化事業費に42億円、現岡崎市立愛知病院(旧県立愛知病院)に10月開設予定のコロナ患者受け入れ専門病院(中等症患者及び軽症の高齢者を重点的に受け入れ)の運営費に27億円を計上しました。また、患者受入協力医療機関(63医療機関)に対し、受け入れのために空床とした病床の確保料相当額支援として421億円を充てています。また、65歳以上の高齢者に対して市町村が実施するインフルエンザワクチン接種の自己負担相当額を補助するため、18億円も計上しています。 大規模地震などの避難所などにおける感染防止対策への市町村支援として、マスク・消毒・検温などの機材整備、避難所運営研修費など2億円を計上しました。休業や失業により収入が減少した世帯に対する貸付事業を実施していますが、58億円を増額補正し対処します。県立高校や特別支援校の感染症の拡大防止とGIGAスクール構想の加速を図るため、遠隔・オンライン学習の環境整備に、大型ディスプレーやタブレット整備に21億円を追加しました。
地域経済への対策もいくつかの事業が並んでいます。宿泊事業者が実施する感染防止対策への支援に6億円、観光消費の喚起策として、「県内旅行の割引」「近隣県も含むGoToトラベル事業の割引上乗せ」に10億円を計上しています。農林水産事業に対して、三河牛の流通活性化3億円、滞留している県産水産物(ウナギ・ニジマス・シラス)の学校給食提供に18億円なども計上されています。 日本共産党愛知県委員会が繰り返し県に要請してきたPCR検査体制の拡充や、衛生研究所の人的充実、患者の受け入れ体制の拡充、医療機関への支援などが予算案に反映されています。自宅療養者への配食サービスは9月1日から開始するため18億円を8月に専決処分で補正予算化しています。
地方創生臨時交付金の執行留保は187億円
減収補填債の早期発行で税収減に対処
政府は、新型コロナ対策に奔走する地方公共団体の独自の取組を支援するため、令和2年度第1次補正予算で1兆円、第2次補正予算で2兆円の地方創生臨時交付金を確保し、愛知県の内示交付限度額は460億円(独自事業分)となっています。これまでの県予算補正で276億円を計上しており、内示限度額まで187億円が執行を留保されたままになっていますが、今後の対応が注目されます。神奈川県や名古屋市は、これまでの補正で執行を計上していた財政調整基金の取崩しを中止し、地方創生臨時交付金に切り替えています。県民の切望に応えて、暮らし・営業を守る積極的な姿勢が求められています。
また、今年度の愛知県に対する普通交付税交付額が確定し当初予算800億円に170億円の増額となりましたが、経済の低迷で著しい税収減が見込まれることから県税と地方贈与税を合わせて400億円減額、その補填のために通常は年度末にしか発行が認められない減収補填債を315億円計上しました(右表)。大村知事は18日、県議会の議案提案説明で、「来年度には税減が本格的になり、大幅な減収が想定され極めて厳しくなる」と述べました。地方財源の確保は、来年度の地方財政計画の作成(政府予算案)で焦眉の課題です。