県政の窓

新型コロナウイルス対策の最前線、県保健所の機能強化を

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東京都みなと保健所の資料

   日本共産党は6月、『自民党政治のもとで、医療費削減・社会保障費抑制が続けられ、わが国の保健・公衆衛生の体制は、大きく弱体化してしまいました。保健所は、この30年間で約半分に減り、職員定員は7000人も減らされました。地方衛生研究所の予算・人員も、国立感染症研究所の予算・人員も、連続的に削減されました。新型インフルエンザを総括した2010年の政府報告書では、「国立感染症研究所や検疫所、地方自治体の保健所や地方衛生研究所を含めた感染症対策に関わる危機管理を専門に担う組織や人員体制の大幅な強化」が提言されましたが、実際には、公務員削減を優先し、正反対のことをやってしまったのです。「保健所の予算を増やし、人員・体制を緊急に補強するとともに、定員増に踏み出します」「地方生研究所、国立感染症研究所の予算・体制を抜本的に拡充します。地方衛生研究所の法的位置づけを明確にし、設置基準をつくります」「感染症発生に対応する専門的機関として疾病予防管理センター(日本版CDC)を構築します」』と提言しました(https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-06-05/2020060503_01_0.html)。

   東京新聞は7月22日の社説で、「新型コロナウイルス感染症対策の最前線に立つ保健所の体制強化が課題となっている。再流行に備えて、今ある医療資源をどう活用し、足りない機能を補うのか。役割分担と連携の強化が急務だ。」と指摘、他のマスコミも同様の指摘をしています。

    愛知県には、名古屋市・豊橋市・岡崎市・豊田市の保健所、それ以外の区域を受持つ12の県保健所があります。「抜本的な強化」をどうすればよいのか、県保健所に勤務されていた保健師から「提案」をいただきました。第二波が広まり、いよいよ重要な課題となっています。皆さんと一緒に考えたいと思い、「提案」を紹介します。

(提案) 新型コロナウイルス感染症対策と愛知県保健所の機能強化

<愛知県保健所の歴史>  

    1997年に保健所法から地域保健所法に変わり、県保健所の役割は広域的専門的になり、対人保健サービスはすべて市町村の仕事になりました。   愛知県の保健所は1994年26保健所2支所1分室でしたが、1997年に第1次保健所再編や地域保健法全面施行で少なくなり、その後、豊田・豊橋・岡崎の3市が中核市へ移行で保健所を設置したため、2008年に12保健所9保健分室となり現在に至っています。

 1997年から2005年まで8年間、技術職(保健師や薬剤師など)を採用しなかったため、技術の継承(スキルの高さや高い危機管理能力)に問題を残していたことも事実です。 広域的専門的な役割を担った保健師は、職場が保健所のみならず県庁の必要な課に一人二人三人と配属されていきました。メンタル相談・自殺防止対策のための「こころの健康推進グループ」が2007年から設置され精神保健福祉士の上司や同僚として保健師が配属され、また、虐待防止・対策のため児童相談センターにも徐々に配属され、現在は全児童相談センターに保健師一人は配属されています。  県保健所保健師は結核対応、難病、小児慢性特定疾患、精神、虐待対応、災害対策、健康づくり、市町村支援の事業などを行ってきた。保健師の仕事の要である地区担当保健師から専門保健師に変わってきたのも地域保健法になってからです。

<感染症と愛知県保健師の仕事>

 結核は、以前から保健師が「結核予防法」に沿った丁寧な結核対策をしていた。結核は2007年に「新感染症」に統合され結核予防法はなくなり。BCG接種も予防接種法に切り替わりました。新感染症の対応は環境食品安全課が愛知県は実施することになり、結核だけは保健師が対応継続することとなりました。  なぜ環境食品安全課が「新感染症」を担当することになったかは本課同士の話し合いで決定したと思われます。  {1980年代にHIV(エイズ)対策が感染症として保健所が感染予防したり採血したりすることになった時に、インフルエンザ・梅毒・赤痢などの感染症を対応していた当時の環境衛生課(現在の環境食品安全課)がイニシアチィブをとることになり保健師は採血のみ担当となりました。}  SARS、MERS、鳥インフルエンザ、豚コレラ等の発生時も環境食品安全課が担当、健康チェックなどが保健師の担当でした。今回の新型コロナウイルス感染症も同様の対応になっています。

<新型コロナウイルス感染症との闘いに県保健所が強化する内容>

  2020年1月26日に新型コロナウイルスは「指定感染症」に認定されました。  SARSやMERSの時と同様に水際作戦で感染防止が可能であれば封じ込めできるだろうが、武漢の情報からして季節性インフルエンザ以上の感染者になっていくであろうと予想された時、「指定感染症」が保健所の仕事を膨大にすることは目に見えていました。

 「指定感染症」は、医師に診断された人に対しての情報把握と、その接触者の把握をして丁寧に進めていかなければなりません。聞き取り、必要な検査、検査結果報告、医療、周囲の濃厚感染者設定、公費負担に関する書類作成・書類提出などとても時間がかかり当事者本人・家族にとっては煩わしいことばかり、それを守秘義務はもちろん丁寧に寄り添って実施していかねばならなりません。

 新型コロナウイルス感染症は、結核対策のノウハウを熟知している県保健師には結核こそ慢性感染症の対応ですが、この新型コロナウイルス感染症は急性対応が求められます。保健師は的確に実施できるだけの技術と能力を持っています。 「クラスタ-潰しを確実に行う。」「PCR検査を最濃厚接触者・濃厚接触者を確実に選び出し実施する。」「陽性者周囲をさらに選び出す作業を確実にする。」「マンパワーは医療職の教育を受けた者(保健師、看護師、獣医師、薬剤師等、)そして調査聞き取りなど短期教育(マニュアルに沿ってはいるが必ず対象者に寄り添う聞き取りなど)を受けた人物に危険手当をつけて仕事してもらう。などが大切です。

 愛知県では2020年4月1日に感染症対策局・感染症対策課を50人以上の職員で新たに立ち上げ新型コロナウイルス感染症対策にのぞんでいます。ここがイニシアチィブをとり厚生労働省から降りてきたものを愛知県独自のものにして保健所や医療機関、検査センターに周知されています。

 各保健所長は、感染症診査会や審査委員、地域の感染症指定病院、3師(医師会・歯科医師会・薬剤師会)会長、地域の病院・診療所と連携して新型コロナウイルス感染症対策に取り組む会議実施などを行い、PCR検査、抗原検査・抗体検査の実施方法、医療崩壊の防止で所管する地域調整役を担ってほしいと思います。  各保健所は環境食品安全課と健康支援課が豊富な技術と能力を出し合い総務企画課も含めた3課で濃密な対応が求められます。

 人的不足に対し年度途中でも予算をつけ必要な人材の確保が重要、保健師OBなどの再雇用の方途も求められます。母子保健・老人保健で多忙でしょうが、多数の保健師が働いている市町村保健センターの応援も重要だと思います。日進市の近藤市長は、日本共産党のすやま初美氏(衆院愛知7区候補)との懇談で、「県保健所と市保健センターが仕事を分担して情報を共有したい」と述べています(7月27日)。

 有事の時に、迅速に対応できるように人材の余裕が必要です。「公衆衛生活動は人が生きていくために最も重要だ」を忘れてはなりません。 1日も早いワクチン開発、確立した治療方法と治療薬を切に望みます。

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