愛知県は6月定例県議会で、総額1160億円の新型コロナウイルス感染症対策予算を提案しています。議会冒頭に上程された38億円の補正①(主に県費を主体にした事業)と追加上程された1122億円の補正②(ほぼ全てが国費事業)となっています。その結果、2019年度2月補正から数次にわたって追加補正した新型コロナウイルス感染症対策予算総額は、1858億円になります(上表)。財源は、国費1595億円(86%)、県費263億円(14%)です。県費の内訳は、財政調整基金(県の預金から繰入)107億円、繰越金77億円などとなっています。
6月補正で、主に県費を主体にした38億円の補正①(緑枠の右表)では、「保育園や学童保育児童養護施設など緊急事態宣言下でも事業を継続した活動への支援」「市町村が実施するプレミアム商品券発行事業で民間負担を不要にする支援拡充」「漁業団体が取り組む休業日を利用した漁場清掃活動の支援」など、地域の活動や営業の活性化を促す積極的な事業などが目に付きます。
一方、不十分な点も指摘されています。小中高学校の教育の遅れを埋めるために非常勤講師の確保が計上されていますが、「3密」対策にも対処する「少人数学級の実施」については検討すら「拒否」しています。県立高校の夏季休業期間中の授業の空調については空調リース料や光熱費を県費負担としていますが、保護者や生徒の長年の熱い要望である空調費の県費負担(現在はPTAが負担)には応えようとしていません。また、他県で実施している県営水道料金の軽減、感染症対策の中軸である保健所の抜本的な機能強化、損失補償には程遠い休業協力金の増額などは全く予算化されていません。
1122億円の補正②(ピンク枠の右表)は、予算額は大きいもののほぼ全てが国費事業をそのまま計上したものがほとんどであり、地域の事情を考慮した上乗せ・横出しの事業はありません。
県の新型コロナウイルス感染症対策費は、更に確保できる
県は暮らしや営業対策、教育の更なる充実を
マスコミが注目している財政調整基金(自治体の預金)は、東京都が9345億円から493億円に、また、名古屋市は100億円から5千万円に激減し、「預金なし」状況と報道されていますが、愛知県の場合、2020年度当初の財政調整基金は490億円あり、6月補正までに107億円を支出しますが、その後に400億円弱の基金を残しています。また、1兆円の地方創生臨時交付金の愛知県への配分は287億円計上されていますが。これに加えて、国が2兆円を増額しましたので数百億円の追加交付が予定されます。24日にはその地方単独事業分として愛知県に336億円、県内市町村に411億円の配分が発表されています。
大村愛知県知事は4月、「延長した休業要請への新たな協力金は考えない。財源も未来永劫にあるわけでもない」と述べ、「命や暮らし・営業を守りたい。子どもを成長させたい」などの県民の願いからかけ離れた冷たい姿勢を示しています。県民から「展望が持てない」「資金が尽きた」と倒産や廃業が、また、非正規労働者などの解雇が、さらには子供の教育の格差拡大などが危惧されます。9月定例議会を待つことなく専決補正による予算化を含め、更なる生活支援・営業支援・教育支援を求める県民の声にこたえるべきです。