愛知県は24日開会の県議会臨時会で、新型コロナウイルス対策に約365億円を追加する本年度一般会計補正予算を可決しました。
内訳は、県の感染拡大防止の休業要請に応じた事業者に支給する「協力金」として、休業や営業時間短縮の要請に全面協力した個人・中小事業者に一律50万円を支給します。費用は151億円を見込み、市町村と折半して県が負担する75億5千万円を計上しました。その財源として、「財政調整基金(愛知県の預金)」を活用します。
そのほか、国庫支出金260億円(新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金121億円、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金127億円など)を財源に、人口呼吸器や体外式膜型人工肺(エクモ)を整備する医療機関への補助、マスク・防護具など医療機器具の購入費、軽症者の一時入所施設を運営する医療スタッフの人件費、また、売上高が5%以上減少した事業者への限度額3千万円の融資とその利子補給、県立高校のオンライン授業環境整備(6億4千万円)、特別支援学校のスクールバス68台の増車(賃借料5億4千万円)などの費用を予定しています。
24日の愛知県議会福祉医療委員会で県が明らかにした「新型コロナウイルス感染症対策事業」(244億円)のおもな内容は以下の通りです。
PCR検査の拡充 | 300件/日(県衛研120、名古屋市衛研140、民間40) |
重症者の病床確保 | 400床(指定病院72床+協力病院) |
軽症者の入所施設確保 | 1300室(健康の森宿泊施設など)と医療職要員 |
人口呼吸器の増設 | 100器を増やし560器稼働確保 |
エクモの増設 | 30器を増やし68器稼働確保 |
国の予算が極めて少額のため、県は四苦八苦
「地方創生臨時交付金」などの「飛躍的増額」が必要
「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」の国費は、わずか1490億円です。そして、国と地方の負担割合を「国 1/2、都道府県 1/2」と定め、都道府県に過分の負担を強いています。
「地方創生臨時交付金」(総額1兆円)は、全国の都道府県や市町村が「地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施」するのに極めて重要な資金です。愛知県内の市町村では、「水道料金の減額」「給食代の無償化」「児童・生徒への図書カードの支給」などなど、工夫を凝らした事業を展開していますが、「地方創生臨時交付金」は、それらの事業の貴重な財源のひとつになっています。5月1日に「地方創生臨時交付金制度要綱」がしめされました。下図はその説明の一部です。図からは、「緊急包括支援交付金」などの国庫補助事業の地方負担分も含まれていますが、県・市町村とも地域の実情に対処する「地方単独事業」が大勢を占めるイメージになっています。
この交付金の使途については、大きな注目を浴びています。「営業の休業に対する損失補償」をかたくなに拒否している安倍政権は、この交付金の目途に「損失補償」に類する支出を排除していますが、国民の批判や全国知事会の強い要請に押され、「休業要請に応じた飲食店などに支給する『協力金』の財源として活用する」ことを認めました。37道府県がこの交付金を『協力金』の財源とする意向です(5月2日東京新聞)。
愛知県は交付金が少なく単独事業を実施できず
国は、全ての事業で「飛躍的増額」を決断せよ
愛知県の場合、この交付金対象の事業に上記記載の事業などを揚げ244億円を決定していますが、県負担分123億円に「地方創生臨時交付金」のほぼ全額を投入する予算となっています。そのため、「休業協力金」(事業所当り50万円)の財源の全てを「財政調整基金(県の預金)」に頼らざるを得ません。
「5月末まで1か月の延長」の政府決定を受けて、いよいよ「休業と保障は一体」が切実になってきましたが、大村知事は5日、「県財政にも限りがある」と「休業協力金」の拡充に慎重姿勢にある(朝日新聞)と報じられています。全国知事会が、「雇用調整助成金の上限引き上げや家賃など固定費の負担軽減とともに、自治体向けに創設した地方創生臨時交付金や緊急包括支援交付金の『飛躍的増額』を求め」ましたが、これらの実現が喫緊の課題となっています。