県政の窓

「オール与党」体制の愛知県政が再来

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暮らし・教育に冷たい県予算を「無批判」で可決

予算案の起立採決(2015年 共産党は「反対」)

2020年度の予算を審議した2月県議会は3月25日、全会一致で2020年度当初予算案を可決し、閉会しました。

昨年の2月議会では、日本共産党議員が予算案に「反対」し、「起立採決(写真)」が行われました。しかし、「オール与党」体制となった今の県議会には、予算案に「反対」する議員がいません。そのため、「起立採決」は行われず、「簡易採決」で処理されました。

【議長】「これより採決いたします。第一号議案(令和2年度一般会計予算)は原案のとおり可決することに決しまして御異議ありませんか」

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

【議長】「御異議なしと認めます。よって、第一号議案は原案のとおり可決されました」

と、淡々として緊張感を感じない簡易な採決で可決に至っています。

産業首都・大型開発重視の県予算

下図を見てください。県が毎年発行する「県予算の重点施策の概要」(俗称「黄本」)をまとめたものです。大きな柱では、「ジブリパーク」「AIプロジェクト」「リニア」「産業首都」の言葉を上位に並べています。その一方で、「教育」「子ども・子育て」」「医療・健康長寿」などいのち・暮らしに直結する部門は、「人が輝くあいち」の一つの柱にまとめ上げられています。以前はそれぞれが独立した重要な柱でしたが、後方に追いやられるとともに「合体・収斂」されてしまっています。

予算の中身も問題です。2020年度予算は、2016年度と比べると、一般会計の総額は101.9%(47億円増)の微増ですが、「リニア大交流圏の形成」」や「産業首都あいち」の伸びが大きい一方、教育や福祉・医療などを含む「人が輝くあいち」は2018年度から新規に組み入れられた国民健康保険事業を除くと94%となっています。 少子高齢化、格差拡大と貧困化など、阿部自民党政権の悪弊があふれている今、地方自治体には県民のいのちと暮らしを守る防波堤の役割が求められています。県予算は、その役割を放棄しています。

県議会への請願件数が激減

共産党議員空白となって、「紹介議員」得られず

 2019年度の県議会請願件数は、「私学振興予算の充実」などわずか3件に留まりました。

 昨年度の請願件数は16件。この16件は、「消費税一〇%増税の中止」「少人数教育の実施を求める」「県立高校の教室に公費の空調を」「日本軍『慰安婦』問題の解決」「保育士の労働環境の抜本的な改善」「主要農作物種子法条例制定と万全の対策」「降下ばいじん規制値の強化」など、住民の暮しや健康にかかわる大切な施策を求める請願書で、日本共産党議員が「紹介議員」となって議案として提出され、当該する常任委員会と本会議で討論・採決されました。

請願者の思いを込めて、「賛成起立」する共産党議員(2016年12月)

 激減した最大の要因は、請願に必要な「紹介議員」がいないからです。請願権は、憲法16条が保障する重要な権利です。選挙権と並び、国民が直接国や地方の議会などに要求を提出でき、国民の声を政治に生かす大切な制度です。国会や地方議会への請願書を提出するために「紹介議員」が必要です。国会法七九条や地方自治法一二四条で「議員の紹介により請願書を提出しなければならない」としているため、「紹介議員」がどうしても必要なのです。

県議会に請願書を提出したい団体・個人は、会派や議員に対して、請願内容を理解し「紹介議員」になっていただくよう要請します。昨年度までは、日本共産党県会議員が「紹介議員」になったので、たくさんの請願書が議案として上程されました。しかし今年度は激減です。共産党議員がいなくなり、日本共産党議員以外の県会議員は、切実な県民の願いにこたえようとしないからです。

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