北設楽郡東栄町にある東栄医療センターは、愛知県と静岡県の県境にあります。昨年4月に病院から診療所に格下げされ、地域住民と患者の間に不安が広がっています。日本共産党の、もとむら伸子衆院議員(比例東海)は1月28日の衆議院総務委員会で、東栄医療センターの病床存続や人工透析継続のために国の支援を求めました。透析患者らの切実な声と5つの具体的財源をあげた、もとむら議員の質問は、総務大臣や厚生労働副大臣らから前向きの答弁を引き出しました。
東栄医療センターはベッド19床の診療所。人工透析のために通う患者は、愛知県東栄町、設楽町、豊根村から、静岡県浜松市天竜区までいます。
もとむら議員は、人工透析は1日おきに通い1回4―5時間かかる。もし東栄でできなくなれば往復2時間以上かけて遠くの病院へ通うことになると切々と訴え、「県境、そして、へき地の医療を守る」ために国の強力な支援を求めました。
高市早苗総務大臣は「特に公立病院や公立診療所は民間医療が困難なへき地医療を提供する重要な役割を担っていただいております。 このような不採算医療の提供などに要する経費について必要な地方交付税措置を講じています」と答弁しました。
①不採算地区病院特別交付税
もとむら議員は質問で国の5つの財源をあげて、東栄医療センターに活用できることを確認していきました。拡充される「不採算地区の病院100床未満について特別交付税」について、もとむら議員は「有床診療所も財政措置されますね」と質問。
高市大臣は「診療所の特別交付税措置も併せて拡充する」と回答しました。
②医師確保の特別交付税
続いて、もとむら議員は、「医師確保の特別交付税」適用について質問。高市大臣は医師確保の経費は「地方団体のご要望を踏まえ適切に対応してまいります」と答えました。
③地域社会再生事業費
もとむら議員は3つ目の財源として来年度創設予定の「地域社会再生事業費」を挙げ、「地域社会の維持、再生には医療従事者確保は必要です。東栄町も使えますね」と質問。
総務省側は「一般財源ですので、使途が縛られるものではありません」と答弁。
④国保直営診療施設助成
もとむら議員はさらに「国民健康保険の直営診療施設に対する助成制度」による補助を指摘しました。
橋本岳厚労副大臣は助成について「民間の医療機関の進出が期待できない地域や医療機関の整備が不十分な地域などで国保被保険者への保険給付を確保するためのもの」、県から申請があれば「(対応)させていただく」と答弁。
⑤地域医療介護総合確保基金
5つ目に、もとむら議員は、「地域医療介護総合確保基金」のなかで、来年度予算が27億円増額される部分に触れ、「これを東栄医療センターの医療従事者確保のために使えるのであれば随分助かる。愛知県が計画を出せばこの財源を使えますね」と質すと、橋本副大臣は「県を通じて申請をいただければきちんと対応する」と述べました。
もとむら議員は最後に、「県境、へき地の地域医療を守るために、総務省、厚生労働省をはじめ国が責任を果たす」ことを強く求めました。
東栄医療センター
旧東栄町国民健康保険東栄病院。2019年4月東栄医療センターに改称し有床診療所化。町は人工透析継続から廃止に方向転換。今年3月末に人工透析機能を廃止し、その後無床診療所化する方針を示している。
「すごい」と町民から反響 日本共産党 浅尾もと子東栄町議
もとむら衆院議員の質問翌日、町民から「建前でなく町民のために本当によく調べている。感動した」「5つの財源を一つひとつ確認して認めさせた。すごい」など多くの反響があり。
4日、私は医療センター事務長に会い、町が国保直営診療施設助成の申請をしたことを確認しました。
さらに町総務課職員は、町が不採算地区病院特別交付税と医師確保の特別交付税を「見込んでいる」と言い、地域社会再生事業費と地域医療介護総合確保基金については「調べてみる」と答えました。
私は、町の職員に、もとむら議員のフェイスブックに掲載された「質問と答弁のダイジェスト」を印刷して手渡すと、彼は「こういう資料の提供はありがたい」と言っていました。
国と町の日本共産党議員の連携プレーで、人工透析と病床を守り、奥三河地域のへき地医療の充実をめざしてがんばります。