海抜ゼロメートル地帯の愛知県弥富市にとって、木曽川下流の尾張大橋(国道1号)の早期架け替えは水害対策上、急務となっています。老朽化のうえに、周辺堤防よりも低いため、水害の危険を心配する声があがっています。
尾張大橋(878㍍)は戦前の1933年に完成し、三重県桑名市を結ぶ要として利用されてきました。しかし、弥富市側の路面高は5㍍、桁下高は3・9㍍しかなく、周辺の堤防(7・5㍍)より、かなり低い状態です。河川が増水した場合、橋部分から水が市街地に流れたり、堤防が決壊したりする危険性があります。
■ 動かない政府
日本共産党が1999年に政府交渉した際、国土交通省は、老朽化と高潮に洗われる可能性から、場所をずらして架け替えると答弁。それ以降、何度も国交省や中部地方整備局に求めてきましたが、具体的な動きはありません。
巨大地震や地球温暖化の影響による水災害への不安がいっそう高まっています。河川周辺の住民(40代)は、「元から低い地域で、伊勢湾台風(59年)で大きな被害があった。生まれる前から水害の不安はあるのに、橋はそのまま。なんとかしてほしい」と話します。
党市議団が弥富市議選(2月9日告示、16日投票)を前に実施した住民アンケートでも、「水害の時が心配」、「ゼロメートル地帯なのに高い建物がない」、「堤防の強化や宅地の盛り土へ補助を」など多くの要望が寄せられています。
■ 「最優先課題」
党市議団らは10日、国交省地方整備局を訪れ、激甚災害に備えて尾張大橋の早期架け替えや防災・減殺の抜本的強化を求めました。弥富市の三宮十五郎、なす英二両市議、いたくら克典党市副委員長らが参加。本村伸子衆院議員、須山初美党県常任委員が同席しました。
要請団は、「重要度A」の水防箇所に認定(2004年)されていることをあげ、「当局も危険性を認識していながら、今まで動きがないのはなぜか」と質問。宮武晃司河川部長は「橋の架け替えを前提に堤防をかさ上げした。『道路橋』としては使用できるため、架け替えの予算がおりない。災害時には土のうを積んで水を防ぎたい」と回答しました。
参加者は「異常降雨時は堤防を超える水位が予想され、土のうで対応できるレベルではない。国の防災対策『3か年緊急対策』に入れるべきだ」、「東日本大震災でも大きな橋が流されている。治水の観点から考えてほしい。地域を守る最優先課題だ」と求めました。
(1月18日 しんぶん赤旗)