県営空港軍事利用拡大の危険
防衛省は2日午前10時5分ごろ、愛知県営名古屋空港(豊山町)を使用する戦闘機F35Aの試験飛行を再開しました。
F35Aは米国最大の軍需企業ロッキード・マーチン社を中心に世界9カ国が共同開発した最新鋭の戦闘機。安倍政権は同型機と短距離離陸垂直着陸型のF35Bを合わせて147機導入する計画です。
県営名古屋空港に隣接している三菱重工小牧南工場では、航空自衛隊に納入するF35Aの最終組立作業が行われています。
同工場で組み立てられ航空自衛隊三沢基地に納入された初号機は今年4月、訓練中に青森県沖の太平洋で墜落しました。原因は空自パイロットの「空間識失調」とされ、十分な解明はされていません。
同日、日本共産党愛知県委員会、本村伸子衆院議員らは、同戦闘機の飛行再開中止を求め、東海防衛支局(名古屋市)に申し入れ。その席で、応対した同局担当者は「飛んだと聞いている」と飛行再開を認めました。
また、春日井市のホームページには同戦闘機が試験飛行したことを知らせる情報提供が掲載されました。
本村氏らは2日の試験飛行について、「住民に知らされないままの飛行強行だ」と厳しく抗議しました。同党愛知県委員会は3日、大村秀章県知事にも申し入れました。
愛知県内の平和団体・民主団体でつくる小牧平和集会実行委員会は8月31日、春日井市内で、小泉親司日本平和委員会理事(元日本共産党参院議員)を招いた学習会を開きました。
学習会のテーマは、三菱重工小牧南工場のF35整備拠点化。米国政府と安倍政権は、県営名古屋空港に隣接する同工場をアジア・太平洋地域のF35の機体整備拠点にする方針を示しています。小泉氏は、同工場の整備拠点化の特徴について、次のように語りました。
「米軍は、三菱重工小牧南工場を、アジア太平洋地域のF35の修理、整備、部品供給をおこなう兵たんの拠点にしようとしています。もし、実戦に投入された米軍機が飛来し機体整備をおこなうことになれば、県営空港は軍事利用され米軍基地化していきます」
小泉氏は、市街地に隣接する同空港にF35が飛来することの危険性を告発。「F35は米会計監査院が966の欠陥を指摘する欠陥機です。もし米軍機が墜落事故を起こせば、日米地位協定が適用され事故現場には日本警察も被害遺族も立ち入ることはできません。まさに沖縄と同じです」と述べました。
小泉氏はF35が「専守防衛」から逸脱した侵攻能力を持つことにも言及。「戦闘機としては足の長い航続距離2000㌔㍍に加え、射程距離500㌔㍍の空対地巡航ミサイルを搭載しています。核弾頭ミサイル(B61核爆弾)まで搭載可能」と指摘しました。
小泉氏は、「安倍政権になって6年連続して日本の軍事費は5兆円を突破し増額を続けています。軍拡では日本の平和と安全は守れません。市民と野党の共同で安倍政権を倒し平和な未来をつくりましょう」と訴えました。
実行委員会は、10月6日に小牧市の市之久田公園で開かれる県民集会の成功をめざすものです。同県民集会は、県営名古屋空港の軍事利用反対、同空港の滑走路を使用している空自小牧基地の機能強化や「戦争する国づくり」反対などを掲げています。
東海防衛支局に抗議
9月2日、本村伸子衆院議員、須山初美県常任委員、わしの恵子前県議らは、防衛省東海防衛支局に、F35の試験飛行中止を申し入れました。
大村秀章知事宛の要請書は以下の通りです。
F35Aの試験飛行の中止を求める要請書
愛知県営名古屋空港での最新鋭ステルス戦闘機F35Aの試験飛行を、8月29日以降順次再開する方針を防衛省は明らかにし、9月2日、試験飛行の再開が強行されました。
F35Aステルス戦闘機をめぐっては、三菱重工業小牧南工場で組み立てらた同型機の試験飛行中のトラブルにより、愛知県営名古屋空港での緊急着陸が相次いで起きています。 また4月には、航空自衛隊三沢基地所属の同型機が太平洋上で墜落事故を起こしました。同省はその原因は「空間識失調」を起こしたのが原因だと推定していますが、機体のトラブルが100%無かったとは言い切れないとしています。
周辺は人口密集地であり、墜落事故は住民に大きな不安をもたらしています。県営名古屋空港の設置管理者として、県民の命と安全をまもる行政の責任として、防衛省に対して試験飛行の中止を強く要請されるよう申し入れます。