〔未定稿 文責:日本共産党愛知県議会議員団〕
【下奥奈歩 委員】
決算に関する報告書191ページ「障害者雇用促進費」「障害者就労支援事業費」「障害者定着雇用奨励金」について伺います。
「障害者の雇用のために」冊子について
愛知県障害者雇用審議会が昨年3月に開催されました。その中で「障害者法定雇用率未達成企業2,979社ある。そういった企業が多い中で障害者雇用啓発冊子の作成・配布は1,000部。少ないのではないか」という指摘がありました。
そこで、まず伺います。この冊子を作成した経緯と配布先についてお示しください。
【就業促進課】
障害者雇用啓発冊子「障害者の雇用のために」は、事業主の方々に障害者の雇用への理解を深めていただくとともに、雇用助成制度をはじめとする各種制度や障害者雇用支援機関等を紹介するために作成したものです。
ハローワークや事業主団体、障害者支援団体又は支援機関に配布をし、事業主のみならず、様々な方からの障害者雇用に係る相談に対応するなど、ご活用いただいております。
【下奥奈歩 委員】
先ほど、紹介したように1,000部では少ないという声があります。昨年6月時点の法定雇用率未達成企業をみても、50人から100人未満の企業で1,405社となっています。法定雇用率未達成企業は1,000以上あるわけです。障害者が安心して働ける環境をつくるために、また障害者雇用への理解を深めて広げていくためにも雇用啓発冊子「障害者の雇用のために」を増刷する必要があると考えますが、見解を伺います。
【就業促進課】
委員ご指摘のとおり、障害者雇用の理解を深めていくことは重要であると認識しており、雇用率を改善するためにも未達成企業への理解促進を図る必要があると考えております。
「障害者の雇用のために」につきましては、先程説明をさせていただきましたとおり、事業主の方々等への相談対応にご活用していただくため、ハローワーク等関係機関へ配布するとともに、その内容を県ホームページにも掲載しております。作成部数以上のニーズに対しましては、県のホームページの閲覧をお願いしているところであり、今後、ホームページ掲載について、さらに周知していくことで、増刷に応じた対応を図っていきたいと考えております。
また、企業への理解促進につきましては、未達成企業への個別の雇用要請や事業主対象の障害者の雇用促進を目的とした障害者雇用促進トップセミナーの開催など、各種施策により一人でも多くの障害者の雇用が図られるよう取り組んでいるところであります。
サポートデスクのさらなる活用を
【下奥奈歩 委員】
次に、障害者就労支援について。県としてさまざま障害者就労支援事業に取り組んでいるところだと思います。昨年28年には拡充事業として「愛知県障害者雇用企業サポートデスク」という事業を新たに始められていますが、まず、サポートデスクという事業をスタートさせた理由とサポートデスクについて説明をわかりやすくお願いします。また、企業への周知方法についても伺いたいと思います。
【就業促進課】
障害者雇用につきましては、企業側の理解と配慮が何よりも重要であります。これまでの取組といたしましては、障害者就職面接会による雇用の拡大を図るとともに、雇用に係る情報提供を行うことで障害者雇用の促進を図ってきたところであります。
しかしながら、特に中小企業では障害者を受け入れるためのノウハウが少なく、受入れそのものに不安を感じているとの声を聞いており、障害者雇用を更に促進するためには、相談対応、助言等、企業の個々のニーズに親身になって対応するなど、きめ細かい支援を行うことが重要であると考えます。
このため、昨年7月に、中小企業が障害者の雇用や職場定着を進めるにあたって生じる様々な課題や問題点等について、専門的知識を持った就労支援アドバイザー等が対応する「障害者雇用企業サポートデスク」を就業促進課内に新たに開設したところであります。
サポートデスクでは、県職員や専門的な知識を有する就労支援アドバイザーが企業からの相談や支援要請に対応するほか、企業を訪問して情報提供、雇用要請又は専門的な提案や助言等の支援活動を行うことで雇用の場の拡大を図ることとしております。
また、企業への周知方法につきましては、平成28年度はハローワーク、経済団体等に周知依頼を行うとともに、県内の障害者雇用率未達成企業約3,000社に対して、この「サポートデスク」の案内チラシを直接配布し、周知を図ったところであります。
今年度は、未達成企業のみならず、雇用義務のある従業員規模50人以上の企業約5,000社超に直接配布し、周知に努めているところであります。
【下奥奈歩 委員】
障害者雇用に踏み切れない、または、悩んでいる企業の後押しになっていく事業だと思います。このサポートデスクに取り組んできて、企業からの反応や、実績・効果はどうであったのか伺います。
【就業促進課】
サポートデスクの実施状況につきましては、平成28年7月開設後、年度末までに県内企業148社から相談が寄せられ、うち123社について、訪問による相談対応を行いました。
主な相談内容といたしましては、「何から始めればよいのかわからない」といった初期段階のものから、「どのような労務管理を行えばよいか」、「職場の環境整備について知りたい」などの具体的な取組み内容に係るものまであり、それぞれのニーズに応じて幅広く対応しておりますが、この事業により5名の障害者の方を新規雇用につなげることができ、一定の成果があったものと考えております。
障害者雇用の向上を求める
【下奥奈歩 委員】
一定の効果があったということで、こういう取り組みは本当に必要だと思います。
中小企業は、身近な地域で自立した生活を求める障害者に対して雇用の場を提供することができる、身近な地域での主要な担い手であり、中小企業における障害者雇用を促進することは急務だと考えます。また、障害者雇用の経験のない中小企業等に対する雇用支援策の強化が必要だと考えます。
そこで伺います。中小企業で障害者雇用がゼロのところが多くあり、障害者を一度も雇用したことがない事業所が思い切って新しく障害者を雇用するために奨励金の支給など支援策が必要です。県として、支援策についてどう考えているのか、またどう取り組んでいくのか考えをお示しください。
【就業促進課】
本県の障害者の雇用状況につきましては、企業規模の小さな企業ほど障害者雇用が進んでいないことから、こうした中小企業、特に障害者を一人も雇用したことがない企業に焦点を当てた対策が重要と考えております。
このため、今年度、障害者を初めて雇用する中小企業の負担を軽減するために、中小企業応援障害者雇用奨励金を創設したところです。
先程ご説明させていただきました障害者雇用サポートデスクでの中小企業への相談対応を始め、障害者雇用に関する様々な事業に取り組み、一人でも多くの障害者が就職できるよう、企業における障害者雇用を支援してまいります。
【下奥奈歩 委員】
愛知県内の企業の障害者雇用率は、1.85%です。愛知県は昨年度も全国46位と長年にわたってワーストクラスにあります。法定雇用率2%にも達していません。
平成30年度からは対象に精神障害者が繰り入れられて、法定雇用率も2.2%に引き上げられます。障害者の声をよく聞き事業の充実を図り、障害者雇用にも力をいれて向上させていくことを要望し、質問を終わります。